2008年 03月 19日
レンブラントの夜警 |
コックと泥棒、その妻と愛人」や「ベイビー・オブ・マコン」など独特で奇妙な世界観を展開するイギリス映画界の奇才ピーター・グリーナウェイ監督の新作「レンブラントの夜警」を見た。
この映画はバロック三大画家の一人と賛辞される17世紀オランダの画家レンブラント・ファン・レインの代表作である「夜警」をめぐる物語で、アムステルダム市警団から集団肖像画の依頼をレンブラントはその制作にあたり市警団の裏に蠢く様々な闇や陰謀が入り混じった複雑な人間関係を絵の中に組み込もうとするが・・・・・といったストーリー。
美術の教科書などでよく目にするこの「夜警」は光と影のコントラストが印象的な闇の中に浮かぶ市警団の群像の絵は芝居がかったドラマティックさを持ったドラマティックな作品という今まで普通に芸術作品として凄い作品という印象しか持っていなかったのだが、実はそこに描かれているいくつかの連中は市警団内のホモ・スキャンダルをはじめ、権力を手にするために殺人や陰謀もいとわない人間や児童を虐げる異常性愛者、その連中と対立する人々や残酷な環境の被害者たちなど様々な悪意と犯罪、それに対する告発というドロドロした恐ろしいものが描かれていた真実は凄く意外だったし、絵の制作や陰謀の展開と併行してレンブラントと妻の関係、叔父との確執、妻亡き後の彼と愛人たちの関係などレンブラント自身の私生活や人間性が色んな視点から描かれていたのも面白かった。
また、グリーナウェイ独特の手法というか、単に歴史における人間群像をそのまま描写するのではなく、ある時は何かを暗示させるような幻想的な悪夢のシーンであったり、ドキュメンタリー映画のようなレンブラントにインタビュー形式で話させるシーン、はたまた演劇のような撮り方など場面によって趣向が凝らされていて面白いし演劇的なシーンなどは実は絵の意味とあわせてちゃんとした意味が含まれているというマニアックな凝り様は好きな感じ。
それにしても当時のオランダって共和国ながら下層の市民にとっては悲惨な環境だし、特にその中における子供たちの扱いは非常に酷くてショックだった。
ただ、劇中9歳や15歳の少女を演じている女優がどう見ても30歳くらいにしか見えないような女優を使ってるので台詞で年齢が出て「え?」という違和感はあったが・・・。
映像は派手な華やかさではないが作りこまれた豪華さもあって「夜警」の絵のように暗く重厚さを感じられるし、贅沢と過酷さが混在する退廃した当時のオランダ社会をうまく表現していたと思う。
それから音楽に関してはオープニングや劇中所々に使用される、まるでレンブラントの情熱とそれを取り巻く闇を象徴したような、激しさと不気味さを醸し出す低音のヴァイオリン曲はかなり印象的だった。

この映画はバロック三大画家の一人と賛辞される17世紀オランダの画家レンブラント・ファン・レインの代表作である「夜警」をめぐる物語で、アムステルダム市警団から集団肖像画の依頼をレンブラントはその制作にあたり市警団の裏に蠢く様々な闇や陰謀が入り混じった複雑な人間関係を絵の中に組み込もうとするが・・・・・といったストーリー。
美術の教科書などでよく目にするこの「夜警」は光と影のコントラストが印象的な闇の中に浮かぶ市警団の群像の絵は芝居がかったドラマティックさを持ったドラマティックな作品という今まで普通に芸術作品として凄い作品という印象しか持っていなかったのだが、実はそこに描かれているいくつかの連中は市警団内のホモ・スキャンダルをはじめ、権力を手にするために殺人や陰謀もいとわない人間や児童を虐げる異常性愛者、その連中と対立する人々や残酷な環境の被害者たちなど様々な悪意と犯罪、それに対する告発というドロドロした恐ろしいものが描かれていた真実は凄く意外だったし、絵の制作や陰謀の展開と併行してレンブラントと妻の関係、叔父との確執、妻亡き後の彼と愛人たちの関係などレンブラント自身の私生活や人間性が色んな視点から描かれていたのも面白かった。
また、グリーナウェイ独特の手法というか、単に歴史における人間群像をそのまま描写するのではなく、ある時は何かを暗示させるような幻想的な悪夢のシーンであったり、ドキュメンタリー映画のようなレンブラントにインタビュー形式で話させるシーン、はたまた演劇のような撮り方など場面によって趣向が凝らされていて面白いし演劇的なシーンなどは実は絵の意味とあわせてちゃんとした意味が含まれているというマニアックな凝り様は好きな感じ。
それにしても当時のオランダって共和国ながら下層の市民にとっては悲惨な環境だし、特にその中における子供たちの扱いは非常に酷くてショックだった。
ただ、劇中9歳や15歳の少女を演じている女優がどう見ても30歳くらいにしか見えないような女優を使ってるので台詞で年齢が出て「え?」という違和感はあったが・・・。
映像は派手な華やかさではないが作りこまれた豪華さもあって「夜警」の絵のように暗く重厚さを感じられるし、贅沢と過酷さが混在する退廃した当時のオランダ社会をうまく表現していたと思う。
それから音楽に関してはオープニングや劇中所々に使用される、まるでレンブラントの情熱とそれを取り巻く闇を象徴したような、激しさと不気味さを醸し出す低音のヴァイオリン曲はかなり印象的だった。

by lucifuge
| 2008-03-19 21:17
| 映画/洋画