私は貝になりたい(リメイク版) |
太平洋戦争末期の日本を舞台に高地の漁村で理髪店を営んでいた清水豊松は足が悪いにもかかわらず軍による召集を受け、駐屯地での過酷な訓練の日々の中、空襲に来て撃ち落され瀕死の状態で捕まった米軍兵士の処刑を命令される・・・・その後戦争も終わり家族の所に戻って平和な日々を取り戻した豊松だったが、ある日米軍が訪れ、戦犯として逮捕されてしまい・・・・・といった内容。
話としては凄く有名なものだし、ストーリーの作りもさすがに元が良い作品だけにしっかりしていて、私の事前に得ていたダメダメな作品という情報と違い、戦争の理不尽さ、戦犯というある意味戦勝国の見せしめ的な一方的で不公平な裁き、当時の日本の思想背景とそれを理解しようともしないアメリカ的思考、軍人なりの魂のプライドとか引き裂かれた家族の愛情、人としての人生の意味など深いテーマや様々に考えさせる部分もあり、わりとちゃんと出来ていた作品で思っていたより良かったように思う。
ただ主演の中居と妻役を演じた仲間に関して言うとどうもこういう戦争時代の設定に合っていないというか最初のあたりの衣装や髪型にしても小綺麗すぎる感じで当時の貧乏生活とか全然リアルに感じられないし、演技も熱演してるながら何か薄っぺらい印象を受ける。
また途中で同じSMAPの草薙剛が死刑囚の戦犯として登場したり、音楽は久石譲の曲だけで十分良いのにわざわざMr.Childrenの歌うエンディングテーマを付けたりしているのも余計だったし、何か無理やり話題性を作って売れ筋を狙いすぎている感じが見え見えな所がちょっと嫌だった。
まあ面白かった所としては戦場に友人を送りだす時みんなで「よさこい」を歌うシーンで中居の歌がキー外れておかしな事になってたのや、巣鴨プリズンでは木曜日に死刑執行者が連れて行かれる事からその日は監房中でお経が鳴り響くという不気味なシーン、刑務所内の暗い仏間にローソクが燃えてるのが妙にミステリアスに見えたり、死刑が決まった中居が暗い中で目をむきながら最後の手紙を書くシーンはサイコ殺人鬼みたいな表情で怖かったり、まるでホラー映画観てるみたいだったし・・・・それに死刑回避に向けて様々な努力をし、困難な署名を妻が頑張って成し遂げ助かったと思いきや、希望に溢れていた中から一気に絶望のどん底に叩き落すという展開はまさにホラーがよくやる手口でこの監督はホラー撮ったら面白いかも?とかも思ってしまった。