ウォーター・ホース |
「ウォーター・ホース」とはケルト民族の伝承に登場する生物でネス湖のネッシーがそうなのではないかともいわれる水に棲む謎の生物の事である。
第二次世界大戦中のスコットランドの村を舞台に戦死してしまった父の事を死んだと理解出来ずいつか戦地から帰ってくる事を願っている少年アンガスはある日、近くにあるネス湖で不思議な卵を発見し持ち帰る。
そのうち卵は孵化し中から出てきたのは見たこともない生物だったが、アンガスはその生物にクルーソーと名付け大切に育てる。
しかし軍が作戦のため村に訪れ、アンガスの家を宿泊地にした事からアンガスとクルーソーの楽しい生活はおびやかされ始め・・・・といったストーリー。
息子を心配しながらもちゃんと息子の心情がつかめず、厳しくあたってしまいアンガスから笑いを取り戻せない母アンや優しく弟を見守る姉カースティ、元軍人だが下働きとしてアンガスの家に雇われ、魔法や伝説に詳しくクルーソーの存在にも理解を示すルイス、作戦のために村を訪れ、アンの気を惹きたいために空回りな努力と自慢を繰り返すハミルトン大尉やアンガスに対して横暴な軍の男たちなどキャラクター設定はよくあるストレートな感じで「ガメラ 小さき勇者たち」や「E.T.」をミックスしたようなストーリーのイメージは展開的に読めるが、ベタながらクライマックスシーンのクルーソーが網を飛び越えるシーンは見ていて感動的☆
またこの映画で描かれるウォーター・ホースのクルーソーこと「ネッシー」は私が映画を見る前に考えていたようなリアルに未確認生物の生態をシュミレートして描いたようなものではなく、この世に存在するウォーター・ホースは1匹だけで次の卵を産んでしまうと死んでしまうという伝説話や、1晩で巨大化したりと生物としてはリアルな感じではなく、どっちかというと魔法世界の中の「水の精」とかドラゴンといったものに近い幻想的存在として描かれていた。
それからクルーソーの行動や反応、表情の変化などの描き方に関してもより人間に近く、豊かに描かれていてマンガ的キャラクターとして作られているし、これは巨大生物が登場する海外作品として連想する「キング・コング」や「ジュラシック・パーク」、「サラマンダー」のようなリアルな怪獣モンスター映画ではなくネッシーというUMAを題材にしたファンタジー映画といった印象。
またクルーソーの存在と併行して描かれるアンガスの心の成長やギクシャクしていたそれぞれの人間関係が波乱がありながらもうまく収拾していく様子とか人間ドラマ面もちゃんと作られているので映画全体としてわりとうまく出来ていたと思う。
映画の中でもクルーソーを目撃したものの写真は撮れなかった連中がネッシーの写真を捏造する過程が描かれていたし、現実にあの有名なネッシー写真は捏造だったという暴露があったが、写真はたとえ捏造だとしても昔から「何かを見た」という目撃情報はずっとあるんだし、私はこの映画で描かれたウォーター・ホースのような生物じゃないにしてもああいう場所には何か棲んでいる気して、そういうものが何かいると考える方が夢があって楽しいと思う。
