2009年 03月 05日
チェンジリング |
クリント・イーストウッド監督、アンジェリーナ・ジョリー主演の映画「チェンジリング」を観た。
1928年のロサンゼルス。電話会社に務めるクリスティン・コリンズは9歳の息子と暮らすシングルマザーだが、ある日仕事が終わって家に帰るとウォルターがいなくなっており行方不明として警察に届ける・・・5ヵ月後警察からウォルターが見つかったと連絡を受け多くの記者たちの前で感動の再会かと思いきや、そこにいたウォルターは全くの「別人」だった・・・・しかし警察はクリスティンが長い間息子に会えなかった事から混乱しているのだと言いくるめ、強引に息子として引き取らせ、事件に幕引きを行なおうとするが、本当のウォルターとは背の高さも違い、割礼もされているという事実からクリスティンはやはりこの少年はウォルターではないと警察に再捜査を要求するが、逆に警察は息子だと認めない彼女に対して様々な妨害を行い始め・・・・・といったストーリー。
行方不明になりその後発見された自分の息子が別人だという衝撃の事件は今だと考えられない有り得なさだが、これが1928年のアメリカで実際にあった事件というのがまた衝撃だったし、当時のロス市警の捜査のずさんさや目先の功績しか考えない最低な上層部と権力の横暴、内部腐敗とギャングまがいな組織体制など「これが警察か?」と首を傾げるのうな酷さがこれでもかと描かれていた。
自らのミスを認めず被害者側の落ち度にでっち上げ、監禁までしてしまったり警察とグルな医師や精神病院といった彼等にとっての邪魔者を社会的に抹殺するシステムが出来ていたり、本来市民を守る立場であるはずの様々な権力を持った警察がこういう状態という社会を想像したらとんでもなく恐ろしい。
最近観たジェームズ・エルロイ原案の「フェイクシティ」もロス市警の闇を描いた衝撃作だったが、そういうロス市警の黒い部分というのはこんな昔から存在していてずっと根強く呪いのようにまとわりついているというルーツ的部分もこの映画で見せられた気がする。
それからメインとなる子供のチェンジリング(取り換え)という要素の他に途中から登場する不法滞在の少年の存在から「連続殺人事件」という要素が出てきてサイコスリラーさながらの展開になっていくし、この時代に20人以上の子供を殺したというゴードン・ノースコットなる人物の存在が実在したというのも衝撃であり、事件をめぐる彼とクリスティンの関わりがさらなるドラマを広げて映画に引き込まれてしまった。
人間ドラマ面としては不当な状況に追い込まれながらも息子を信じて決して自分を曲げないクリスティンの「母親の強さ」を貫く姿は感動的だし、警察の不正に戦いを挑むグスタヴ牧師やハーン弁護士、精神病院で彼女に味方するキャロル、腐敗した警察の中で真実を追究しようと動くヤバラ刑事など状況を正していく人間たちと権力の傘の下、ミスと嘘の上塗りをして不正を続けていくジョーンズ警部やデイヴィス本部長、悪の質は違うが非道な連続殺人鬼であるノースコットといった「悪」の側の人間たちの関係とぶつかり合いが非常にドラマティックで面白かった。
元々普通の市民だったクリスティンが事件によってどんどん立場や状況が変わっていき、事件に関わる様々な人間の思惑によって全く運命が変わってしまったというのが人生の不思議さも感じさせるし、実際にあった事だけに深く印象に残る作品だった。
1928年のロサンゼルス。電話会社に務めるクリスティン・コリンズは9歳の息子と暮らすシングルマザーだが、ある日仕事が終わって家に帰るとウォルターがいなくなっており行方不明として警察に届ける・・・5ヵ月後警察からウォルターが見つかったと連絡を受け多くの記者たちの前で感動の再会かと思いきや、そこにいたウォルターは全くの「別人」だった・・・・しかし警察はクリスティンが長い間息子に会えなかった事から混乱しているのだと言いくるめ、強引に息子として引き取らせ、事件に幕引きを行なおうとするが、本当のウォルターとは背の高さも違い、割礼もされているという事実からクリスティンはやはりこの少年はウォルターではないと警察に再捜査を要求するが、逆に警察は息子だと認めない彼女に対して様々な妨害を行い始め・・・・・といったストーリー。
行方不明になりその後発見された自分の息子が別人だという衝撃の事件は今だと考えられない有り得なさだが、これが1928年のアメリカで実際にあった事件というのがまた衝撃だったし、当時のロス市警の捜査のずさんさや目先の功績しか考えない最低な上層部と権力の横暴、内部腐敗とギャングまがいな組織体制など「これが警察か?」と首を傾げるのうな酷さがこれでもかと描かれていた。
自らのミスを認めず被害者側の落ち度にでっち上げ、監禁までしてしまったり警察とグルな医師や精神病院といった彼等にとっての邪魔者を社会的に抹殺するシステムが出来ていたり、本来市民を守る立場であるはずの様々な権力を持った警察がこういう状態という社会を想像したらとんでもなく恐ろしい。
最近観たジェームズ・エルロイ原案の「フェイクシティ」もロス市警の闇を描いた衝撃作だったが、そういうロス市警の黒い部分というのはこんな昔から存在していてずっと根強く呪いのようにまとわりついているというルーツ的部分もこの映画で見せられた気がする。
それからメインとなる子供のチェンジリング(取り換え)という要素の他に途中から登場する不法滞在の少年の存在から「連続殺人事件」という要素が出てきてサイコスリラーさながらの展開になっていくし、この時代に20人以上の子供を殺したというゴードン・ノースコットなる人物の存在が実在したというのも衝撃であり、事件をめぐる彼とクリスティンの関わりがさらなるドラマを広げて映画に引き込まれてしまった。
人間ドラマ面としては不当な状況に追い込まれながらも息子を信じて決して自分を曲げないクリスティンの「母親の強さ」を貫く姿は感動的だし、警察の不正に戦いを挑むグスタヴ牧師やハーン弁護士、精神病院で彼女に味方するキャロル、腐敗した警察の中で真実を追究しようと動くヤバラ刑事など状況を正していく人間たちと権力の傘の下、ミスと嘘の上塗りをして不正を続けていくジョーンズ警部やデイヴィス本部長、悪の質は違うが非道な連続殺人鬼であるノースコットといった「悪」の側の人間たちの関係とぶつかり合いが非常にドラマティックで面白かった。
元々普通の市民だったクリスティンが事件によってどんどん立場や状況が変わっていき、事件に関わる様々な人間の思惑によって全く運命が変わってしまったというのが人生の不思議さも感じさせるし、実際にあった事だけに深く印象に残る作品だった。

by lucifuge
| 2009-03-05 22:17
| 映画/洋画