ガメラ 小さき勇者たち |
ガメラが古代の生物兵器だという基本的設定やギャオスが登場するなどの部分は以前の平成版シリーズと同じものの、一応前のシリーズは3で終わってるので時代設定など多少の変更を加え、ガメラの成長していく姿をメインに描いた作品。
1973年にギャオスとの戦いで人類を守るため、自爆したガメラ。
その自爆した地に住む母を亡くし、元気がない少年がふとした事から見つけた卵は実はガメラのもので・・・・といったストーリー。
少年はガメラを育てるも、だんだん大きくなってしまい、海から現われた謎の怪獣と戦った事で世間に知られてしまって引き離されてしまったりと何か動物モノの感動映画でありそうな展開だが、それを怪獣でやっているのが好きな感じだし、子供時代の大人には秘密な夏休みのちょっとした冒険のような展開もあったりで懐かしい感じもするファンタジックな怪獣映画に仕上がっている。
子供が怪獣と出会って秘密に育てるという話は昔読んだ楳図かずおの漫画「怪獣ギョー」という話に似ているが、子供というのはこういう怪獣と通ずるような不思議な感覚を持ち合わせているのかもしれない。
ガメラの成長とともに少年の心も成長していく姿はラストの台詞でもうまく表現されていたり、人間ドラマとしても丁寧に作られていると思うし、ガメラのパワーの源として必要な赤い石を届ける為に、何故か使命のように子供たちが石をリレーしながら運んでいく姿などは大人には感じる事が出来なくなった感覚を子供たちが秘めているという、何か楳図かずおが「漂流教室」や「わたしは真悟」で描いたような世界観に共通するようなものも感じた。
怪獣のデザインとして今回のガメラは未成長ということもあり、丸っこいデザインに作られているが、かわいさはあるもののあまりリアリティはない感じ。
でも襲撃してくる新怪獣ジーダスのデザインはイグアナとエリマキトカゲを取り混ぜたようなトカゲ系のデザインで生物っぽくなかなかうまく出来ている。
破壊のシーンは対象年齢を下げたからか「ガメラ3」で描かれた渋谷壊滅シーンのような、実際に怪獣が存在して襲撃されたらこうなるといった地獄絵図のシーンみたいなのはなく、わりあいソフトに作られていたが、パニックになって逃げまどう人々の本気で走ってる感じの描写などはなかなか臨場感があった。
子供が登場する怪獣映画というと昭和時代のガメラやゴジラといったものが思い浮かぶが、昔のガメラなどはヒドイ作りでガメラがガキの言いなりで動くだけでなく、自衛隊の司令官や町の町長までガキの考えた作戦で戦ったり「それはないだろ〜!」って感じのある意味面白い「バカ映画」だったが、今回は子供をメインにしながらも違和感なく作られていたと思うし、子供メインの作品ながら大人が見ても怪獣好きなら十分楽しめる内容だったと思う。
キャスティングとしては主人公の少年役は知らない子役だが、少年と仲良くしている隣の少女の役を「ケータイ刑事銭形零」の夏帆、父親を津田寛治、隣の父親を寺島進、ガメラを兵器くらいにしか思ってない嫌味な政府の人間を田口トモロヲ、劇中あんまり役に立ってない巨大生物研究家を石丸謙二郎と怪獣映画ながら結構色んな俳優が出ているのも面白かった。
