幻影師アイゼンハイム |
19世紀末のウィーンを舞台に天才的マジシャンであるアイゼンハイムと公爵令嬢であるソフィはかっては恋人同士であったが身分の違いから引き裂かれ、15年後に再会し、恋愛感情を再燃するも、ソフィは皇太子と政略結婚させられる運命にあり、また皇太子の宴席でのショーで彼に恥をかかせ、逆鱗に触れたアイゼンハイムはソフィの事も含め監視や妨害にあいはじめる・・・・そんな中別れを切り出したソフィは皇太子に殺され、悲しみに暮れるアイゼンハイムはある行動に出始めるが・・・といったストーリー。
アイゼンハイムとソフィーの身分を超えたロマンスや、その地位や権力であらゆる理不尽な妨害をした上、ソフィーまで殺してしまう皇太子、皇太子からアイゼンハイムの監視を命じられながらも自らは奇術の大ファンでアイゼンハイムに敬意を持ち、何とか彼を救おうとするウール警部など個性的なキャラクターがぶつかりあう人間ドラマはなかなか見ごたえがあるし、どこで誰が誰を騙し、この時どういう計画がなされたかという後半のスリリングな展開と「なるほど!」と思わせるラストのドンデン返しは見ていて気持ちよかった☆
まあ設定としてアイゼンハイムとソフィーの身分を超えた許されざる関係とか皇太子と結婚が決まってる状況など、何かまるで「少女漫画」の世界だったが・・・。
それにしてもさすが「マジック」をメイン要素にしているだけあって奇術のシーンのアイデアは現実には不可能っぽいながら結構奇抜で面白いし、「アイゼンハイムって一体何者?人間?」と思わせるくらいの超人的なショーを展開したりでひとつひとつのマジックに関してはよくわからない部分も多いが、それはあくまでアイゼンハイムの天才的才能を表現する部分であって、この映画における本当のマジックはもっと別のところにあったというオチが素晴らしい。
19世紀末を舞台にしたこういう奇術師をテーマにした映画では去年見た「プレステージ」が似た印象であるが、この映画は「プレステージ」ほどネタの奇抜さはないものの、人間ドラマはより濃厚に描かれているし、実際にあった「マイアーリング事件」と絡めたり、後半の驚きの展開など「プレステージ」に決して劣らない出来だったと思う
19世紀末という科学とオカルトが交錯した幻想的で混沌とした時代ではこういった不思議な人物が本当に存在していても違和感ない感じがするし、実は歴史の裏側でそういう知られざる凄い人物が、本来の目的は違うにしても結果的に歴史に影響を与えることに関与したと考えるのも想像が広がって面白い。