2008年 03月 31日
METライブビューイング~ブリテン《ピーター・グライムズ》 |
ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場のオペラを映画として公開する企画「METライブビューイング」の第5弾「ブリテン《ピーター・グライムズ》」を見た。
19世紀の詩人ジョージ・クラブが書いた長編詩「町」の中の1編「ピーター・グライムズ」から着想を得たブリテンがオペラ化した作品で、演出は舞台ミュージカル版「スウィーニ-・トッド」を手がけたジョン・ドイル。
漁師であるピーター・グライムスは漁の最中に徒弟の少年を死なせてしまった事で村の公会堂で審理に出頭させられるが、事故として処理され罪を問われる事はなかったものの二度と少年を雇わぬよう注意を受ける・・・・しかし村人たちは彼を殺人者だと噂をたて、仲間ハズレにされ目の敵にされる中、ピーターは再び孤児院から連れてきた少年を雇った事から再び事件が起こるのではないかと村人たちは騒ぎ立て・・・といったストーリー。
村八分にされた男の孤独や悲しみ、狭い村の中での閉鎖的な社会生活、人の噂の残酷さと狂気、貧しさや虐待などダークな面が描かれ、果たしてピーター自身にも殺人の疑いはないのか?という怪しさとかそんなピーターを優しく見守ろうとする女教師エレン、村人を煽る自称立派な婦人のアヘン中毒のバアさんややたらピーターを誹謗する宗教者、酒場を経営する女主人と酒場で売春をしているその姪などオペラの持つ華やかなイメージとはまるで逆な暗い世界観と歪んだ人物関係が描かれているのは異色であり、結構インパクトがあった。
だがいかにもオペラな華やかさはないものの、音楽面はしっかり作られていて舞台ながらまるで映画の1シーンのような雰囲気も感じさせるような映像的な感覚を感じたり、何より男声と女声のコーラスを多用した歌の部分は圧巻!
悲劇的な展開を荘厳に表現していた。
また、このオペラの閉鎖的な村と人間といった世界観を象徴するような巨大な壁を思わせるセットは1階部分から3階部分にかけて所々扉が開くようになっており、開けた扉にそれぞれ人がいる状態の時はまるで人形のショーケースのようにも見えて不思議な感じだったし、隣同士で次々扉が開く1階部分はちょっとドリフの近所の奥さんコントで使ってたセットを連想させたり妙な面白さがあったが、全体的には不気味で暗いこれまで見た事のないようなオペラだった。
時代設定やファッションの感じも「スウィーニ-・トッド」に近く、あの作品もダークな復讐の物語だったが、この「ピーター・グライムス」を劇映画にした場合、「スウィーニ-・トッド」以上に暗く悲しい心理劇を生かしたドラマになりそう。
19世紀の詩人ジョージ・クラブが書いた長編詩「町」の中の1編「ピーター・グライムズ」から着想を得たブリテンがオペラ化した作品で、演出は舞台ミュージカル版「スウィーニ-・トッド」を手がけたジョン・ドイル。
漁師であるピーター・グライムスは漁の最中に徒弟の少年を死なせてしまった事で村の公会堂で審理に出頭させられるが、事故として処理され罪を問われる事はなかったものの二度と少年を雇わぬよう注意を受ける・・・・しかし村人たちは彼を殺人者だと噂をたて、仲間ハズレにされ目の敵にされる中、ピーターは再び孤児院から連れてきた少年を雇った事から再び事件が起こるのではないかと村人たちは騒ぎ立て・・・といったストーリー。
村八分にされた男の孤独や悲しみ、狭い村の中での閉鎖的な社会生活、人の噂の残酷さと狂気、貧しさや虐待などダークな面が描かれ、果たしてピーター自身にも殺人の疑いはないのか?という怪しさとかそんなピーターを優しく見守ろうとする女教師エレン、村人を煽る自称立派な婦人のアヘン中毒のバアさんややたらピーターを誹謗する宗教者、酒場を経営する女主人と酒場で売春をしているその姪などオペラの持つ華やかなイメージとはまるで逆な暗い世界観と歪んだ人物関係が描かれているのは異色であり、結構インパクトがあった。
だがいかにもオペラな華やかさはないものの、音楽面はしっかり作られていて舞台ながらまるで映画の1シーンのような雰囲気も感じさせるような映像的な感覚を感じたり、何より男声と女声のコーラスを多用した歌の部分は圧巻!
悲劇的な展開を荘厳に表現していた。
また、このオペラの閉鎖的な村と人間といった世界観を象徴するような巨大な壁を思わせるセットは1階部分から3階部分にかけて所々扉が開くようになっており、開けた扉にそれぞれ人がいる状態の時はまるで人形のショーケースのようにも見えて不思議な感じだったし、隣同士で次々扉が開く1階部分はちょっとドリフの近所の奥さんコントで使ってたセットを連想させたり妙な面白さがあったが、全体的には不気味で暗いこれまで見た事のないようなオペラだった。
時代設定やファッションの感じも「スウィーニ-・トッド」に近く、あの作品もダークな復讐の物語だったが、この「ピーター・グライムス」を劇映画にした場合、「スウィーニ-・トッド」以上に暗く悲しい心理劇を生かしたドラマになりそう。
by lucifuge
| 2008-03-31 21:53
| 舞台