魔笛 |
第一次大戦前夜のヨーロッパを舞台に毒ガスで死にそうになった兵士タミーノを助けたのは夜の女王の配下であるという3人の侍女。
夜の女王はタミーノに暗黒卿ザラストロの手によってさらわれたという娘パミーナを助けて欲しいと願い、彼に魔笛を授ける。
タミーノは渡されたパミーナの写真を見た途端、彼女に恋し、愛する彼女を助ける為、夜の魔女の所にいた鳥好きな兵士パパゲーノとともにザラストロの城に向かうが、ザラストロは夜の女王が言っていたような悪の人物像とは全く違っていて・・・・というようなストーリー。
原版のオペラは見た事はないがパンフにあった話を読んだところ、全く違うメルヘンな世界観で舞台を第一次大戦時にしたというのは大胆なアレンジだし、冒頭の戦争シーンもモーツァルトの曲と併せると妙に軽快でファンタジックに見えたりで音楽の持つ影響の不思議さを感じる。
そういう一風変わった「魔笛」であるが、歌われるオペラの美しさは十分堪能出来るし、以前見たモーツァルトの死の謎をテーマとした映画「アマデウス」に部分的に登場した「魔笛」の曲と場面が「実はこういう状況を描いたシーンでこういう事を歌ってたのか」というのもわかったのも良かった。
「アマデウス」は特に好きな映画の1つなのでサントラも持ってるのだが、この映画で指揮を担当したネビル・マリナーの音はリズムが速くエッジが利いた感じのに対し、この「魔笛」で音楽を担当したジェイムズ・コンロンは図太く、しっかりした重みのある音の作りでまた違った良さもあり、今回も気に入ってサントラを買ってしまった。
曲の中でのお気に入りはアマデウスでも使われていた「地獄の怒りに燃えるこの胸(夜の女王のアリア)」。最高音が人声限界ギリギリのハイFに達するというヒステリックな歌声は迫力!
それにこの映画のオペラはアマデウスのようにドイツ語で歌われておらず、英語版というのも、同じ曲でも違った印象を感じられて楽しめる。
ただ衣装としては基本的に近代の話なのでそんなに華やかさはないものの、パパゲーノの空想シーンで登場する鳥を女性化したようなイメージの女たちの衣装は面白いし(チラシ画像の女性)、CGを取り入れた映像もオペラ映画としては新鮮味があって結構良かったと思う。
ただ音楽抜きで考えるとかなり「変な」映画だし、モーツァルトの音楽やオペラに興味ない人が見たら少し退屈に感じるかも。