SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ |
平家と源氏が戦ったという「壇の浦の戦い」より数百年後、根畑(ネバダ)の地にある湯太(ユタ)という平家の落人が築いたという寂れた村を舞台に、半年前から突如平家落人が再興の為隠した埋蔵金があるという噂によって、よそものが湯太村を荒らしはじめ、それを収めたのが村民と同じ血筋である「平家ギャング」たちであったが、助けになるどころか益々事態は悪化し、そこに源氏ギャングが現われるが勢力的に優勢な源氏は平家に黄金を探させ横取りを狙う・・・・そんな状況の中村に現われた凄腕のガンマンは両勢力に自分を用心棒としていくらで雇う?ともちかけるが・・・・といったストーリー。
話の展開的には黒澤明の「用心棒」をマカロニウエスタンにリメイクしたセルジオ・レオーネ監督、クリント・イーストウッド主演の「荒野の用心棒」とほぼ同じで目新しさはないものの、タイトルにもなっている「ジャンゴ」のオリジナル版ひであるフランコ・ネロ主演の「続荒野の用心棒」的な残虐な描写のあるアクションスタイルや、ひきずられる棺桶の中にガトリング・ガンが隠されていたり、銃で撃っても死なないと思ったら鉄製の鎧を衣服の下にまとっていたりとマカロニ・ウエスタンへのオマージュといえる設定やシーンがいくつもあるし、またウエスタンだけでなくブルース・リーや松田優作などへのパロディが盛り込まれているのも面白い。
一応西部劇だが演じるのは日本人だし、何故か全編英語という遊びっぽい試みは面白いが英語での台詞回しが俳優の演技より目に付くという印象はちょっとマイナスかも。
それでも源氏のボス義経を演じた伊勢谷友介は「伝染歌」に続く怪演でかなりのインパクトがあったし、桃井かおりのキャラクターも結構格好良い。
それに平家のボスながらアホっぽい清盛を演じた佐藤浩一は普段あまり演じないようなアホキャラを楽しんで演じてる感じだし、どっちつかずで卑劣な保安官を演じた香川照之はなかなか笑える演技、源氏ギャングの凶気の男、与一を演じた安藤政信は目がアブない感じで恐かった(キャラとしては大して強くはなかったけど)。
普通に日本語でやった方がこれらの俳優たちの演技ももっと光っていたかも。
ただクエンティン・タランティーノがある重要なキャラでチョコッと出てたのは面白かった。
まあ話どうこうより基本的にアクションの楽しさがあるし、西部劇の要素と和の要素をうまく融合させた衣装やセットなどはヴィジュアル的に見ていて良かったと思う。
まあそれなりに面白かったと思うが、どっちかというと制作側が自分の好きなものを画面にブチ込んで遊んだ感じの映画って印象だし、この映画の予告編を見た時の面白そうな感じより実際の本編の方がちょっとパワーダウンな感じだったのが少し残念。
