2008年 08月 22日
ダークナイト |
2005年に作られた「バットマン・ビギンズ」に続くクリストファー・ノーラン監督版バットマンの新作「ダークナイト」を観た。
前作でブルース・ウェインという男がいかにして「バットマン」という存在になるかという原点が描かれたが、今回はそのバットマンの最強の敵としてゴッサム・シティーを恐怖のドン底に陥れる犯罪者ジョーカーが登場する。
ストーリーとしてはギャングや腐敗警官が横行し犯罪渦巻くゴッサム・シティーで数少ない協力者たちの支援を受けつつ、孤独な戦いを続けるバットマンだったが、街のマフィアたちを手玉にとるような凶悪な犯罪者ジョーカーの出現によって街は混乱していく・・・そんな中、犯罪に対して毅然とした態度で臨み、正義を遂行する新任検事ハービー・デントの登場によって街は変わっていき、バットマンであるブルースも彼に正義を託したいと感じ始めるが、ジョーカーが仕掛けたさらなる恐ろしい罠によってバットマンやハービーたちの運命は揺らいでいく・・・といった内容。
この映画の目玉はなんといっても故ヒース・レジャーが演じたジョーカーのキャラクターであるが、ティム・バートン版でジャック・ニコルソンが演じたジョーカーもインパクトはあったものの、ジョーカーを「リアル」な犯罪者としてここまで強烈に表現したものはなかったし、彼の異常で嘘ばかりな言動や殺人に躊躇ない様子など真に迫る「狂気」はまさに人間のルールを無視した恐怖の存在であるし、実際に現実世界でも常軌を逸した犯罪を行なう連中は彼のように元々人間のルールの中で生きていない存在なのかもしれない・・・
対するバットマンも現実の法律を無視したような犯罪者スレスレの「正義」を行なうという点ではあらゆるルールを無視するジョーカーとも紙一重の差という境界線の曖昧さも人間の正義や心の闇、狂気などについて色々考えさせる。
そんなバットマンであるブルースも自らの心の限界や正義の遂行と倫理について悩んだり迷ったり心の弱さを見せたり、他のアメコミヒーローと違って「ただの人間」でありながら強大な悪を相手にしているという部分もドラマティックで魅力のひとつであるのかもしれない。
また今回新登場のハービー・デントがジョーカーの罠によっていかに変わっていってしまうかという点やハービーの現恋人であり、バットマンの元恋人であるレイチェルとの関係性、事件が続く中でバットマンに協力する市警のジムやその家族たちの運命など様々な思惑や意外な展開があったりでバットマンとジョーカーを中心とした「心の闇」を深く描く部分だけでなく人間ドラマとしても優れた映画に仕上がっていると思う。
それにしても以前のジョエル・シューマッカー版バットマンで登場した悪役トゥーフェイス(当時演じたのはトミー・リー・ジョーンズ)がああいう描かれ方をされたのは意外だったし、本来最も正義の側だったはずの人間がどんどん悪と狂気に堕ちていく過程を見事に描いていたと思う。
こういった主要人物たちの描写の他にも何かあるごとに主張や立場を変える愚かな民衆たちの姿やそういう民衆たちの弱い心をうまく利用したジョーカーの恐怖の犯罪演出なども実に巧みに構成されていたし、人の心の奥底には一体何があるのか?といった事を観客に問うようなシーンは重いテーマ性も感じて良かった。
こう書くとドラマ面ばかりが強調された映画のような印象も受けかねないが、そういうわけでもなく勿論アメコミヒーローとしての見せ場も十分でバットマンの協力者であるメカの天才フォックスの作り出す数々の超兵器や今回新登場のバットバイクともいうべき「バットポッド」は剥き出しの戦闘スタイルといったデザインで凄く格好良くアクションシーンも迫力だったし、ジョーカーが行なう犯罪シーンはタランティーノが撮るようなスタイリッシュで暴力的なクライムアクション映画を彷彿させるリアルさがあったり、過激な爆発シーンなどゴッサム・シティーを舞台にした一大スペクタクル映像は必見である。
それからタイトルが「ダークナイト(闇の騎士)」になっている意味についてはラストに明かされるがヒーローという存在意義、本当の正義を遂行するものの過酷さなど単純に「アメコミ・ヒーロー映画」ではくくれない、これまでのヒーロー映画とは一線を画す考え方も斬新で「バットマン」というものの本質をうまく捉えた意味合いだったと思うし、「なるほど」とも思った。
なのでこの「ダークナイト」はあらゆる面を含めて私的にはこれまでのバットマン作品の中ではベストである☆
今回の映画はアメリカでは大ヒットして早速続編の計画が持ち上がっているが、次回の悪役候補として「バットマン・フォーエバー」でジム・キャリーが演じたナゾナゾ男リドラー役にジョニー・デップが、「バットマン・リターンズ」でダニー・デヴィートが演じたペンギン役にアカデミー賞俳優フィリップ・シーモア・ホフマンを起用するようで今回ジョーカーやトゥー・フェイスをあんな凄い形に表現したノーラン監督が今度は一体どんな作品に仕上げるのか今から楽しみである。
