2008年 06月 29日
実録日本史 偉人達の最期 |
宙出版発行の廉価版コミックス「実録日本史 偉人達の最期」を読んだ。
この本は日本史における偉人たちの最期を描いた漫画であるが、収録人物としては宮本武蔵、武田信玄、徳川家康、石川五右衛門、滝沢馬琴、平賀源内、坂本龍馬、土方歳三、吉田松陰、天草四郎時貞の10人。
宮本武蔵のエピソードでは武蔵を世間で言われる「剣豪」ととらえるのではなく「殺人者」として描いたという視点はなかなか面白かったし、武蔵の書した「五輪の書」における戦いの手法はまさに武術的なだけでなく精神的に敵を追い詰める方法などあらゆる手段を尽くした殺人の方法であって、真剣勝負に負ける事は即死ぬ事を意味する冷徹な時代に生きた武蔵のこの漫画における最期の描き方はちょっと「あしたのジョー」みたいな印象も受けた。
武田信玄のエピソードでは死期が迫った事を知ると、あらかじめあらゆる計略を尽くし、自らの死後も武田家を守ろうとした執念や武将としての大きさは他の武将とも一線を画した存在だったと思う。
徳川家康の死については鯛の天ぷらに当たったなんて話があるが、実際は胃癌だったらしく、自ら調合した水銀が含まれるという万能薬の影響もあったらしいが、当時としては異例の75歳まで生きたという長寿ぶりには、それだけ健康に気を配り用心深かったからこそ天下がとれた人物だという、そういう姿が最期にも象徴されてるように思う。
続く石川五右衛門については有名な大泥棒ながら「偉人」なのかは微妙だが、秀吉に反抗した民衆の味方である「義賊」という面では英雄だといえるし、煮えたぎった油の入った釜でゆでられた壮絶な最期は昔の刑罰の残酷さや恐ろしさを感じるし、その残酷さは時の権力者による見せしめの意味も含まれているというのが現代の社会でも時々ある不可解な残虐事件を連想させるようで不気味。
滝沢馬琴のエピソードでは病で目が見えなくなっても義理の娘の代筆で自らのライフワーク的作品「南総里見八犬伝」を最後まで完成させようとした信念は凄いし、それだけ彼が心血注いだ作品だからこそ今も人々に愛され続ける名作なんだと感じた。
平賀源内のエピソードは私がこれまで知ってた源内のイメージとは違うものが描かれており、エレキテルは彼の発明品でなくオランダ製のものを修理しただけで彼はその原理も何も知らなかったとか、数ある発明をした天才にも関わらず、世間に認められない苦悩の末、殺人まで犯してしまい獄中死という悲惨な末路は意外だった。
坂本龍馬の死では有名な暗殺事件にスポットがあてられてるが、結局誰が暗殺したのかは未だに不明なのでそういう部分のミステリーは興味をかきたてられる。
新撰組で鬼の副長と恐れられた土方歳三のエピソードでは百姓から武士になり、士道を貫く事に命を懸けた男の意地を見せたな壮絶最期というのはかなりドラマティックだったし、こういう人物がもし明治維新後生きていたらまた世の中違う事になっていたかもしれないと思わせるくらいの人物であると思う。
吉田松陰のエピソードではこの漫画では有名な「松下村塾」についてふれていなくて、何故か獄中での松陰が同じく収監されていた高須久子という女性とのノロケ話が描かれていて他のドラマティックなエピソードに比べるとちょっと拍子抜けな感じ。
ラストの天草四郎時貞の死については普通に史実に言われている通りで、歴史ミステリー系の番組などで言われている実は豊臣秀頼の息子だったという説とかは全く出てこず、普通すぎて話としての面白味が薄い。
全体としては一部物足らないエピソードもあったものの、これまで知らなかった人物像とか視点を変えた切り口など意外な面白さがあって楽しめる本だったと思う。
この本は日本史における偉人たちの最期を描いた漫画であるが、収録人物としては宮本武蔵、武田信玄、徳川家康、石川五右衛門、滝沢馬琴、平賀源内、坂本龍馬、土方歳三、吉田松陰、天草四郎時貞の10人。
宮本武蔵のエピソードでは武蔵を世間で言われる「剣豪」ととらえるのではなく「殺人者」として描いたという視点はなかなか面白かったし、武蔵の書した「五輪の書」における戦いの手法はまさに武術的なだけでなく精神的に敵を追い詰める方法などあらゆる手段を尽くした殺人の方法であって、真剣勝負に負ける事は即死ぬ事を意味する冷徹な時代に生きた武蔵のこの漫画における最期の描き方はちょっと「あしたのジョー」みたいな印象も受けた。
武田信玄のエピソードでは死期が迫った事を知ると、あらかじめあらゆる計略を尽くし、自らの死後も武田家を守ろうとした執念や武将としての大きさは他の武将とも一線を画した存在だったと思う。
徳川家康の死については鯛の天ぷらに当たったなんて話があるが、実際は胃癌だったらしく、自ら調合した水銀が含まれるという万能薬の影響もあったらしいが、当時としては異例の75歳まで生きたという長寿ぶりには、それだけ健康に気を配り用心深かったからこそ天下がとれた人物だという、そういう姿が最期にも象徴されてるように思う。
続く石川五右衛門については有名な大泥棒ながら「偉人」なのかは微妙だが、秀吉に反抗した民衆の味方である「義賊」という面では英雄だといえるし、煮えたぎった油の入った釜でゆでられた壮絶な最期は昔の刑罰の残酷さや恐ろしさを感じるし、その残酷さは時の権力者による見せしめの意味も含まれているというのが現代の社会でも時々ある不可解な残虐事件を連想させるようで不気味。
滝沢馬琴のエピソードでは病で目が見えなくなっても義理の娘の代筆で自らのライフワーク的作品「南総里見八犬伝」を最後まで完成させようとした信念は凄いし、それだけ彼が心血注いだ作品だからこそ今も人々に愛され続ける名作なんだと感じた。
平賀源内のエピソードは私がこれまで知ってた源内のイメージとは違うものが描かれており、エレキテルは彼の発明品でなくオランダ製のものを修理しただけで彼はその原理も何も知らなかったとか、数ある発明をした天才にも関わらず、世間に認められない苦悩の末、殺人まで犯してしまい獄中死という悲惨な末路は意外だった。
坂本龍馬の死では有名な暗殺事件にスポットがあてられてるが、結局誰が暗殺したのかは未だに不明なのでそういう部分のミステリーは興味をかきたてられる。
新撰組で鬼の副長と恐れられた土方歳三のエピソードでは百姓から武士になり、士道を貫く事に命を懸けた男の意地を見せたな壮絶最期というのはかなりドラマティックだったし、こういう人物がもし明治維新後生きていたらまた世の中違う事になっていたかもしれないと思わせるくらいの人物であると思う。
吉田松陰のエピソードではこの漫画では有名な「松下村塾」についてふれていなくて、何故か獄中での松陰が同じく収監されていた高須久子という女性とのノロケ話が描かれていて他のドラマティックなエピソードに比べるとちょっと拍子抜けな感じ。
ラストの天草四郎時貞の死については普通に史実に言われている通りで、歴史ミステリー系の番組などで言われている実は豊臣秀頼の息子だったという説とかは全く出てこず、普通すぎて話としての面白味が薄い。
全体としては一部物足らないエピソードもあったものの、これまで知らなかった人物像とか視点を変えた切り口など意外な面白さがあって楽しめる本だったと思う。

by lucifuge
| 2008-06-29 21:19
| 本/コンビニ本