ハンニバル・ライジング |
第二次世界大戦中のリトアニアで貴族の子として育ったレクターは戦争の混乱の中、両親を失い、妹もリトアニアの逃亡兵たちの手によって残酷な運命を迎えてしまう・・・・それから8年後、ソ連の孤児院で冷遇されていたレクターは逃亡し、パリの叔父の家に向かうも叔父は既に死んでしまっていたものの、叔父の妻だった日本人レディ・ムラサキに優しく迎えられレクターも彼女に魅力を感じはじめるが・・・・・といったストーリー。
今回はレクターがどういう生い立ちでいかにして人肉食を始め殺人鬼になるに至ったかという過程を描いているがこのシリーズ本来のレクターというキャラクターならではの頭脳戦的なサスペンスの面白さはなくて、どっちかというと残酷な出来事を経験した事で「人間レクター」が「怪物」になってしまい、過去の清算と復讐、それを見守る女性や戦争犯罪が人々に残した悲しみなどヒューマンドラマ的な映画だった。
勿論サスペンスとしての面白さもあるが、レクターに殺される連中もムラサキを拉致したりみんな悪党なので被害者的な視点はあまり描かれていないし、むしろ愛する人を救う為に戦うレクターが正義のヒーローみたいに見えてしまう妙な感じもある。
またレクターの思考が変化する重要な要素のひとつにレディ・ムラサキが教えた日本の侍文化も関わってくるが、あのレクターがフランスの地で剣道の練習していたりするシーンはちょっと面白い!(笑)
映像の雰囲気としては現代を舞台にした前のシリーズ作と違って東欧の古城やフランスのクラッシックな屋敷などゴシックな風景がイイ雰囲気を出していたと思う。
キャスティングとしては若きレクターを演じたギャスパー・ウリエルはなかなか怪しいイメージで昔のウィレム・デフォーを連想したがレクター役というとアンソニー・ホプキンスのイメージが強いため作品全体的に「別物」っぽい印象もある。
レディ・ムラサキは中国人女優コン・リーが演じているが最初、コン・リーがキャスティングされているという事で中国もストーリーに関連してくるのか?とか混乱した戦時中の上海を舞台にレクターが連続殺人したりなど色々想像していたが何と日本人の役という事で意外だった。
それにしても日本文化の描き方がちょっと妙な感じだったが・・・・
