さらば、ベルリン |
1945年、終戦直後のドイツを舞台に取材に訪れたアメリカ人記者ジェイクはタリーという男を運転手にするも、タリーは盗みや横流しをしているしがない小悪党で売春婦の愛人レーナがおり、何故か国外逃亡をしたがるレーナのためにある企てをするが翌日死体で見つかる・・・・実はレーナは昔ジェイクの愛人でもあり、今米軍及びソ連軍が躍起になって探している死んだと思われているブラントという男はレーナの夫でナチスに関するある秘密を持った人物だった・・・・といった内容。
先日見たタランティーノ&ロドリゲスの「グラインド・ハウス」が70年代B級映画へのオマージュだったのに対してこの作品はソダーバーグ版の「カサブランカ」や「第三の男」のような40年代のフィルム・ノワールへのオマージュといった表現をしていて全編白黒の映像というだけではなく、音質にノイズや割れが入っていたり、文字の出し方や場面転換の方法、音楽の雰囲気にいたるまで昔の名作映画のイメージを見事に再現していた。
またそういった映像効果の面白さだけでなく、ストーリーも濃厚で数々の秘密やダマしあい、何が真実なのか、そのキャラクターにどういう過去があったのかなど謎解きやサスペンスの面白さは勿論、非常にドラマティックで見ごたえがある。
またキャスティングとしては謎を秘めたダークな役柄を魅力的に演じたレーナ役を演じたケイト・ブランシェットが印象的だったし、白黒の映像は女優の姿をさらにエレガントに美しく魅せていて、カラー作品の時のブランシェットより綺麗だったように思う。
また小悪党タリーを演じたトビー・マグワイアはスパイダーマン」の主演俳優として有名であるが、ああいう正義な役より意外にこういうちっぽけな悪人を演じさせた方が面白味がある気がした。
