2008年 03月 08日
天孫降臨 |
諸星大二郎の漫画「天孫降臨~稗田礼二郎のフィールド・ノートより」を読んだ。
この作品は歴史における様々な「奇説」を調査する考古学者稗田礼二郎を主人公とした「妖怪ハンター」シリーズの1冊であるが、今回は花咲爺伝説をはじめ、瓜子姫と天邪鬼の昔話や古事記に伝わる「天若日子神話」における天探女、高木の神など「木」に絡む日本の伝説から西洋に伝わる「生命の木」伝説との関連性を融合し、稗田の調査に関わって生命の木の種を探す橘という男やジャンボ機墜落で生き残った兄妹を中心にある村に住むまるで瓜子姫と天邪鬼の話を現実化したような登場人物たちが交錯してストーリーが複雑に展開していくのが面白い。
また、メインとなる「天孫降臨」のエピソードの他にも失われていた村の祭りの復活に協力した稗田が客寄せのためにと村人が勝手にやった祭事の変更にやってもたらされる怪異を描いた「闇の客人」や、「天孫降臨」に先立つ神々の伝説にも関連するわらべうたや天神様にまつわるエピソード「天神さま」も面白かった。
こういう話を読むと古代日本には実際ああいう異界のものと通じる手段を持った儀式や風習が存在していて、古代の人々は時には神であり時には鬼でもあるような異界の存在とうまく共存していたのかもしれない~とか想像してしまう。
「天孫降臨」エピソードの鍵となる「生命の木」の話は映画「奇談」の基にもなっていたが、「奇談」では「知恵の木」の力を得たわれわれと同じ人類と「生命の木」の力を得たもう一つの人類の存在に「アダム」や「ルシファー」といったキリスト教的世界の要素を絡めた話で面白かったが、たしか劇中にこの本収録の瓜子姫と天邪鬼のエピソードも少し要素としてあった気もする。
映画での稗田礼二郎は緻密な調査と推理力で怪奇事件の解明を行なっていく感じだったが、この「天孫降臨」での稗田は調査だけでなくかなり危険な状況に陥る中、鏃で化け物と抗戦したり、空飛ぶ石舟で脱出したり凄い活躍ぶりで、もし映画にするならインディ・ジョーンズばりの大冒険作品になりそうだし、そういう実写版稗田礼二郎の姿も見てみたい。

この作品は歴史における様々な「奇説」を調査する考古学者稗田礼二郎を主人公とした「妖怪ハンター」シリーズの1冊であるが、今回は花咲爺伝説をはじめ、瓜子姫と天邪鬼の昔話や古事記に伝わる「天若日子神話」における天探女、高木の神など「木」に絡む日本の伝説から西洋に伝わる「生命の木」伝説との関連性を融合し、稗田の調査に関わって生命の木の種を探す橘という男やジャンボ機墜落で生き残った兄妹を中心にある村に住むまるで瓜子姫と天邪鬼の話を現実化したような登場人物たちが交錯してストーリーが複雑に展開していくのが面白い。
また、メインとなる「天孫降臨」のエピソードの他にも失われていた村の祭りの復活に協力した稗田が客寄せのためにと村人が勝手にやった祭事の変更にやってもたらされる怪異を描いた「闇の客人」や、「天孫降臨」に先立つ神々の伝説にも関連するわらべうたや天神様にまつわるエピソード「天神さま」も面白かった。
こういう話を読むと古代日本には実際ああいう異界のものと通じる手段を持った儀式や風習が存在していて、古代の人々は時には神であり時には鬼でもあるような異界の存在とうまく共存していたのかもしれない~とか想像してしまう。
「天孫降臨」エピソードの鍵となる「生命の木」の話は映画「奇談」の基にもなっていたが、「奇談」では「知恵の木」の力を得たわれわれと同じ人類と「生命の木」の力を得たもう一つの人類の存在に「アダム」や「ルシファー」といったキリスト教的世界の要素を絡めた話で面白かったが、たしか劇中にこの本収録の瓜子姫と天邪鬼のエピソードも少し要素としてあった気もする。
映画での稗田礼二郎は緻密な調査と推理力で怪奇事件の解明を行なっていく感じだったが、この「天孫降臨」での稗田は調査だけでなくかなり危険な状況に陥る中、鏃で化け物と抗戦したり、空飛ぶ石舟で脱出したり凄い活躍ぶりで、もし映画にするならインディ・ジョーンズばりの大冒険作品になりそうだし、そういう実写版稗田礼二郎の姿も見てみたい。

by lucifuge
| 2008-03-08 22:18
| 本/漫画