2009年 02月 10日
イワン・デジャビュの一日 |
星野之宣の漫画「イワン・デジャビュの一日」(JUMP SUPER ACE版) を読んだ。
「落雷」、「海の牙」、「暁の狩人」、「アリス」、「イワン・デジャビュの一日」の5編を収録した本であるが、私はこれまで作者の「星野之宣」という漫画家はキャリアも長いようだし本屋でよく見かけて名前は知ってたながら作品は1つも読んだ事がなく、気になっていたので今回初めて読んでみた。
「落雷」は飛行中の落雷によって異次元に飛ばされた小型旅客機が、そこで1945年に行方不明になったという米軍のB-29爆撃機「サンダーボルト」に遭遇する・・・実はサンダーボルトは原爆を積んでいた3台目のB-29であり、東京を目標にしていたらしいが・・・といったストーリーだが「SF」という形をとりながら「原爆」というものが日本に残した大きな傷や現代の日本人の意識に対するメッセージ性に加え皮肉で恐ろしい結末などいきなり読んで1つ目でかなり気に入った☆
次エピソードの「海の牙」は昔懐かしい怪獣映画を思わせる展開とか海における人間と怪物の攻防戦、生物の特徴をうまくとらえた怪物の意外な正体などそのまま映画にしてほしいような面白さだったし(昔観た映画「ザ・デプス」をちょっと思い出したが)、その次の「暁の狩人」も去年大作映画化された「紀元前1万年」を思わせるようなストーリーながら(描かれたのは30年以上前だし内容としてもこちらの漫画の方がずっと上だが)、ここでも独特なSF的オチがついてるのが楽しい!
次の「アリス」はこれまでのダイナミックな作風とはまた違った「不思議の国のアリス」をベースにしたような奇妙なな内面的幻想世界が展開されていたりで「今度はファンタジー?」と思いきや、脳を題材とした奇抜なSFアイデアが展開されていたりで意外だったし、ラストの表題作「イワン・デジャビュの一日」は一見舞台となっているのは第一次世界大戦当時の現実世界のようで読み進めて最後まで行くと何か「変」というか、日常的に戦争や殺し合いというものが普通の世界でいうサラリーマンの毎日の仕事のようにシステム的に繰り返される奇妙な世界を描いていて凄くシュールだったし、実際戦時下の人間の意識というものはこういった非日常が日常に変わってしまうような狂気も感じられたりで凄く深いものを含んだ物語だったように思う。
星野之宣という漫画家は漫画のスタイル的に私が大好きな諸星大二郎と似たテイストを持っているが、これ1冊を読んだだけでも諸星氏とは全く違う独自の星野的SF世界を作り上げているのがわかるし、他にはどんな面白いストーリーがあるのかもっともっと色んな作品を読んでみたいと思った。
「落雷」、「海の牙」、「暁の狩人」、「アリス」、「イワン・デジャビュの一日」の5編を収録した本であるが、私はこれまで作者の「星野之宣」という漫画家はキャリアも長いようだし本屋でよく見かけて名前は知ってたながら作品は1つも読んだ事がなく、気になっていたので今回初めて読んでみた。
「落雷」は飛行中の落雷によって異次元に飛ばされた小型旅客機が、そこで1945年に行方不明になったという米軍のB-29爆撃機「サンダーボルト」に遭遇する・・・実はサンダーボルトは原爆を積んでいた3台目のB-29であり、東京を目標にしていたらしいが・・・といったストーリーだが「SF」という形をとりながら「原爆」というものが日本に残した大きな傷や現代の日本人の意識に対するメッセージ性に加え皮肉で恐ろしい結末などいきなり読んで1つ目でかなり気に入った☆
次エピソードの「海の牙」は昔懐かしい怪獣映画を思わせる展開とか海における人間と怪物の攻防戦、生物の特徴をうまくとらえた怪物の意外な正体などそのまま映画にしてほしいような面白さだったし(昔観た映画「ザ・デプス」をちょっと思い出したが)、その次の「暁の狩人」も去年大作映画化された「紀元前1万年」を思わせるようなストーリーながら(描かれたのは30年以上前だし内容としてもこちらの漫画の方がずっと上だが)、ここでも独特なSF的オチがついてるのが楽しい!
次の「アリス」はこれまでのダイナミックな作風とはまた違った「不思議の国のアリス」をベースにしたような奇妙なな内面的幻想世界が展開されていたりで「今度はファンタジー?」と思いきや、脳を題材とした奇抜なSFアイデアが展開されていたりで意外だったし、ラストの表題作「イワン・デジャビュの一日」は一見舞台となっているのは第一次世界大戦当時の現実世界のようで読み進めて最後まで行くと何か「変」というか、日常的に戦争や殺し合いというものが普通の世界でいうサラリーマンの毎日の仕事のようにシステム的に繰り返される奇妙な世界を描いていて凄くシュールだったし、実際戦時下の人間の意識というものはこういった非日常が日常に変わってしまうような狂気も感じられたりで凄く深いものを含んだ物語だったように思う。
星野之宣という漫画家は漫画のスタイル的に私が大好きな諸星大二郎と似たテイストを持っているが、これ1冊を読んだだけでも諸星氏とは全く違う独自の星野的SF世界を作り上げているのがわかるし、他にはどんな面白いストーリーがあるのかもっともっと色んな作品を読んでみたいと思った。

by lucifuge
| 2009-02-10 21:58
| 本/漫画