2008年 10月 07日
落下の王国 |
「ザ・セル」で殺人鬼の異様な脳内世界を幻想的に表現した鬼才ターセム監督の構想26年、撮影に4年かけたという新作「落下の王国」を観た。
1915年、アメリカ・ロサンゼルスにある病院を舞台に撮影中の事故で大怪我を負い、動けない状態で入院中のスタントマンであるロイとオレンジの樹から落ち腕を骨折した5才の少女アレクサンドリアがあるきっかけで出会い、アレクサンドリアはロイの話す思いつきでありながら不可思議で壮大な冒険物語に夢中になるが、失恋し自殺願望のあるロイは話の続きをアレキサンドリアに聞かせるかわりに彼女に病院内のモルヒネを盗ってこさせようと画策するが・・・・といったストーリー。
基本の話はそういう感じでごく単純な話なのだが、語られるストーリーに登場する悪の総督に復讐を誓う6人の戦士や彼等が旅の途中で出会う総督の婚約者である姫と戦士たちのリーダーである黒の山賊の恋とか、危機の中いきなり黒山賊の娘として登場するアレキサンドリアなど登場人物が現実の病院内にいる人物やロイの心の内面に反映された展開になったり、アレキサンドリアの想いが入った展開になったりと自在に変化していく様子は面白いし、アレキサンドリアを騙しながらもその純粋な心に反応して変化していくロイの感情とか人間ドラマ面としてもしっかり作られていると思う。
また何よりこの映画の魅力といえば「映像」なのだが、冒頭シーンから絵画の一部を切り取ったような撮り方をしていたり、世界各地の世界遺産の中で撮られた壮大で美しい情景はCGでは感じ得ない本物の迫力というか、人類の作り上げてきた本物の「美」や自然が見せる神秘の「美」など見ているだけで圧倒される。
またそういう世界遺産を使ってるばかりでなく、例えば戦士たちの旅の始まりであるバリのバタフライ礁のシーンではゾウが泳いでいたり、まるで幻想絵画のような奇妙なシチュエーションや世界の作り方、コッポラ版「ドラキュラ」でアカデミー賞を受賞した石岡瑛子が手掛けた華麗でファンタジックな衣装など映像の「見せ方」が非常に巧みでまさにターセムは「映像の魔術師」だし、特に黒山賊と姫の結婚式のシーンは観ていて夢の宴の中にいるようで強く印象に残った。
それからラストシーンについてはターセム監督の映画創成期におけるサイレント映画への大いなるリスペクトを感じたり、当時の世界では映画もまたロイの語るような夢物語と同じ異体験であり、ある意味その世界で働くロイ自身も幻想世界の住人なのだとも思う。
今年も「ライラの冒険」や「ナルニア国物語 第二章」、「スパイダーウィックの謎」など色々ファンタジー映画を観たが、この作品は今の所今年観たファンタジー映画のうちではベストだと思うし、去年観たファンタジーではベストだった「パンズ・ラビリンス」にも匹敵する印象深い作品だったと思う。
1915年、アメリカ・ロサンゼルスにある病院を舞台に撮影中の事故で大怪我を負い、動けない状態で入院中のスタントマンであるロイとオレンジの樹から落ち腕を骨折した5才の少女アレクサンドリアがあるきっかけで出会い、アレクサンドリアはロイの話す思いつきでありながら不可思議で壮大な冒険物語に夢中になるが、失恋し自殺願望のあるロイは話の続きをアレキサンドリアに聞かせるかわりに彼女に病院内のモルヒネを盗ってこさせようと画策するが・・・・といったストーリー。
基本の話はそういう感じでごく単純な話なのだが、語られるストーリーに登場する悪の総督に復讐を誓う6人の戦士や彼等が旅の途中で出会う総督の婚約者である姫と戦士たちのリーダーである黒の山賊の恋とか、危機の中いきなり黒山賊の娘として登場するアレキサンドリアなど登場人物が現実の病院内にいる人物やロイの心の内面に反映された展開になったり、アレキサンドリアの想いが入った展開になったりと自在に変化していく様子は面白いし、アレキサンドリアを騙しながらもその純粋な心に反応して変化していくロイの感情とか人間ドラマ面としてもしっかり作られていると思う。
また何よりこの映画の魅力といえば「映像」なのだが、冒頭シーンから絵画の一部を切り取ったような撮り方をしていたり、世界各地の世界遺産の中で撮られた壮大で美しい情景はCGでは感じ得ない本物の迫力というか、人類の作り上げてきた本物の「美」や自然が見せる神秘の「美」など見ているだけで圧倒される。
またそういう世界遺産を使ってるばかりでなく、例えば戦士たちの旅の始まりであるバリのバタフライ礁のシーンではゾウが泳いでいたり、まるで幻想絵画のような奇妙なシチュエーションや世界の作り方、コッポラ版「ドラキュラ」でアカデミー賞を受賞した石岡瑛子が手掛けた華麗でファンタジックな衣装など映像の「見せ方」が非常に巧みでまさにターセムは「映像の魔術師」だし、特に黒山賊と姫の結婚式のシーンは観ていて夢の宴の中にいるようで強く印象に残った。
それからラストシーンについてはターセム監督の映画創成期におけるサイレント映画への大いなるリスペクトを感じたり、当時の世界では映画もまたロイの語るような夢物語と同じ異体験であり、ある意味その世界で働くロイ自身も幻想世界の住人なのだとも思う。
今年も「ライラの冒険」や「ナルニア国物語 第二章」、「スパイダーウィックの謎」など色々ファンタジー映画を観たが、この作品は今の所今年観たファンタジー映画のうちではベストだと思うし、去年観たファンタジーではベストだった「パンズ・ラビリンス」にも匹敵する印象深い作品だったと思う。

by lucifuge
| 2008-10-07 22:28
| 映画/洋画