贖われた7ポンドの死体 |
医学の進歩に対して野心的な医師ロックは法で定められた死刑囚の死体の解剖だけでは飽き足らず、スラムの貧しい連中から墓荒らしされた死体を買い取って解剖の実験をしていたが、彼の「もっと新鮮な死体ならば7ポンド払う」という言葉にスラムの連中は金欲しさに殺人を犯してまでロックの元に死体を持っていき・・・・といった物語。
馬車に轢かれた娼婦の弟をロックが手術して助けたのをきっかけに一緒に来ていた同じく娼婦の女性とロックの助手が恋におちたりといったサイドストーリーやロックの主張を良く思わない医師会の連中、殺人を犯していくスラムの連中の人間模様などいくつかの要素が交錯し、サスペンスというよりは人間ドラマ的面白味があった。
また、キャスティングもロック医師に4代目ジェームズ・ボンドを演じたティモシー・ダルトンや助手役に「ゴシック」で詩人シェリーを演じたジュリアン・サンズ、恋におちる娼婦役にはミニスカの女王といわれたツゥイギー、反発する医師会の医者に「スタートレック」のピカード艦長役や「X-MEN」のプロフェッサーX役で有名なパトリック・スチュワートなど結構バラエティに富んでいたのも良かった。
また、研究する事自体に没頭してしまい、道徳を省みない医学者の暴走の恐さなど、19世紀の物語ながら現代にも通ずるテーマも感じられた。
時代が進んでも人間の思考が持つ危険な部分は変わらないという事だろうか?
医学の進歩のためとタブーを犯す行為は許されるべき事ではないが、実際
人間の進歩は医学だけでなく科学に関しても、戦争や犯罪などマイナスな行為の中で進歩していたりで人の歩んできた歴史の闇の部を感じさせる作品でもあった。