2008年 07月 23日
イースタン・プロミス |
「ヴィデオドローム」や「裸のランチ」、「ザ・フライ」など「内臓感覚」といわれる独特の映像センスで知られる映画界の鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督の新作「イースタン・プロミス」を見た。
舞台はロンドン。助産婦のアンナは薬局で出血し倒れた妊娠中のロシア人少女を治療するも、少女の命は助けられず、残された赤ん坊について親族を探そうと少女に唯一残されていた日記を持ち帰り、ロシア人である伯父に翻訳を依頼するが、「人の物を勝手に持ち帰ってくるなんて」と怒ってやってくれない。
日記に挟まれたあるロシア・レストランの名刺を見つけたアンナはその店に向かい、オーナーに少女の事を聞くが知らないと言われ、しかしオーナーはその日記を訳してあげようと言い出す・・・・しかしその店は実はロシアン・マフィア<法の泥棒>の店であり、オーナーはボスその人で少女の死とも深く関わっていた・・・・というようなストーリー。
赤ん坊の為に真相を突き止めようと動くアンナ、ロシアンマフィアの運転手であるが、死体処理や殺しもやり、ボスの息子の親友であるニコライ、ボスの息子だが勝手な行動が目立つキリル、普段は平静とした紳士だが裏の顔は非情と異常が入り混じるボスなど深く絡み合った人間関係やニコライ自身に隠されたある「秘密」、マフィア内部での汚い陰謀や過激な暴力描写はかなりのインパクトがある。
特にニコライがサウナで二人の殺し屋に襲われ、死闘を繰り広げるシーンは真に迫る暴力性で衝撃的だった。
ボスとキリル、親友のニコライという組織独特の「ファミリー」の描写なんかは非情でもありドラマティックでもあるし、対するアンナを中心とした一般のロシア系家族の描写もちゃんとしていて、それぞのれ家族の関わりなど、こういう「家族」を主体とした人物構成はまさにコッポラの「ゴッドファーザー」だし、ある意味ロシアン・マフィアを題材にしたクローネンバーグ版「ゴッドファーザー」ともいえるような印象も受けた。
またロシアン・マフィアの日常の描写や彼らにとっての刺青の意味、殺人や売春など鬼畜な犯罪行為の描写などを非常にリアルに表現していたり、そういった犯罪組織にいる連中の背景や、そこで搾取される人々の背後にある悲しい背景など社会的側面もしっかり描けてkたりで、ここ数年見たギャング系映画では「ディパーテッド」や「アメリカン・ギャングスター」にも劣らない完成度の高さを持った作品になっていたと思う。
クローネンバーグ監督の昔の映画は異様な映像とかシュールなストーリー展開など「幻想性」をメインにしたような映像感覚の作品が多かったが「スパイダー少年は蜘蛛にキスをする」あたりから、そういった幻想的映像感覚より人間の生の感情とか、狂気を表現する感じに変わってきていて、前作「ヒストリー・オブ・バイオレンス」からは狂気に加えて暴力性も前面に押し出した強烈な作品傾向になっていたが、それがこの「イースタン・プロミス」ではさらなる飛躍を遂げていた感じだったし、一般的には「カルト系」「キワモノ系」監督とみられていたクローネンバーグもこの作品で世間に彼の持つ才能の本当の深さを知らしめたのではないだろうか?
