2008年 05月 23日
実録 日本のタブー |
漫画実話ナックルズの特別編集版「実録 日本のタブー」を読んだ。
日本社会における様々な「タブー」をテーマにした漫画やコラムを紹介した本であるが、収録内容としては総合格闘技界の汚れた内幕、死刑囚や囚人、医療少年院、芸能界やTV番組、宗教、自衛隊、精神病院、ディズニーランドの実態をはじめ、「放送禁止」となった幻の作品の紹介や小人プロレスの世界、村落の奇習などが載っており、歴史的ネタとしては「不思議ナックルズ」でも度々取り上げられている「天皇」に関するタブーや日本の歴史の影に実在した謎の民「サンカ」についての記事など興味深いものもあった。
格闘技界や芸能界のタブーな噂などは実話系の雑誌で前から言われているような黒い人脈や金、肉体接待などいかにもゴシップ的なネタが多かったが、中でもテレビ番組の「ヤラセ」に関してはここまでやってたのかというレベルのものまであって驚いた!
「報道番組」での犯罪の瞬間をとらえたスクープ映像やモザイクで何とでも誤魔化せる証言者の捏造、「警視庁24時」的な番組制作におけるヒドイ実態などドキュメンタリーや報道番組と称されるものの多くは実は真実ではないというショッキングな暴露はTVの報道に対してかなりな不信感を抱いてしまう。
バラエティー番組での「ヤラセ」ならともかく「報道」でやるというのはヒドイだけでなく事実を曲げて多くの人間に伝えるという行為は恐ろしく感じる・・・。
また宗教ネタではかって世間を騒がせた「オウム就学拒否」に対する過剰な住民運動に対して描いていたエピソードがかなり印象的。
普段は普通のいい人々なのに、ひとたび国家が「悪」と指定したという団体が町に来るという事で団結し、逆に反対運動をしている人々の方が狂気とも思える犯罪まがいの行動を「奴等は悪だから何をしても正義」といった感じに過剰にしていくというのが恐ろしくて、そういう普通だった人が状況の変化で狂気に転じてしまうというのは、先日見た映画「ミスト」の中での宗教かぶれのオバサンが極限状況で周囲の人間を狂気に導いてしまうという展開に重なって、人間の理性というのはこんなに脆いものなのかというのを感じるエピソードだった。
それから発禁になった様々な映像作品についての話は一部権力による隠蔽的なものも存在するものの、まともに考えたら自粛した側が世間の目に対して過剰に反応し過ぎた感じや、クレームをつけてくる団体の意見にしても過剰になってる感じのものが多かったり、変なところで「倫理」や「道徳」を気にし過ぎて作品本来の評価をまともにしようとしていない残念な姿勢が見える。
こういう幻の作品は表現が多様化した今でこそもっと世に出して評価を見直してみるべきだと思うが。
天皇家のタブーについては1980年代に起こった「自称天皇ブーム」から滅びたとされる後南朝の末裔を探し、実際に会ってきたという驚くべきルポルタージュが載っていて、その地に「三種の神器」も存在するという興味をそそる話だったが、歴史は常に勝者によって書き換えられていくので、この南朝天皇の末裔もそういう歴史修正の影に埋もれた日本の裏側を知る貴重な存在であるといえる。
また「サンカ」については身分制度に属さない独自の社会を持った自由の民というのが学校で教えられた日本史では知りえないミステリアスな存在として興味を持ったし、歴史というのはもっと複雑で混沌とした人々のつながりや出来事の上に成り立っている、それ自体が壮大なミステリーなのかもしれないと感じさせる。
「タブー」というのはそういう歴史のミステリーを紐解く重要な要素であるのかもしれない。
日本社会における様々な「タブー」をテーマにした漫画やコラムを紹介した本であるが、収録内容としては総合格闘技界の汚れた内幕、死刑囚や囚人、医療少年院、芸能界やTV番組、宗教、自衛隊、精神病院、ディズニーランドの実態をはじめ、「放送禁止」となった幻の作品の紹介や小人プロレスの世界、村落の奇習などが載っており、歴史的ネタとしては「不思議ナックルズ」でも度々取り上げられている「天皇」に関するタブーや日本の歴史の影に実在した謎の民「サンカ」についての記事など興味深いものもあった。
格闘技界や芸能界のタブーな噂などは実話系の雑誌で前から言われているような黒い人脈や金、肉体接待などいかにもゴシップ的なネタが多かったが、中でもテレビ番組の「ヤラセ」に関してはここまでやってたのかというレベルのものまであって驚いた!
「報道番組」での犯罪の瞬間をとらえたスクープ映像やモザイクで何とでも誤魔化せる証言者の捏造、「警視庁24時」的な番組制作におけるヒドイ実態などドキュメンタリーや報道番組と称されるものの多くは実は真実ではないというショッキングな暴露はTVの報道に対してかなりな不信感を抱いてしまう。
バラエティー番組での「ヤラセ」ならともかく「報道」でやるというのはヒドイだけでなく事実を曲げて多くの人間に伝えるという行為は恐ろしく感じる・・・。
また宗教ネタではかって世間を騒がせた「オウム就学拒否」に対する過剰な住民運動に対して描いていたエピソードがかなり印象的。
普段は普通のいい人々なのに、ひとたび国家が「悪」と指定したという団体が町に来るという事で団結し、逆に反対運動をしている人々の方が狂気とも思える犯罪まがいの行動を「奴等は悪だから何をしても正義」といった感じに過剰にしていくというのが恐ろしくて、そういう普通だった人が状況の変化で狂気に転じてしまうというのは、先日見た映画「ミスト」の中での宗教かぶれのオバサンが極限状況で周囲の人間を狂気に導いてしまうという展開に重なって、人間の理性というのはこんなに脆いものなのかというのを感じるエピソードだった。
それから発禁になった様々な映像作品についての話は一部権力による隠蔽的なものも存在するものの、まともに考えたら自粛した側が世間の目に対して過剰に反応し過ぎた感じや、クレームをつけてくる団体の意見にしても過剰になってる感じのものが多かったり、変なところで「倫理」や「道徳」を気にし過ぎて作品本来の評価をまともにしようとしていない残念な姿勢が見える。
こういう幻の作品は表現が多様化した今でこそもっと世に出して評価を見直してみるべきだと思うが。
天皇家のタブーについては1980年代に起こった「自称天皇ブーム」から滅びたとされる後南朝の末裔を探し、実際に会ってきたという驚くべきルポルタージュが載っていて、その地に「三種の神器」も存在するという興味をそそる話だったが、歴史は常に勝者によって書き換えられていくので、この南朝天皇の末裔もそういう歴史修正の影に埋もれた日本の裏側を知る貴重な存在であるといえる。
また「サンカ」については身分制度に属さない独自の社会を持った自由の民というのが学校で教えられた日本史では知りえないミステリアスな存在として興味を持ったし、歴史というのはもっと複雑で混沌とした人々のつながりや出来事の上に成り立っている、それ自体が壮大なミステリーなのかもしれないと感じさせる。
「タブー」というのはそういう歴史のミステリーを紐解く重要な要素であるのかもしれない。
by lucifuge
| 2008-05-23 21:42
| 本/コンビニ本