フリーダム・ランド |
手を血だらけにした女性が病院で保護されたが、その女性は黒人の貧民層が多く住む団地でカージャックに遭ったという事件の概要を証言した。
しかし、その車には4才になる息子が乗ったままだったという新たな証言も出てから警察は団地内に容疑者がいる疑いがあると団地を封鎖、住民との暴動しかねない対立関係の中、行方不明の子供を探すというボランティア団体とも関わり、捜査を進めていくとどうも女性は何かを隠しているようであり・・・・といった内容。
90年代末にアメリカで実際にあった事件を題材にした映画であるが、黒人貧民層の住む団地の描写など、普段は街では善き人ながらどこか黒い部分を持つようなリアルな人間の姿を描いていたり、誘拐や行方不明を題材にしながら正統派なサスペンス映画というよりは社会派ドラマといった印象の作品。
ボランティア団体が登場した時は刑事の車を尾行していたり、いかにも怪しい感じで団体の名を売る為に事件を計画したのかとか想像してしまったりもしたが、そういう感じの展開でもなかったし、隠されていた真相も「恐ろしい」といったものでもなく孤独に生きてきた女性の悲しい話という感じで「こいつが諸悪の根源」というような人物は出てこない。
それに最初のシーンから夫に暴力を振るわれているという団地の黒人女性が刑事にしつこいくらいに会うたび「注意してくれ」って言ってるのに何故か刑事は1度も注意しなかったのがよくわからない(しかし、この夫というのは実は事件に何らかの関係があるのだが、注意しない事と事件は何の関係もないし)。
今回ジュリアン・ムーアは「ハンニバル」で演じたような聡明なFBI捜査官のような役とは全く違う、麻薬常習の前歴も持つ孤独で不安定な女性を演じていたのは意外だったが、こういう役も似合ってたし、結構目つきが鋭いというか恐い感じもするので、殺人鬼や魔女とかさらに恐ろしい役も演じたら似合うかも。
