2009年 01月 12日
ワールド・オブ・ライズ |
レオナルド・ディカプリオとラッセル・クロウ主演、リドリー・スコットが監督した映画「ワールド・オブ・ライズ」を観た。
アメリカCIAに所属しイラクのサマラで情報活動をしているフェリスとその上司でアメリカ国内から司令を送るホフマンのチームは世界中で爆破テロ活動を展開するイスラム系テロ組織のリーダー、アル・サリームを捕まえるという任務を進めていた・・・テロ組織の裏切り者を保護すると騙して情報だけ聞き出し見捨てるホフマンの司令の非情さの中、フェリスは組織のアジトを襲い重要資料を奪う過程で相棒だったバッサームを失うも、その後ヨルダン情報部のハニ・サラームと協力しサリーム逮捕に向けての作戦を展開する・・・・その過程で看護師のアイシャと仲良くなりひと時の癒しを感じたフェリスだったが、ホフマンの勝手な横槍によって作戦は台無し、サラームの怒りを買ったフェリスは国外追放、しかしフェリスとホフマンはサリームに匹敵する規模の架空のテロ組織をCIAでデッチ上げサリームをおびき出そうと新作戦を展開、そんな中フェリスは再びサラームから呼ばれアンマンでの作戦を展開するも偽テロ組織の正体がバレ、アイシャがフェリスの代わりに組織に誘拐されフェリスとの人質交換を持ちかけてくるが・・・・といったストーリー。
ここに描かれるCIAのエージェントはスーパー兵器を使い、ダンディで女性にもモテモテみたいな「いかにも映画のスパイ」といったイメージではなく、現地に溶け込みドロドロに汚れて命を削るような危険な生活をしているリアルさが描かれているし、作戦成功のためにはどんな綺麗事もなくあらゆる「嘘」と「騙しあい」に満ちた非情で冷酷な現実が展開されていて、はたしてこれは「正義」なんだろうか?とも思ってしまうし、まさにこういう出来事というのは表には出てこないながら現実に起きている影の「戦争」そのものかもしれない。
それにしても全くテロと関係ない一般の人物を作戦とはいえテロの首謀者に仕立て上げ、結果的に悲惨な末路をたどらせるなんて、そんな人選の標的にされてしまった場合を考えたらかなりな恐ろしさだし、衛星を使った徹底的な監視システムの存在などは個人のプライバシーなんて国家にとっては大した事のないもののように感じさせたり、テロ組織も恐ろしいがそれ以上に国家権力の恐ろしさも感じさせる。
逆にテロ組織のやり方にしてもハイテクな国家組織に対してメールや電話をチェックしても無駄でしかない、あえて前近代的な方法での連絡方法や工作を行なっているという話も信憑性を感じたり、「大学まで出て何で自爆テロしなければいけないのか?」という組織内部におけるメンバーの苦悩とか原理主義者のコーランの曲解、組織での残虐な拷問描写などこちらも事実に基付いたリアルさから現実にこういう連中が存在していると考えるとかなり恐い・・・。
また仲間であるはずのフェリスに対してホフマンが騙したり、逆にフェリスがホフマンに従わなかったり、またヨルダン情報部のサラームとホフマンの騙しあいとかテロ組織との騙しあいなどこの映画には様々な「嘘」が隠れていてサスペンスとしても楽しめるし、リアルなアクションや暴力シーンなど映像自体に迫力があって2時間強緊迫した雰囲気のまましっかり観させる気が抜けない作品だった。
ディカプリオにクロウ、スコット監督という映画界では凄いメンバーを揃えた大作ながらアメリカでは全くヒットしなかったらしいが、あまりにもアメリカの黒い側面がリアルに描かれ過ぎていてアメリカ人が見たくない現実をつきつけているようでそれも納得だが、そういう事を別にしてもかなり内容の深い見ごたえのある強烈な映画だったと思う。
この映画でのディカプリオは昔のような美形なイメージは捨て去り、実際にいそうな汚い感じのCIA工作員を熱演してるし、クロウの方もブクブク太って安全圏でのうのうと勝手な司令を下す様子はかなりムカツク感じだったりとこれまでのクロウのイメージと違って意外で面白い。
それから監督のスコットは昔は「エイリアン」や「ブレードランナー」などどこか幻想的さを感じさせる絵画的な映像表現が好きだったが、80年代はアクションを撮っても大阪の街が退廃した近未来都市みたいに見えたりする「ブラックレイン」みたいにどこかまだ幻想感があったものの、「ブラックホークダウン」あたりからリアルで緊迫感のある映像に変わってきていて今回も勿論その路線だったが、こちら路線の映像は幻想感はないものの、その場の空気を感じるような臨場感はこの作品にピッタリだったし、一部砂漠での砂煙を見せるシーンでは昔のようなスモーク焚きまくりの幻想的な映像感覚も連想させたり「今のリドリー・スコット」の映像の良さを色々見せてくれる作品であった気もする。
エンディングには去年11月に17年ぶりに新譜「CHINESE DEMOCRACY」を出した伝説的ロックバンド「GUNS N' ROSES」の新譜に収録されている曲「If The World」が使われており、ヴォーカルであるアクセル・ローズのハイトーンな声がとても心地よい良い曲だったが、何故かこの映画の宣伝ではガンズの局が使用されているとか全く触れていないし、90年代には「ターミネーター2」や「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」、「エンド・オブ・デイズ」など映画の主題歌にガンズが使われた時には宣伝でもいつも話題になっていたのにもう今は全く触れないなんて何か寂しいし、映画の宣伝としてそれなりの価値がなくなってしまったという事なんだろうか?
