ウォンテッド |
会社では嫌味な女上司にイビられ、私生活では恋人が会社の同僚と浮気していたりとストレス過多と「負け犬」な日々を送っていた青年ウェスリーはある日薬局で出会った女性フォックスから彼の父が最近殺された事を知らされる。
フォックスを含め父も実は千年続く暗殺組織「フラタニティ」のメンバーであり、父を殺したクロスという男が彼を薬局で襲撃してきた事からウェスリーはフォックスとともに攻防と逃亡の末フラタニティにアジトに行き、暗殺者としての「選ばれし血」を持つ彼はそこで父の復讐を果たすべく一流の暗殺者になるよう特殊な訓練を受けていくことになるが・・・・・といった内容。
一人を殺して千人を救うというフラタニティの思想や苦痛えの耐久、特殊液での傷の回復システム、機織機械を使った訓練など組織内での独特な鍛錬方法の描き方は面白いし、度を超えた過激さを持つアクションシーンや打ち破るガラスが顔に張り付いた状態をスローで見せたりアドレナリン分泌時の超人的動作の表現、弾丸の見せ方、結構グロい事をやってながらサラッとクールな映像で見せている所など映像表現としてちょっと新しい事をやっているのも楽しめるし、ストーリーにしても「ありえない」ながら後半の意外な展開とかちょっと意表を突かれたし一見最近のいかにも金をかけたハリウッドアクション大作の同じような映画かと思いきや、ちょっとセンスが違う面白さがある気がする。
それというのも監督が「ナイトウォッチ」や「デイウォッチ」のロシア人監督ティムール・ベクマンベトフが撮っていたからというので納得。
彼の奇妙でダークな映像感覚はアメリカ人監督では作れなさそうな気がするし、いかにもアメリカ的なストーリーをこんな独特に表現したのは彼ならではだったと思う。
それにキャラクターにしても全身刺青だらけのフォックスをはじめ、一見紳士的な組織の頭領スローン、やたらと殴る「修理屋」やナイフの名人「ブッチャー」など暗殺者メンバーの面々も個性的だし、ウェスリーの女上司はホッチキスを嫌な感じでカチカチ鳴らす動作をしたり、恋人の浮気相手であるいかにも馬鹿そうな同僚とかウェスリーの住む世界によってキャラの作り分けがうまくされていたのもコミック的でわかりやすい。
しかしながら「暗殺」って人知れずコッソリ行なうイメージなのにフラタニティのやってる事は目立ち過ぎだし、謎が知れるあるシーンのアクションでは彼等の行動のせいで関係のない大勢の人を死に追いやってたり、それでは「千人殺して一人救う」な気が・・・とかツッこむ所もいっぱいある作品だったが(笑)
「ダークナイト」ほどの深みとドラマティックさはないながら最近のアクション映画ではハリウッド大作のありきたりとは少し違うものを見せてくれた作品だったと思う。
