新耳袋殴り込み 突撃!現代百物語 |
この本のシリーズは雑誌「映画秘宝」のライターであるギンティ小林氏が実話怪談「新耳袋」の舞台となった怪奇スポットを実際に突撃取材しにいくという内容なのだが、心霊レポートでありながら取材道中の仲間や関係者とのリアルな人間模様など「新耳袋大逆転」は最高に面白くて、その企画の始まりであった本作「新耳袋殴り込み」は一体どんな熱いドラマがあったのか?どんな恐ろしい体験があったのか?と興味津々で読み進めた。
ギンティ氏の霊体験話(テレビの上の顔半分女の話はヴィジュアル的にも結構印象的)に始まり、京都で有名な霊スポットである「深泥ヶ池」、「幽霊マンション」、大阪の「千日デパート」、貝塚市の「首吊り旅館」、そして謎だらけな「山の牧場」を探し求める旅、映像化もされた「新耳袋」のエピソード「ノブヒロさん」の実体験者である女性へのインタビュー、松竹芸能の若手芸人が潜入し心霊映像が撮れたという「K観光ホテル」、人が消えるという「天狗神社」などめくるめく恐ろしい場所への決死の取材が展開されている。
前半の深泥ヶ池や千日デパートのエピソードではギンティ氏に同行した映画秘宝編集者の「松崎君」のキャラがメッチャ嫌な感じで面白いし(ギンティ氏は大変だったろうけど:笑)その松崎君が「山の牧場」探しの中どんどん常軌を逸していくのもスリリングながら怖い・・・・この時の「山の牧場」取材では「大逆転」で登場した本来の山の牧場とは違う真っ白な巨大な建物やナンバーのない車が出入りする謎の施設にたどり着いたという奇妙な話になっていたが、そこで出会った妙な外人とか変な蕎麦屋とかその周辺環境も何か異様で不気味。
一体この地域一帯は何なのかますますわからなくなる・・・・。
そして「大逆転」でもギンティ氏とのやりとりが絶妙だった心霊嫌いな漫画家ヒロモト森一氏が参戦した「幽霊マンション」レポートも警察に不審者扱いされたり霊捜索以前のトラブルとか、いざ行ってからの様々な恐怖もかなり読みごたえがあった。
それにしてもそんな怖い場所でスパイダーマンの扮装をして写真を撮ったりする無茶苦茶さには驚き!
「ノブヒロさん」のインタビューは実体験者から話を直接聴くという心霊スポット取材とはまた違う興味深い企画ながら途中から編集長田野辺氏が悪ノリしだした事によって起こった怪奇現象は不気味だったし、私も画家であるだけに同じく画家だった「ノブヒロさん」が描いていた絵が実際にどんなものだったのかも気になる。
「K観光ホテル」は多分私も番組で見た事がある芸人アメリカザリガニが行って女の顔のようなものが映っていたあの心霊映像の場所だと思うが、そこで起こったカメラの異常現象は読むだけでも怖いし、「不思議SNSイベント」のトークでも聞いたが「霊は電気系統にくる」らしいのでこの場合はカメラの中に侵入したという事なのだろうか?
よく霊スポットなどで憑かれて頭痛がしたり・・・なんていう話も聞くが人間の脳も電気信号によって機能しているんだし、そう考えたらこういう話も霊が脳の電気に反応したという事になるのかも?
最後のエピソードである「天狗神社」の話では人が消えるかもしれないという危ない場所に行くというのに突撃メンバーであるコブラという人の過度なオフザケが逆に怖いし、天狗神社にいる人々は我々とは違う常識や文化に生きているという推論の中でどちかというとこのコブラという人は天狗神社側かも?とか思ったり(笑)
でも何とか天狗神社から無事に帰ってきた後に謎の男が「真実を教えてやろうか」と声をかけてきた話はゾッとした。
その男を撮った写メが載っていたが、千原せいじによく似たブサイク顔でちょっと笑えるながらこのブサイク顔が一体どんな真実を知っているというのか考えると妙に怖くなってくる。
様々な衝撃体験をリアルに体感させてくれるようなこの「新耳袋殴りこみ」も第2弾「新耳袋大逆転」に負けないくらい面白かったし、第3弾があるならさらに期待したい☆
