東京伝説 狂える街の怖い話 |
収録作品としてはAV業界のちょっと怖いある慣習についての話「お道具」、タクシーでの恐怖体験「あいのり」、風俗嬢が出会った奇妙な人物の話「男の純情」、出会い系サイトで出会った女の狂気を描く「出会い系」、犯罪の巧みな手口「お疲れ割引」、嫁姑関係の恐ろしい顛末「マザコン」、映画「サイコ」を連想させるような「首」、前巻の「サイコごっこ」と似た要素もある「家族語」、軽い気持ちで麻薬に手を出した事でひどい事になった「試されて...。」、アイドル志望者の悲惨な末路「壊れるんです...。」、ある意味かわいそうな「スーパーエリート」、美容室業界に出入りする怪しい新業者「リサイクル」、子を独占したい離婚した父親の狂気「愛されたくて...。」、突如起こった衝撃的な事故「夕立」など今回も様々なおぞましい話がてんこ盛りだったが、やはり興味をそそられて次々読んでしまった。
中でも新種の麻薬についての「イマーゴ」はホラー映画的なグロテスクな要素を想像させてしまうし、「ハンモック」はあるアジア系犯罪組織の恐ろしい報復の方法が生々しく描写されていたのもショックだった。
それから「日本専用」は事実だとしたら国内産の食物以外食べるのが恐ろしくなってしまうし、食生活というのは人間が生きる根幹である気がするからそこを攻撃するというやり方は非常に陰湿で悪質。
「パンチ屋」は一見「パンチ屋」の存在が異常なようで実は汚れ仕事を結果的にパンチ屋におしつけている地域住民の方が悪意にまみれているという狂気が怖かったし、「犬女」は自業自得ながら犯罪世界でのビジネスにいい気になっていた女の悲惨な末路が変わり果てた女の姿同様に魑魅魍魎が跋扈する世界の恐ろしさを垣間見せた話だったと思う。
「実験」は大した動機もなく「楽しみ」だけで他人を苦痛にさらし殺そうとする連中が存在しているというのが不気味だし、「プリンのおじちゃん」は児童虐待の悲惨な現状を感じさせる悲しい話だった・・・。
しかしながら最後に載っていた「万引き屋」は暗い要素のある話ながらも希望が見えるちょっとイイ話だったり、狂気と異常、恐怖と苦痛の連続のような本ながら最後はちょっと楽に読み終える構成で面白かった。
今回も前作に負けないインパクトの話がいっぱいで満足出来たし、次作「死に逝く街の怖い話」も既に入手してあるので楽しみ♪
