ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ |
この映画の事前情報については大して知らなかったものの、謎のチェーンソー男がバトル女子高生と戦うという奇抜でホラーっぽい設定だし、チェーンソーを使うホラーといえば名作「悪魔のいけにえ」や邦画でも去年見た「エクスクロス」でのチェーンソーシーンは面白かったし、ホラー好きとしてはとりあえずチェックと軽く見に行ったのであるが、実際見てみると「ホラー」というにはかなり違う感じ。
ストーリーとしては日々何をするでもなく突然万引きしたり食い逃げしたり、フラフラ生きている主人公、男子高校生の陽介はある日、夜中に空から降ってきた謎のチェーンソー男と戦う女子高生の絵理と出会う。
その奇妙な体験を親友の渡辺に話すも、全く信じてもらえず、何故か陽介は毎日絵理を手伝い出し、最初は迷惑がっていた絵理もだんだんと心を開いてきて二人の交流が始まるが、その後もチェーンソー男はなかなか退治できず戦いは続いていき・・・・といった内容。
一見不思議な設定であるがメインに描かれているのは自分がどう生きていいのかわからず鬱屈した感情や不安、苛立ちなどを持ったどこにでもいるような高校生が主人公だし、かといって真面目でもなく喧嘩や万引き、喫煙などを当たり前のように行なうような不良高校生なのだが、「不良」といっても「クローズZERO」みたいに「いかにもワル」な危ない不良でもないし、バカっぽい会話とか行動は「中途半端」な不良をリアルに描いていた。
そういう高校生が不死身のチェーンソー男と戦う女子高生という非現実なものとの遭遇を通して、少し前にバイク事故で死んだ親友、能登への想いやいつも物事を中途半端で投げる渡辺との交流、チェーンソー男の正体につながる絵理の悲しい過去や彼女が陽介との出会いで変わっていく様子など無茶で理不尽ながら複雑で繊細な感情を持った今に生きる高校生の生の姿がうまく表現されている作品だったと思う。
そういう青春ドラマ部分がメインであるが、ファンタスティックな部分に目を向けてみると、雪が降るのを前触れに突然登場するチェーンソー男のヴィジュアルは「悪魔のいけにえ」のレザーフェイスをパワーアップさせてボロを着せた感じなのだが、エンジンがかかって動き出すチェーンソーの描き方がなかなかこだわりがある感じで面白いし、チェーンソー男と戦う時は運動能力が飛躍的にアップして超人的に戦う絵理のアクションも押井守のアニメ映画「ブラッド ザ・ラスト・ヴァンパイア」みたいなイメージで格好良かったし、ラストのオチはB級ホラー寄りにしてるのは好きな感じ。
