世界最速のインディアン |
基本的にバイクがメインの話であるものの、マンロー自身の一見変人ながら夢を追い続け、決して諦めない人間としての面白さや、彼を支える地元のバイカー仲間たち、アメリカに渡ってからアメリカの事をよく知らないマンローは様々な困難に直面しながらも彼の信念や人柄に好感を持って、力になってくれたり応援したりしてくれるモーテルのゲイ店員や中古車屋の経営者、宿を貸してくれた老婦人、軍人、そして彼を真のバイカーと惚れ込みレースに出るのを協力してくれるレース参加者の男たちなど様々な人々との出会いのエピソードが楽しくロードムービーとしての面白さもあるのでバイクの事をよく知らない人でも十分楽しめる作品だと思った。
また、レースに出るまでに狭心症の発作や登録してないと参加出来ないと言われたり、バイクが古いばかりか手作りの改造をしているため検査に通らないとか年齢制限がダメなど次々にトラブルが起こるも、決して諦めないマンローの姿は非常にドラマチックで見ごたえがあったし、彼自身の人生を象徴したような「夢を追わない人間は野菜と同じだ」という台詞は凄く重みがあった。
インディアンはアメリカでバイクの代名詞のようなハーレー・ダビッドソンよりも古く、当時最高の性能を誇っていたが、第二次大戦後イギリスの安価な輸入バイクに押されて工場閉鎖に追い込まれ伝説となってしまったバイクであるがそのバイクを愛し続け、どんなに周りから無理だといわれながらも諦めず60才を超えてからも夢に挑戦し続け、世界を驚かせる偉業を成した遂げたマンローは凄く格好いい。
マンロー役を演じたアンソニー・ホプキンスは「羊たちの沈黙」の天才殺人鬼レクター博士のイメージが強いが、この作品では殺人鬼のイメージを全く感じさせない全く新しいイメージの役柄を見事に演じたし、さすが名優ホプキンスはうまい!