ニコライを演じた主演のヴィゴ・モーテンセンは「ロード・オブ・ザ・リング」で人間の王アラゴルンを演じた事で有名だが、クローネンバーグの前作「ヒストリー・オブ・バイオレンス」で全く違ったイメージを演じていたのには驚かされたし、この作品ではさらにそのダークなイメージを進化させて全身刺青に覆われた恐ろしさと優しさを秘めた男を見事に演じていた。
また、キリル役にヴァンサン・カッセル、アンナ役にナオミ・ワッツなど実力派の俳優を揃えていたのも良かった。
クローネンバーグが今後もこのヴァイオレンス路線でいくのなら再びヴィゴ主演でさらなる衝撃的作品をまた見せてほしいと思う。
舞台はロンドン。助産婦のアンナは薬局で出血し倒れた妊娠中のロシア人少女を治療するも、少女の命は助けられず、残された赤ん坊について親族を探そうと少女に唯一残されていた日記を持ち帰り、ロシア人である伯父に翻訳を依頼するが、「人の物を勝手に持ち帰ってくるなんて」と怒ってやってくれない。
日記に挟まれたあるロシア・レストランの名刺を見つけたアンナはその店に向かい、オーナーに少女の事を聞くが知らないと言われ、しかしオーナーはその日記を訳してあげようと言い出す・・・・しかしその店は実はロシアン・マフィア<法の泥棒>の店であり、オーナーはボスその人で少女の死とも深く関わっていた・・・・というようなストーリー。
赤ん坊の為に真相を突き止めようと動くアンナ、ロシアンマフィアの運転手であるが、死体処理や殺しもやり、ボスの息子の親友であるニコライ、ボスの息子だが勝手な行動が目立つキリル、普段は平静とした紳士だが裏の顔は非情と異常が入り混じるボスなど深く絡み合った人間関係やニコライ自身に隠されたある「秘密」、マフィア内部での汚い陰謀や過激な暴力描写はかなりのインパクトがある。
特にニコライがサウナで二人の殺し屋に襲われ、死闘を繰り広げるシーンは真に迫る暴力性で衝撃的だった。
ボスとキリル、親友のニコライという組織独特の「ファミリー」の描写なんかは非情でもありドラマティックでもあるし、対するアンナを中心とした一般のロシア系家族の描写もちゃんとしていて、それぞのれ家族の関わりなど、こういう「家族」を主体とした人物構成はまさにコッポラの「ゴッドファーザー」だし、ある意味ロシアン・マフィアを題材にしたクローネンバーグ版「ゴッドファーザー」ともいえるような印象も受けた。
またロシアン・マフィアの日常の描写や彼らにとっての刺青の意味、殺人や売春など鬼畜な犯罪行為の描写などを非常にリアルに表現していたり、そういった犯罪組織にいる連中の背景や、そこで搾取される人々の背後にある悲しい背景など社会的側面もしっかり描けてkたりで、ここ数年見たギャング系映画では「ディパーテッド」や「アメリカン・ギャングスター」にも劣らない完成度の高さを持った作品になっていたと思う。
クローネンバーグ監督の昔の映画は異様な映像とかシュールなストーリー展開など「幻想性」をメインにしたような映像感覚の作品が多かったが「スパイダー少年は蜘蛛にキスをする」あたりから、そういった幻想的映像感覚より人間の生の感情とか、狂気を表現する感じに変わってきていて、前作「ヒストリー・オブ・バイオレンス」からは狂気に加えて暴力性も前面に押し出した強烈な作品傾向になっていたが、それがこの「イースタン・プロミス」ではさらなる飛躍を遂げていた感じだったし、一般的には「カルト系」「キワモノ系」監督とみられていたクローネンバーグもこの作品で世間に彼の持つ才能の本当の深さを知らしめたのではないだろうか?
ニコライを演じた主演のヴィゴ・モーテンセンは「ロード・オブ・ザ・リング」で人間の王アラゴルンを演じた事で有名だが、クローネンバーグの前作「ヒストリー・オブ・バイオレンス」で全く違ったイメージを演じていたのには驚かされたし、この作品ではさらにそのダークなイメージを進化させて全身刺青に覆われた恐ろしさと優しさを秘めた男を見事に演じていた。
また、キリル役にヴァンサン・カッセル、アンナ役にナオミ・ワッツなど実力派の俳優を揃えていたのも良かった。
クローネンバーグが今後もこのヴァイオレンス路線でいくのなら再びヴィゴ主演でさらなる衝撃的作品をまた見せてほしいと思う。
by lucifuge
| 2008-07-23 21:22
| 映画/洋画