カイエダ薫展「Romansy」/森田在展「節」 |
カイエダさんの作品は神話や聖書をモチーフとした幻想的な世界が展開されていて私の趣味的に好きな感じであるが、表現技法として鉛筆と水彩、パステルなどを面白い構成で使っていたりと版画っぽい雰囲気もある独特な作風。
また単なる神話世界をそのまま描いたものではなく、SF的要素を含んだ絵になっていたり、70年代くらいのアメリカのポスターなどを連想するようなデザイン風の感覚も含んでいたりとこれ系の絵画ではよくある「重厚」さはないが、いかにも「ポップ」というわけでもない不思議なセンスは見ていて面白かった。
その後以前私も個展をした事がある画廊「ギャラリーはねうさぎ」に久しぶりに寄ってみたらスペースの1つで「森田在展~節」というのをやっており、見てみたのだが、歌舞伎風のキャラクターや獅子、着物の女性など和風モチーフを昔の浮世絵を思わせるような強い線の描き方で表現しつつ、どこかアメコミのような躍動感やポップな迫力を感じさせる作品の数々は結構気に入った。
特に作品のキーポイントともいえる線の「黒」は強烈なインパクトを持っていたし、全体的な色使いもゴージャスというか華やかな美しさで凄く印象に残るし、「和」を伝統的なものもふまえつつ新たにこういう形で表現するというのは面白い。
また和紙で作られた作品ファイルの作りこみも徹底していてそれだけでちゃんとした画集のようだったし、今後この作家さんがどういう作品を発表していくのかも楽しみである。