プレステージ

「メメント」や「バットマン・ビギンズ」のクリストファ−・ノーラン監督が撮った、19世紀末のロンドンを舞台に因縁と確執の運命にとらわれた二人の天才マジシャンの対決を描いた映画「プレステージ」を見た。
かって中堅マジシャンであるミルトンの元で修行していたアンジャーとボーデン。
しかし水槽マジックの失敗で助手であるアンジャーの妻が死んでしまう。妻の死の原因をボーデンのロープの結び方にあったと思い、復讐を考えたアンジャーはボーデンの舞台を妨害し、彼の手の指を失わせたり、逆にボーデンはアンジャーの新しい奇術の初舞台を失敗させたりといさかいを繰り返すようになる。
そんな中、ボーデンは「瞬間移動」という奇術を発表し、そのネタを何とか盗み、自分のものにしようと企むアンジャーだったが・・・・という感じのストーリー。
単なる奇術を題材にしたサスペンスではなく、実在した天才科学者ニコラ・テスラが登場したり科学的要素を含んでいる点が特異だし、「なるほど、ここがこれにつながるのか！」というようなシーンのひとつひとつ、それぞれの台詞に至るまで謎につながる伏線、ヒントとして意味を持っているというシナリオには驚かされるし、二人の男のマジシャンとしての生き方やマジックに固執する狂気、二人を取り巻く女性たちとの心理ドラマなど緻密に描かれているのも面白い。
アンジャー役に「X-メン」でウルヴァリンを演じたヒュ−・ジャックマン、ボーデン役に「バットマン・ビギンズ」でバットマンを演じたクリスチャン・ベールとまるでアメコミ対決のようなキャスティングだが、二人ともマジックに取り憑かれたミステリアスな人物像をうまく演じていたと思う。
何よりマジックのシーンは当時のショーの雰囲気をうまく再現されていて見ごたえがあるし、誰がダマしていて誰が本当の事を言っているのかというミステリーの醍醐味や謎解きも楽しめる娯楽作品としても完成度の高い映画だった。