不思議ナックルズ vol.15 |
すでに先月の発売日に買ってあったのだが、少しずつ読んでいたので全部の記事に目を通せておらず、感想を書けないでいたものの、一応読了出来たので色々思った事を書いてみる。
今回の記事の内容的には「江東区女性漫画家殺人事件」、「津山三十人殺し~70年目の真実」、「八王子スーパーナンペイ事件」、「ゲームディレクター失踪事件の怪」、「九十九里海岸連続焼死事件」など実際にあった事件の隠された側面に迫ったものや事件にまつわる怪異話、「新聞に掲載された人肉食記事」、「死刑囚大谷高男、最期の五十三時間」などタブーに迫るもの、「呪い」や「祟り」にまつわる「怖い話」や「怪談新耳袋」で有名な「山の牧場」への再度のレポート、精神病院怪談「メドゥーサの首」、「少年の魂が宿った生き人形」などの怪異譚、「味の素にまつわる都市伝説」や「狂牛病生物兵器説」、「コカコーラにまつわる都市伝説検証」など我々の身近に関わってきそうな怪しい話とか陰謀的話の他、「戦時中の日本が原爆開発に成功していた」という説、vol.14でも言っていた「フルベッキ写真」と明治天皇替え玉説に対する写真鑑定結果など歴史的ミステリーに関する記事も興味深い。
特に人肉食の記事はショッキングながら難病を治すために食べると効くといった発想が「人体」というものが人間にとって特別なものであり、百年ほど前であるにせよ、当時新聞で報道され、それが闇の部分で民間伝承や文化として伝わり続けていたという事実は驚きであるし、つい百年ほど前の事であれば今でもどこかでそういう風習が密かに存在していても不思議ではなさそうな気もする。
また「呪い」にまつわるいくつかの話は人の心の生み出すおぞましい力というか恐ろしさがゾクゾク伝わってくるような話だったし、呪いに関わるという事自体の恐ろしさ、危険さというものも警告するような記事だったと思うが、この雑誌の広告ページに「ワラ人形ペンダント」だの「人の幸を吸い取るペンダント」だの記事で伝えたかった事と矛盾するような胡散臭い広告が載ってると何か珍妙な感じ(笑)
「狂牛病」の記事では「狂牛病」がアルツハイマー症と症状が似ており、アルツハイマーの権威である日本人教授の不可解な暗殺事件、狂牛病の生物兵器説に加え、実は近年増加しているらしい若年性アルツハイマー症とよばれるものが実は狂牛病で、それを隠蔽するためにアルツハイマーという名称を使っているなんていう話など、もし本当であれば現実的に考えた場合、国家規模で国民を使った人体実験をしているようで恐ろしい話である。
「生き人形」の話は「息子の死」という現実を受け入れられない両親が呼び寄せた怪異でもあり、悲しい話ながら息子の髪の毛などを使った人形を作るという行為は深い愛情を感じさせながらもいびつさを感じずにはいられないし、そういう違和感が現実世界にも影響した結果のなのかもしれない。
「山の牧場」の記事ではこれまで見た事がなかった牧場内の写真も少し載っていたのが不気味だったし、「水晶髑髏」の記事では最近観た映画「インディ・ジョーンズ クリスタルスカルの王国」の事も思い出したりしながら読んでいると、水晶髑髏の中でも有名である「ヘッジスの髑髏」はオーパーツなどではなく実は美術館から買った偽物だという事実は残念だったが、他にもまだ水晶髑髏は存在するんだし、中には本物のオーパーツも存在していて欲しいとオカルト好き的には思うが・・・・。
他には宮崎駿監督の名作アニメ映画「となりのトトロ」の主人公サツキとメイが実は死んでいるとか実際にあった殺人事件「狭山事件」との関連を噂する都市伝説の記事では、そういう話がどこから出回ったかという部分までちゃんと検証していたのは良かったし、見る人間の解釈によっては純粋無垢なストーリーでも様々な捉え方によって意外な裏ストーリーや解釈が展開されるというのは面白いと思う。
超常漫画家「あすかあきお」氏へのインタビュー記事も興味深い。
オカルトにまみれたような思考イメージのあすか氏が実はモルモン教徒というのは意外だったし、彼が漫画の道に対して努力を続けるも、その度に出版社側のいい加減な路線変更でなかなかうまくいかなかったりといった苦労話も面白かったり、以前読んだ「超常極秘ファイル 未確認飛行物体 UFO編」でのとんでもない話の発想の源流がこのインタビュー記事からちょっと解明出来たような気がする。
漫画といえば漫画で記事が説明されている新人編集アリィのコーナーでの「時空のおっさん」の話も興味が惹かれた。
子供時代に誰もいない異様な空間に迷い込んだ話やそこにいたオッサン、身に覚えのないのに風呂場にコンタクトレンズが200枚以上浮いていたなど不可解としか言いようのない話はこの現実とは似ているが少し違う世界とのつながりが一瞬起きたとか、その瞬間に別の世界の住人がこっちの世界で何かやった結果なのだろうか?とか色々想像してしまう。
「昭和不思議グッズ」のコーナーでは「ヒランヤ」とよばれる「ダビデの星」形のパワーグッズが紹介されていたが、当時のブームの盛り上がりぶりとかこれにハマッた芸能人たち、TV番組での取り上げられ方など時代を感じさせる話は面白かったし、本来超自然的力によって自らを高めるような存在であったはずのものが、商業化されるにつれ「予期しないお金が入った」だの「ダイエットに成功した」だの安易な願いを他力本願でかなえる目的の胡散臭いものに成り下がったという状況の変移も人間の欲望の浅はかさが感じられたりで、グッズひとつでも時代を象徴したものというのは同じように人間の様々な心や姿を象徴するような存在であったともいえるかもしれない。
「フルベッキ写真」鑑定での明治天皇替え玉説は結論としては「別人」という判定であったが、この写真に写っていたのが果たして本当に大室寅之祐であったのかというのも疑問だし、そもそも大室寅之祐とは違う人物が明治天皇と入れ替わっている可能性もあるかもしれないので、そうなると一体何が真実なのかわからなくなってくるが・・・・この件に関してはもっと追求レポートを続けて欲しいと思う。
最後に絵を描く人間として一番興味深かったのは「呪われた絵画」の記事。
怪奇画像系の本でよく載ってるようなべクシンスキーやゴヤの絵の話にはじまり、呪いとは無縁そうな「シャガール」の絵画にまつわる怪奇話とか、関西某所の山中にあるという盗品もコレクションに入っているらしい「秘密の美術館」の話では呪いの絵画が愛好家の手に渡った末の悲惨な末路など人心を惑わし死に誘う「絵の魔力」というのは一体どんなものなのかと考えさせる。
人を惹き付ける「魅力」を超え「魔力」にまでなった絵というのはまさに「悪魔」や「怪物」のような存在なのかもしれない。
それにしてもこの記事に登場する私設美術館というのは一体・・・?
その世界では名前を知らない人間がいないとまで言われる人物が所有するらしいが・・・・。
絵といえば毎回楽しみの一つである七戸優さんが描く表紙絵は今回vol.14と同じキャラクターと思われる少女がメイド服にパーティ用風の円錐帽子をかぶって耳を塞いでいるという様子であるが、vol.14から何かのストーリーでつながるようでそういうのを想像するのも面白いし、どういうイメージで描かれたのか、今度もし七戸さんが私の個展に来て下さる機会があれば(去年は見に来ていただけたので)聞いてみたいとも思う。
vol.16がどんな表紙になるかも楽しみである。