エクスクロス 魔境伝説 |
恋人の浮気により落ち込んでいた女子大生しよりは友人の愛子と一緒に山奥にある「阿鹿里村(あしかりむら)」という所に温泉旅行にやってきたが、温泉で愛子と喧嘩してしまい、一人ログハウスへと戻ったしよりは押し入れの中で鳴る見知らぬ携帯を手にする。
電話をしてきたのは民俗学を研究している物部という男でそれは連絡がつかなくなっている彼の妹の携帯であり、ここ阿鹿里村は昔から旅の女の左足を切り取って生き神にし、山に捧げる風習がある危険な村だと伝えるが・・・・といった内容。
ホラーではよくあるパターンの田舎でワケのわからん連中に襲われるといったシチュエーションであるが、話の重要アイテムに「携帯」をうまく使ってるのは面白いし、村に伝わる奇習の成り立ちもそれなりにありそうな感じで説得力がある。
しかし、いかにも怪しい村人の様子、特にログハウスの世話係のバアさんはかなり芝居がかり過ぎというか、あるで志村けんがやりそうなコントの変なバアさんっぽくて笑ってしまうし、村人たちの儀式場の雰囲気や扮装などは結構好みな感じなものの、村人それぞれが生まれた時に左足の腱を切っているという風習のため、動きがノロい変なゾンビみたいでホラーとしてはあんまり恐くはない。
キャラクターとしては松下奈緒演じる主人公しおりはまあ俳優のイメージ通りといった役柄だったものの、鈴木亜美演じる愛子は男関係にだらしなく、自己中という役柄でちょっと新鮮だったし、何より小沢真珠演じる謎のゴスロリ女レイコのキャラが強烈!
巨大なハサミを振り回して襲い掛かってくる様子は昔見た「バーニング」というホラー映画に登場する殺人鬼バンボロを彷佛させるようなかなりのインパクトでチェーンソーで防戦する愛子(こっちは悪魔のいけにえのレザーフェイスのパロディか?)との対決シーンはかなりの見ごたえがあったが、やっぱり見ていて何かギャグっぽい(笑)
しかもこのレイコというキャラクターは「そこまでやったら死ぬだろ〜」って思うようなシーンがあっても生きていたり最後までかなりしつこい存在でバンボロを超えてまるで「女ジェイソン」みたいだった。
他のキャラでは池内博之演じるしおりの元恋人朝宮は物語が進むに連れて性格が変わってきて、かなりマニアックな変貌ぶりは面白かった。
それから電話でしおりを励まし、アドバイスを続ける物部の声を「24」のキーファー・サザーランドの吹替などで知られる声優、小山力也が演じているのも携帯を物語のキーポイントにした作品ならではだし、お笑い芸人フットボールアワーの岩尾望がちょっとだけ重要な役で出ていたのも笑えた。
正直ホラーとしては少し物足りないというか、前半ちょっとサスペンス色は盛り上がるものの、後半は派手なスプラッターシーンやアクションがある割には完全にギャグな感じがする奇妙な映画だった。
この原作にはまだ続編や外伝があるらしいが一体どんな事になってるのか・・・?
映画全体としてはまあまあな出来だが、個人的には小沢真珠の強烈キャラ「レイカ」のイカレぶりがまた見てみたいし、次があるならもっと「変」な映画にしてもらいたい。