前作でブルース・ウェインという男がいかにして「バットマン」という存在になるかという原点が描かれたが、今回はそのバットマンの最強の敵としてゴッサム・シティーを恐怖のドン底に陥れる犯罪者ジョーカーが登場する。
ストーリーとしてはギャングや腐敗警官が横行し犯罪渦巻くゴッサム・シティーで数少ない協力者たちの支援を受けつつ、孤独な戦いを続けるバットマンだったが、街のマフィアたちを手玉にとるような凶悪な犯罪者ジョーカーの出現によって街は混乱していく・・・そんな中、犯罪に対して毅然とした態度で臨み、正義を遂行する新任検事ハービー・デントの登場によって街は変わっていき、バットマンであるブルースも彼に正義を託したいと感じ始めるが、ジョーカーが仕掛けたさらなる恐ろしい罠によってバットマンやハービーたちの運命は揺らいでいく・・・といった内容。
この映画の目玉はなんといっても故ヒース・レジャーが演じたジョーカーのキャラクターであるが、ティム・バートン版でジャック・ニコルソンが演じたジョーカーもインパクトはあったものの、ジョーカーを「リアル」な犯罪者としてここまで強烈に表現したものはなかったし、彼の異常で嘘ばかりな言動や殺人に躊躇ない様子など真に迫る「狂気」はまさに人間のルールを無視した恐怖の存在であるし、実際に現実世界でも常軌を逸した犯罪を行なう連中は彼のように元々人間のルールの中で生きていない存在なのかもしれない・・・
対するバットマンも現実の法律を無視したような犯罪者スレスレの「正義」を行なうという点ではあらゆるルールを無視するジョーカーとも紙一重の差という境界線の曖昧さも人間の正義や心の闇、狂気などについて色々考えさせる。
そんなバットマンであるブルースも自らの心の限界や正義の遂行と倫理について悩んだり迷ったり心の弱さを見せたり、他のアメコミヒーローと違って「ただの人間」でありながら強大な悪を相手にしているという部分もドラマティックで魅力のひとつであるのかもしれない。
また今回新登場のハービー・デントがジョーカーの罠によっていかに変わっていってしまうかという点やハービーの現恋人であり、バットマンの元恋人であるレイチェルとの関係性、事件が続く中でバットマンに協力する市警のジムやその家族たちの運命など様々な思惑や意外な展開があったりでバットマンとジョーカーを中心とした「心の闇」を深く描く部分だけでなく人間ドラマとしても優れた映画に仕上がっていると思う。
それにしても以前のジョエル・シューマッカー版バットマンで登場した悪役トゥーフェイス(当時演じたのはトミー・リー・ジョーンズ)がああいう描かれ方をされたのは意外だったし、本来最も正義の側だったはずの人間がどんどん悪と狂気に堕ちていく過程を見事に描いていたと思う。
こういった主要人物たちの描写の他にも何かあるごとに主張や立場を変える愚かな民衆たちの姿やそういう民衆たちの弱い心をうまく利用したジョーカーの恐怖の犯罪演出なども実に巧みに構成されていたし、人の心の奥底には一体何があるのか?といった事を観客に問うようなシーンは重いテーマ性も感じて良かった。
こう書くとドラマ面ばかりが強調された映画のような印象も受けかねないが、そういうわけでもなく勿論アメコミヒーローとしての見せ場も十分でバットマンの協力者であるメカの天才フォックスの作り出す数々の超兵器や今回新登場のバットバイクともいうべき「バットポッド」は剥き出しの戦闘スタイルといったデザインで凄く格好良くアクションシーンも迫力だったし、ジョーカーが行なう犯罪シーンはタランティーノが撮るようなスタイリッシュで暴力的なクライムアクション映画を彷彿させるリアルさがあったり、過激な爆発シーンなどゴッサム・シティーを舞台にした一大スペクタクル映像は必見である。
それからタイトルが「ダークナイト(闇の騎士)」になっている意味についてはラストに明かされるがヒーローという存在意義、本当の正義を遂行するものの過酷さなど単純に「アメコミ・ヒーロー映画」ではくくれない、これまでのヒーロー映画とは一線を画す考え方も斬新で「バットマン」というものの本質をうまく捉えた意味合いだったと思うし、「なるほど」とも思った。
なのでこの「ダークナイト」はあらゆる面を含めて私的にはこれまでのバットマン作品の中ではベストである☆
今回の映画はアメリカでは大ヒットして早速続編の計画が持ち上がっているが、次回の悪役候補として「バットマン・フォーエバー」でジム・キャリーが演じたナゾナゾ男リドラー役にジョニー・デップが、「バットマン・リターンズ」でダニー・デヴィートが演じたペンギン役にアカデミー賞俳優フィリップ・シーモア・ホフマンを起用するようで今回ジョーカーやトゥー・フェイスをあんな凄い形に表現したノーラン監督が今度は一体どんな作品に仕上げるのか今から楽しみである。
by lucifuge
| 2008-08-22 23:24
| 映画/洋画