「超」怖い話A |
実際に様々な人々から聞きだした心霊関係や怪奇現象をテーマとした恐ろしい話を沢山集めた本であるが、収録内容としては「腐り縁」、「着信」、「グランドスラム」、「占有」、「黒い筋」、「ワンルーム」、「ネックレス」、「きれいな唄」、「猫憑き」、「わからないもの」、「バルコニー」、「慰謝」、「小鳥」、「友達」、「タラコ」、「驚いたこと」、「蛍」、「あの日のこと」、「眉剃り妊婦」など36本のエピソードが載っている。
特に「グランドスラム」はあんな罰当たりな事をたて続けにやってよく生きてたな~と思ったり、「占有」に登場する霊の姿の描写は特殊な異様さながらリアルなインパクトを感じ、「ネックレス」には道に落ちている得体の知れないものは絶対拾うべきではないと思ってしまう。
他には「きれいな唄」や「猫憑き」、「小鳥」は人が普段知りえない動物の別の顔というか彼らの持つ恐ろしさや不思議さを感じたし、「わからないもの」は神秘的でもありUMA的な興味も感じさせたり、「タラコ」はそのタラコといわれるものの存在のヴィジュアル的描写が結構グロテスクで強烈に印象に残った。
それから人間の念や欲の強さが生み出したような怪奇現象を感じさせる「驚いたこと」やちょっと悲しさも感じさせる「蛍」、阪神大震災というものが現代においてどれだけ多くの死者を出したかという普段の日常からすると非現実な日常になってしまった事や、それが怪異な世界へのつながりを感じさせる「あの日のこと」、何故だかわからないがある行為が霊に対する免疫のような効果を生むという「眉剃り妊婦」は状況は違うが似たようなパターンとして考えられる「ジンクス」と「運」というもの関係に本当に何かあるのかも?とか思ったりと色んなパターンでの怪奇体験が展開されていて、このシリーズは今回読んだのが初めてだったが、それぞれのエピソードがかなり怖くて面白かったしまた他のシリーズも読んでみたい。
「まえがき」や「あとがき」によると、この「超怖い話」というシリーズは昔、今はもうなくなってしまった勁文社から出版されており、2度の中断を経てこの竹書房版の新シリーズに至っているらしいが、本の製作過程で毎回事故や災難に巻き込まれる関係者がいるというのも何か怖いし、関係者たちが毎回命がけで出版しているシリーズというのも凄い!
毎回のこの出版に関する話だけ集めていっても十分「超怖い話」になりそう。
それにしても「まえがき」にあった「アズキちゃん」とは何者だろうか・・・?
