幻想の裸婦 |
この本も私自身ファンでお世話になっている幻想画家、高松潤一郎さんの作品が載っているというので探していたのであるが、2点載ってる作品のうち「破れ月の詩」というのが好きな感じ。
高松さんだけでなく同じくお世話になっている画家の大竹茂夫さんの80年制作の作品が載っており、不思議な怪物のフォルムや絵の舞台となる中世的な背景など全体的には今の作風と変わらないが、人物の描写が今よりちょっとリアルな感じもあったりでそういう一部の作風の変化が見られたりで面白いし、多賀新さんの魚をモチーフにした連作や春に展覧会を見に行ったヨルク・シュマイサーも載っていたりで豪華☆
他に気になった作品では「幻想画の発想と技法」にも載っていた蛇雄とか、長宗希佳、マリレ・イヌボウ・オノデラ、相馬武夫、松本匠、飯田四郎などそれぞれ「幻想的表現」の面では素晴らしかったが、「エロティシズム」的表現からすると高塚省吾の描く裸婦は光の表現と女体の柔らかな感じが見事だし、浜辺順の作品は女性の肌の表現が美しく、池内登の描く裸婦は繊細で透明な美しさを持っていたり女性の身体の表現ひとつにしても様々な感性が感じられて面白い。
基本的には幻想系の画家を中心にした画集であるが、本当に様々なタイプの画家が集められているものの、中に数年前騒動になったあのパクリ画家「和田義彦」の作品も載っていたりでビックリ!
この画家も20年くらい前はこんな凄い画集に載るほど評価のある人だったのに、そういう状態に慢心してあんなパクリ騒動や教えていた大学内でのひどいパワハラやセクハラ発覚などとんでもない事になってるし・・・・いくら世間で認められてもそれをいい事に傍若無人な行為に走るようなのは画家である以前に人間としてどうかと思う。
まあこの画集に載ってる和田氏の作品に関しては趣味的に私の好みではないが。
そんないわくつき画家も載ってるが、この画集はそんなの関係なしに素晴らしい画家が多く載ってるし、1冊見終わる頃には様々な幻想世界を旅したような気分にさせてくれたりで、私も見る人を「不思議の旅」に導けるような、そんな幻想的な作品が描きたい!と意欲が湧く本でもあった。