ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 |
元々このシリーズは1920年代のエジプトを舞台に元傭兵の冒険家リックと考古学者のエヴリン、その兄ジョナサンたちが甦った古代エジプトの邪悪な魔術師イムホテップと戦うというストーリーであり続く2でも再び甦ったイムホテップに強大な力を持った古代の王スコーピオン・キングも絡めさらなるアドベンチャーが描かれていたが、今回は7年ぶりの続編という事で時代設定も第二次世界大戦後の1946年になり、舞台も中国になってもはや原版の「ミイラ再生」のエジプト的要素から離れて、主要キャラクターたちと「ミイラ」の要素のみを使った全く新しい作品として生まれ変わった感じ。
1946年のイギリス、既に冒険家を引退し平穏な日々を暮らすリックとエヴリン夫妻は平穏ながら退屈な日々を送っていたものの、英国政府から<シャングリラの眼>という秘宝を中国に返還して欲しいと頼まれる。
一方アメリカで大学生活を送っているはずの息子アレックスは実は大学を中退し中国でかって超常的能力を有したという古代の皇帝の墓を発掘するが、上海のジョナサンの店でのリックたちとの思わぬ再会を経て、リックとエヴリン、アレックスたちは皇帝の復活を目論むヤン将軍の罠におち、不完全ながら甦った皇帝は将軍とともに逃走、リックたちは皇帝の世界制服の野望を阻止すべく再びミイラたちと戦う事になり・・・といったストーリー。
オープニングから見せるリックたちのおバカな様子からドタバタな展開、激しいアクションにファンタスティックな映像と冒険モノ映画としては最近の「インディジョーンズ クリスタルスカルの王国」みたいに変に堅苦しい社会派要素も全くなく何も考えずにひたすら楽しめるような、まさに「活劇」という感じの面白さがいっぱいな作品だったし、むしろ映画のテイスト的にはインディジョーンズの新作にもこうあってほしかったんではないかとも思う。
またインディといえばリックたち親と息子アレックスのギクシャクした関係が冒険の過程で修復していったりまるで「インディジョーンズ最後の聖戦」へのオマージュとも思えたりする展開もあるし、定番の遺跡の罠や仕掛けの面白さとかもインディ的テイストたっぷりで冒険映画の名作へのリスペクトも見える所が良いし、これまでと違って中国やチベット、シャングリラなどの東洋的要素をこういうハリウッド産冒険映画で描くという点も新鮮で面白かった☆
またキャラクターにしても十数年の歳月が経った設定なのに今までと全く変わってないブレンダン・フレイザー演じるリックに対して、アカデミー賞獲って「こんなB級映画出ない」と断ったからなのか以前のレイチェル・ワイズが降板しマリア・ベロが演じることになって本当に全く別人な妻エヴリン(笑)、いきなり20歳で登場な息子アレックスとちぐはぐなキャスティングはリック役以外はちょっとミスキャストだった気もするが、今まで通り「鬼太郎」で言えばねずみ男的役柄のずるくて腰抜けで金目当てな兄ジョナサンのキャラは良かったし、全くの悪党に徹したジェット・リー演じる皇帝やミシェル・ヨー演じる皇帝への復讐を誓う不死の女妖術師、イザベラ・リョン演じる皇帝を阻止しようとする謎の中国人娘リンなど新キャラクターもそれぞれ個性があって良い味が出ていたと思う。
特にジェット・リー演じる「竜の皇帝」は彼の持ち味であるカンフーアクションは勿論、五大要素を使った魔術的破壊シーンとか三つ頭の竜や唐獅子みたいなモンスターに変身したりと彼には珍しい特撮との融合シーンは楽しめるし、特撮といえばシャングリラのシーンではUMA好きには嬉しい「雪男」こと「イエティ」が登場して大活躍するのも見逃せない!
他には万里の長城付近で行なわれるミイラ軍団同士の大規模な戦闘シーンなど見所いっぱいでストーリーとしてはヒネリもなく都合よく行き過ぎな感もあるが、冒険映画はこれぐらいわかりやすくてダイナミックだったら小難しいネタなんかいらなくてそれでいいと思うし、ラストの台詞からは「次回はアステカやインカのミイラが登場?」と期待させるようなものもあったりで楽しみである。
このシリーズの原題は「MUMMY(ミイラ)」なのであの主人公たちとミイラさえ登場したらなんとか話はつながりそうだし、そのうち日本を舞台に河童や鬼のミイラなんかを登場させて新作作ってくれないかな~とも期待してしまう。