ネロ ザ・ダーク・エンペラー |
同じく暴君として有名な皇帝カリギュラの妹だったアグリッピナはカリギュラの暗殺未遂に関わった事で夫は死刑にされ、アグリッピナ自身も流刑、息子ネロは叔母の家で育てられる事になるが、カリギュラが暗殺され、叔父が皇帝の座に就いた事からネロと母はローマに呼び戻される。
そして母の権力に対する執着によってネロは陰謀の渦に巻き込まれ、皇帝の座を手にする事になるが・・・・といったストーリー。
父を目の前で殺された心の傷を記憶の持ちながらも、叔母の家で権力とは無縁の朗らかな生活を楽しみ、奴隷の少女とも差別感情無しに素直に愛し合えるような純真に育ったネロが汚れたローマの権力争いや母親の息子を皇帝にして権力を欲しいままにしたいという欲望によってどんどん歪んでいく様子などがドラマティックに描かれていた。
またこの映画はネロを主人公としてるが悪女のドラマでもあってネロを歪めてしまう母アグリッピナをはじめ、愛していた妻に去られ絶望した後にネロの妻となり、彼を惑わすポッパエアなどが印象的。
小物の悪女としては皇帝だった叔父の妻なんかも顔がいかにも悪女だったが・・・(笑)
私がネロに対して持っていたイメージとしては暴虐の限りを尽くしたようなイカレ野郎なのだが、この映画では歪み出すまで汚職を排除しようとしたり市民の為に税制を改革しようとするなどどちらかというと賢帝であるし、おかしくなってからの描写も結構抑えてあるのか物凄く残虐な事はしていない感じで純粋であるゆえにひどく闇に染められてしまった皇帝の苦悩と悲劇を描いた作品に仕上がっていたと思う。
ネロよりこの映画の最初に登場するカリギュラの方がずっと残虐な印象。
それにしてもカリギュラの台詞にあったような「生きたまま罪人を犬と猿と鳥と毒蛇とを一緒に袋に詰めて川に流してしまえ」とかローマの昔の刑罰を聞くと凄く残酷!
