2009年 02月 17日
ライチ光クラブ |
東京グランギニョール原案の古屋兎丸の漫画「ライチ光クラブ」を読んだ。
工場がひしめく町「蛍光町」の片隅にある「光クラブ」と名付けられた9人の男子中学生たちの秘密基地~そこはゼラとよばれる少年が支配する美を至上とする狂気と残虐に満ちた空間だった・・・・ゼラたちはクラブの象徴となる女神を得ようと彼らが造った果物のライチをエネルギーとして動く機械人間「ライチ」を使って少女の捕獲を開始し、そこで理想の美少女「カノン」を捕まえるのに成功するが、カノンとの出会いによって機械であったはずのライチに異変が起き始める・・・・一方ゼラの狂気をはらんだ方針に対しクラブ内の人間関係にも異変が起こり始め、やがて悲惨な結末に向かって少年たちは暴走していく・・・といった内容。
退廃的な舞台設定の中で展開する少年たちの狂気と残虐、同性愛的エロティシズムといった青春期の不可解で恐ろしくもある衝動と美に対する執着、醜に対する憎悪といった純粋でもあり幼稚な行動描写などが強烈だったし、異性に対する神聖視や蔑視、その神聖な存在によって機械にもたらされた感情といった要素なども象徴的であったり、集団内における友情や愛、憎悪と確執、嫉妬などといった深い人間ドラマ描写があったり、不可思議な世界で起こる交錯する美と狂気の面白さが最後までスリリングに読ませる。
古屋兎丸の絵柄もダークで繊細な美しさがありながら残虐シーンは生々しいグロさがあるという(ちょっと丸尾末広に似たタッチ)私好みな感じでかなり良かったし、奇妙な世界設定も魅力だがこの絵だけでも凄く面白い世界を展開していて魅力的に思う。
私は「東京グランギニョール」という名前は何となく聞いた事はあったものの、それが何なのか、どんな事をしていたのかというのは全く知らなかったし、この作品の原案というか元々の演劇をやっていた集団というのはこれを読んで初めて知った。
それにしてもあとがきに載っていた説明によれば、あの丸尾末広が宣伝美術担当と出演、「帝都物語」の嶋田久作がライチ役で出ていたり、見るからにマニアックでアングラな雰囲気漂う怪しい劇団だし、今の私の趣味からするといかにもハマる感じというか面白そうで今はもうないというのは本当に残念。
作者の古屋氏は高校生の頃にこの劇団の舞台を初めて観て衝撃を受けたというが、この漫画から実際の演劇を想像してみたらかなりなショックだったろうし、そういう人の価値観に多大な影響を与えた芸術体験というのは凄い事だと思う(舞台の模様がどんなのだったか気になるし映像とか残っていたら是非観てみたいが・・・)。
私もモノを造る人間としてはいつか人にそういう大きなショックを与えられる作品を造りたい。
工場がひしめく町「蛍光町」の片隅にある「光クラブ」と名付けられた9人の男子中学生たちの秘密基地~そこはゼラとよばれる少年が支配する美を至上とする狂気と残虐に満ちた空間だった・・・・ゼラたちはクラブの象徴となる女神を得ようと彼らが造った果物のライチをエネルギーとして動く機械人間「ライチ」を使って少女の捕獲を開始し、そこで理想の美少女「カノン」を捕まえるのに成功するが、カノンとの出会いによって機械であったはずのライチに異変が起き始める・・・・一方ゼラの狂気をはらんだ方針に対しクラブ内の人間関係にも異変が起こり始め、やがて悲惨な結末に向かって少年たちは暴走していく・・・といった内容。
退廃的な舞台設定の中で展開する少年たちの狂気と残虐、同性愛的エロティシズムといった青春期の不可解で恐ろしくもある衝動と美に対する執着、醜に対する憎悪といった純粋でもあり幼稚な行動描写などが強烈だったし、異性に対する神聖視や蔑視、その神聖な存在によって機械にもたらされた感情といった要素なども象徴的であったり、集団内における友情や愛、憎悪と確執、嫉妬などといった深い人間ドラマ描写があったり、不可思議な世界で起こる交錯する美と狂気の面白さが最後までスリリングに読ませる。
古屋兎丸の絵柄もダークで繊細な美しさがありながら残虐シーンは生々しいグロさがあるという(ちょっと丸尾末広に似たタッチ)私好みな感じでかなり良かったし、奇妙な世界設定も魅力だがこの絵だけでも凄く面白い世界を展開していて魅力的に思う。
私は「東京グランギニョール」という名前は何となく聞いた事はあったものの、それが何なのか、どんな事をしていたのかというのは全く知らなかったし、この作品の原案というか元々の演劇をやっていた集団というのはこれを読んで初めて知った。
それにしてもあとがきに載っていた説明によれば、あの丸尾末広が宣伝美術担当と出演、「帝都物語」の嶋田久作がライチ役で出ていたり、見るからにマニアックでアングラな雰囲気漂う怪しい劇団だし、今の私の趣味からするといかにもハマる感じというか面白そうで今はもうないというのは本当に残念。
作者の古屋氏は高校生の頃にこの劇団の舞台を初めて観て衝撃を受けたというが、この漫画から実際の演劇を想像してみたらかなりなショックだったろうし、そういう人の価値観に多大な影響を与えた芸術体験というのは凄い事だと思う(舞台の模様がどんなのだったか気になるし映像とか残っていたら是非観てみたいが・・・)。
私もモノを造る人間としてはいつか人にそういう大きなショックを与えられる作品を造りたい。

by lucifuge
| 2009-02-17 22:06
| 本/漫画