ただ一昨年にガンズのライブを実際に見た時はかなり素晴らしいものだったし、バンド自身の力は衰えてないと思うが。
アメリカCIAに所属しイラクのサマラで情報活動をしているフェリスとその上司でアメリカ国内から司令を送るホフマンのチームは世界中で爆破テロ活動を展開するイスラム系テロ組織のリーダー、アル・サリームを捕まえるという任務を進めていた・・・テロ組織の裏切り者を保護すると騙して情報だけ聞き出し見捨てるホフマンの司令の非情さの中、フェリスは組織のアジトを襲い重要資料を奪う過程で相棒だったバッサームを失うも、その後ヨルダン情報部のハニ・サラームと協力しサリーム逮捕に向けての作戦を展開する・・・・その過程で看護師のアイシャと仲良くなりひと時の癒しを感じたフェリスだったが、ホフマンの勝手な横槍によって作戦は台無し、サラームの怒りを買ったフェリスは国外追放、しかしフェリスとホフマンはサリームに匹敵する規模の架空のテロ組織をCIAでデッチ上げサリームをおびき出そうと新作戦を展開、そんな中フェリスは再びサラームから呼ばれアンマンでの作戦を展開するも偽テロ組織の正体がバレ、アイシャがフェリスの代わりに組織に誘拐されフェリスとの人質交換を持ちかけてくるが・・・・といったストーリー。
ここに描かれるCIAのエージェントはスーパー兵器を使い、ダンディで女性にもモテモテみたいな「いかにも映画のスパイ」といったイメージではなく、現地に溶け込みドロドロに汚れて命を削るような危険な生活をしているリアルさが描かれているし、作戦成功のためにはどんな綺麗事もなくあらゆる「嘘」と「騙しあい」に満ちた非情で冷酷な現実が展開されていて、はたしてこれは「正義」なんだろうか?とも思ってしまうし、まさにこういう出来事というのは表には出てこないながら現実に起きている影の「戦争」そのものかもしれない。
それにしても全くテロと関係ない一般の人物を作戦とはいえテロの首謀者に仕立て上げ、結果的に悲惨な末路をたどらせるなんて、そんな人選の標的にされてしまった場合を考えたらかなりな恐ろしさだし、衛星を使った徹底的な監視システムの存在などは個人のプライバシーなんて国家にとっては大した事のないもののように感じさせたり、テロ組織も恐ろしいがそれ以上に国家権力の恐ろしさも感じさせる。
逆にテロ組織のやり方にしてもハイテクな国家組織に対してメールや電話をチェックしても無駄でしかない、あえて前近代的な方法での連絡方法や工作を行なっているという話も信憑性を感じたり、「大学まで出て何で自爆テロしなければいけないのか?」という組織内部におけるメンバーの苦悩とか原理主義者のコーランの曲解、組織での残虐な拷問描写などこちらも事実に基付いたリアルさから現実にこういう連中が存在していると考えるとかなり恐い・・・。
また仲間であるはずのフェリスに対してホフマンが騙したり、逆にフェリスがホフマンに従わなかったり、またヨルダン情報部のサラームとホフマンの騙しあいとかテロ組織との騙しあいなどこの映画には様々な「嘘」が隠れていてサスペンスとしても楽しめるし、リアルなアクションや暴力シーンなど映像自体に迫力があって2時間強緊迫した雰囲気のまましっかり観させる気が抜けない作品だった。
ディカプリオにクロウ、スコット監督という映画界では凄いメンバーを揃えた大作ながらアメリカでは全くヒットしなかったらしいが、あまりにもアメリカの黒い側面がリアルに描かれ過ぎていてアメリカ人が見たくない現実をつきつけているようでそれも納得だが、そういう事を別にしてもかなり内容の深い見ごたえのある強烈な映画だったと思う。
この映画でのディカプリオは昔のような美形なイメージは捨て去り、実際にいそうな汚い感じのCIA工作員を熱演してるし、クロウの方もブクブク太って安全圏でのうのうと勝手な司令を下す様子はかなりムカツク感じだったりとこれまでのクロウのイメージと違って意外で面白い。
それから監督のスコットは昔は「エイリアン」や「ブレードランナー」などどこか幻想的さを感じさせる絵画的な映像表現が好きだったが、80年代はアクションを撮っても大阪の街が退廃した近未来都市みたいに見えたりする「ブラックレイン」みたいにどこかまだ幻想感があったものの、「ブラックホークダウン」あたりからリアルで緊迫感のある映像に変わってきていて今回も勿論その路線だったが、こちら路線の映像は幻想感はないものの、その場の空気を感じるような臨場感はこの作品にピッタリだったし、一部砂漠での砂煙を見せるシーンでは昔のようなスモーク焚きまくりの幻想的な映像感覚も連想させたり「今のリドリー・スコット」の映像の良さを色々見せてくれる作品であった気もする。
エンディングには去年11月に17年ぶりに新譜「CHINESE DEMOCRACY」を出した伝説的ロックバンド「GUNS N' ROSES」の新譜に収録されている曲「If The World」が使われており、ヴォーカルであるアクセル・ローズのハイトーンな声がとても心地よい良い曲だったが、何故かこの映画の宣伝ではガンズの局が使用されているとか全く触れていないし、90年代には「ターミネーター2」や「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」、「エンド・オブ・デイズ」など映画の主題歌にガンズが使われた時には宣伝でもいつも話題になっていたのにもう今は全く触れないなんて何か寂しいし、映画の宣伝としてそれなりの価値がなくなってしまったという事なんだろうか?
ただ一昨年にガンズのライブを実際に見た時はかなり素晴らしいものだったし、バンド自身の力は衰えてないと思うが。

by lucifuge
| 2009-01-12 17:04
| 映画/洋画