007 慰めの報酬 |
前作「カジノ・ロワイヤル」のラストでボンドが愛した女性ヴェスパーが実は裏切り者である事が発覚し、罪の意識から彼女は自ら死を選ぶ・・・その後ヴェスパーを操っていた組織の男ホワイトをボンドが捕らえるという所から今回の物語は始まる・・・・ホワイトを捕らえるもMI6内にも組織の手の者がいた事から逃亡されてしまい、その後組織の手がかりを追ってハイチに出向いたボンドは調査の過程で謎の女カミーユと出会い、彼女が接触していた慈善団体グリーンプラネットのCEOであるドミニク・グリーンという人物が組織と関わっており、勝手の独裁者に協力して南米ボリビアでのクーデターを行い、ボリビア国内の「不毛の地」の買収を画策している事をつきとめる・・・といったストーリー。
愛する人を失い復讐を心に秘めたボンドと同じように復讐に生きるカミーユという人物の内面や関係性の描き方、他組織ながらかってのボンドの盟友であり利害や命令だけに動かないスパイたちの存在、ボンドに厳しくも母のように見守る上司のMなど人間ドラマの描き方がうまかったのは「チョコレート」や「君のためなら千回でも」のマーク・フォースター監督ならではな見せ方だったし、かと言って人間ドラマに偏らずオープニングからイタリアの町を疾走するド派手なカーアクションに始まり、逃げる、走る、素手やナイフで戦うの人間同士の肉弾戦的アクション、リアルなガンアクションに海でのボートチェイス、旅客機を攻撃する戦闘機や武装ヘリコプターのシーンなど陸海空あらゆるシチュエーションでのアクションが盛り込まれていてかなり気合の入ったアクションを見せてくれた見ごたえのある作品だった☆
しかしながらグリーンのキャラクターは悪役としてはいまひとつインパクトに欠けるというかちょっと印象が薄い感じだったし、その大きな力ゆえに各国の要人が利害を考えて手出しを控えるも、それでも手出しするボンド自身が身内からも拘束対象にされてしまうという危機的状況はサスペンス感が高まって良かったが、話の核心の一つである「不毛の地」に何があるのかという謎が別に大した事なかったのと「007」としては秘密兵器やセクシーシーンにちょっと物足りなさを感じたり、全体的にはクオリティの高い作りながらシリーズとしては多少違和感も感じた作品だった。
まあ新しいボンドとしてこういうちょっとダークでリアルなイメージというのが今の時代に合っているのかもしれないが、私的には007のいかにも007らしいイメージはロジャー・ムーアなのでダニエル・クレイグのボンドは本当に人を殺しそうな気迫や肉体的強靭さなどリアルで非情なイメージは印象的なものの、ダンディさやセクシーさではムーアには及ばないし、観ていて何かボンドというより「ボーンアイデンティティ」系のスパイに近い感じもした。
それからダニエル・クレイグの髪型や顔の形が何となくさまぁ~ずの三村と重なってきたり・・・・(笑)
それにしてもダニエル版ボンドはストーリー展開の中、どんどん簡単に人を殺していくのでジェイソンも真っ青なサイコ野郎かも?(でもランボーに比べたらまだまだ可愛いレベル:笑)
007といえばオープニングシーンに銃口からボンドの姿が覗くという定番シーンがあるが今回はいきなり話が始まって「あれ?無いの?」な感じだったものの、何とラストにおなじみのテーマ曲とともにちゃんと入れていたのが嬉しかったし、今の時代にあった新たなボンド像を模索しながら定番の演出も忘れていないのは良かったと思う。
