2008年 01月 30日
ヒトラーの贋札 |
第二次世界大戦中のドイツで実際にあった「贋札作戦」を元にした映画「ヒトラーの贋札」を見た。
1936年、パスポートや紙幣などあらゆる偽造に関わっていたユダヤ人犯罪者ソロヴィッチはナチスの犯罪捜査官ヘルツォークに逮捕され、マウトハウゼン収容所に送られてしまう。
マウトハウゼンでは過酷な強制労働の毎日だったが、ソロヴィッチはこれまで偽造の仕事で熟練したその美術的才能と技術で親衛隊の仕官の肖像画を描いた事から気に入られ、生き延びるが、しばらくして今度はザクセンハウゼン収容所に送られてしまう。
しかしそこで待っていたのはかって自分を逮捕したヘルツォークであり、ヘルツォークがー指揮する敵国に対して経済撹乱を狙った大規模な贋札作戦である「ベルンハルト作戦」のためソロヴィッチをはじめ印刷技師のブルガーなどユダヤ人の収容者の中から贋札作りに適していると思われるあらゆる人材が集められていた。
ソロヴィッチはそこで中心となり英国ポンド紙幣の偽造に成功するが・・・・といった内容。
これまで第二次大戦中のナチスやユダヤ人をテーマにした映画は沢山作られてきたが、こういう「贋札作戦」というものに注目した作品は初めてだし、戦争というものは実際の前線での戦闘だけでなく、この贋札作戦みたいにもはや何でもアリなナチスの苦肉のアイデアとそれによって運命を左右されるユダヤ人たちの苦悩が緻密に描かれていたし、作戦成功のためにユダヤ人たちとナチスの連中が作る奇妙な協力関係の描写も興味深い。
紙幣の偽造をしていく中で、英国ポンド紙幣は作ったものの、米国ドル紙幣まで大量に流通させてしまえば戦争は長引き、自分の正義に反すると作業しなくなって周りのユダヤ人の命を危機に陥らせてしまうブルガーと、作らなければ明日の命もないとするソロヴィッチの対立、しかしソロヴィッチはブルガーのせいで作業が進まない事を絶対に密告しようとはしなかったり、ブルガーの気持ちもわかるし同胞の命も救いたいと苦難の状況の中葛藤する姿は凄くドラマティックだった。
他にも元犯罪者のソロヴィッチをよく思わないユダヤ人連中との関係や結核にかかってしまったソロヴィッチの友人を助けるためヘルツォークと取引するスリリングな場面もあったり、いつ殺されてもおかしくない状況での緊迫したドラマの展開はハラハラもした。
またナチスの連中の描き方もよくある冷徹非情ですぐ人を殺すような登場人物もいたが(実際徒家畜以下の扱いを受けながら生活するユダヤ人の描写やゴミ同然に殺されていく描写もしっかりあって、その酷さは凄く伝わってくる)、贋札作りには職人たちの快適な環境が必要と卓球台を与えたり、演芸会を催したり、作戦成功のためにフレンドリーに接してくるナチスの連中の描写はある意味人間的であり、その背後に「死」を感じさせるような悪魔的な怖さも感じられた。
この時に作られた英国ポンド紙幣はかなりの数らしいが、スイス銀行が当時本物と鑑定したくらいの精度で作られた贋物らしいし、戦後しばらくは本物だと思われてこういうものが横行したまま世界の経済が流れていたと思うと意外な感じで面白い気がする。

1936年、パスポートや紙幣などあらゆる偽造に関わっていたユダヤ人犯罪者ソロヴィッチはナチスの犯罪捜査官ヘルツォークに逮捕され、マウトハウゼン収容所に送られてしまう。
マウトハウゼンでは過酷な強制労働の毎日だったが、ソロヴィッチはこれまで偽造の仕事で熟練したその美術的才能と技術で親衛隊の仕官の肖像画を描いた事から気に入られ、生き延びるが、しばらくして今度はザクセンハウゼン収容所に送られてしまう。
しかしそこで待っていたのはかって自分を逮捕したヘルツォークであり、ヘルツォークがー指揮する敵国に対して経済撹乱を狙った大規模な贋札作戦である「ベルンハルト作戦」のためソロヴィッチをはじめ印刷技師のブルガーなどユダヤ人の収容者の中から贋札作りに適していると思われるあらゆる人材が集められていた。
ソロヴィッチはそこで中心となり英国ポンド紙幣の偽造に成功するが・・・・といった内容。
これまで第二次大戦中のナチスやユダヤ人をテーマにした映画は沢山作られてきたが、こういう「贋札作戦」というものに注目した作品は初めてだし、戦争というものは実際の前線での戦闘だけでなく、この贋札作戦みたいにもはや何でもアリなナチスの苦肉のアイデアとそれによって運命を左右されるユダヤ人たちの苦悩が緻密に描かれていたし、作戦成功のためにユダヤ人たちとナチスの連中が作る奇妙な協力関係の描写も興味深い。
紙幣の偽造をしていく中で、英国ポンド紙幣は作ったものの、米国ドル紙幣まで大量に流通させてしまえば戦争は長引き、自分の正義に反すると作業しなくなって周りのユダヤ人の命を危機に陥らせてしまうブルガーと、作らなければ明日の命もないとするソロヴィッチの対立、しかしソロヴィッチはブルガーのせいで作業が進まない事を絶対に密告しようとはしなかったり、ブルガーの気持ちもわかるし同胞の命も救いたいと苦難の状況の中葛藤する姿は凄くドラマティックだった。
他にも元犯罪者のソロヴィッチをよく思わないユダヤ人連中との関係や結核にかかってしまったソロヴィッチの友人を助けるためヘルツォークと取引するスリリングな場面もあったり、いつ殺されてもおかしくない状況での緊迫したドラマの展開はハラハラもした。
またナチスの連中の描き方もよくある冷徹非情ですぐ人を殺すような登場人物もいたが(実際徒家畜以下の扱いを受けながら生活するユダヤ人の描写やゴミ同然に殺されていく描写もしっかりあって、その酷さは凄く伝わってくる)、贋札作りには職人たちの快適な環境が必要と卓球台を与えたり、演芸会を催したり、作戦成功のためにフレンドリーに接してくるナチスの連中の描写はある意味人間的であり、その背後に「死」を感じさせるような悪魔的な怖さも感じられた。
この時に作られた英国ポンド紙幣はかなりの数らしいが、スイス銀行が当時本物と鑑定したくらいの精度で作られた贋物らしいし、戦後しばらくは本物だと思われてこういうものが横行したまま世界の経済が流れていたと思うと意外な感じで面白い気がする。

by lucifuge
| 2008-01-30 21:11
| 映画/洋画