2009年 03月 08日
象魚 |
古書店で見つけた逆柱いみりの漫画「象魚」を読んだ。
「逆柱いみり」といえば、私にとっては以前読んだコンビニコミック「戦慄!!呪いの都市伝説モンスター」の中で「毒ガス怪人マッドガッサー」というエピソードを描いていて初めてその奇妙な画風や世界の描き方に興味を惹かれ、他に一体どういう作品を描いているのか気になっていた漫画家だが、1冊分まとまって読むのは今回が初めて。
内容は「ガロ」に掲載された短編作品を集めたもので何となく読み進めていって「えっ!何で?」ってシーンが突然出てきて意表をつかれた「骨」、「何でそこで終わる?」といったラストシーンの「人参」、死んだマナティを丸ごとホルマリン漬けにしにいくという変な設定の「マナティ」、ある意味サイコ話ながらビルから落ちる金魚の姿とラストシーンが重なって印象的な「金魚」、日常や昔の記憶の中のちょっとした奇妙さを表現したような「耳」、「影」、「隕石」、「鯉」、グロテスクながら発想が面白かった「動物園」、どこか奇妙な世界を詩的に見せる「象魚」、想像したら気持ち悪い世界だが絵的に逆柱らしいゴチャゴチャした面白さが一番よく出ていて、各コマに様々な虫が細密に描かれていたりするのもどこか芸術的で魅力的な「血痰処理」、短くシュールな話ながら描かれている以上の世界の広がりを想像させる「窓の外はドブ溜め」、謎の一つ目ウサギが主人公の妙な世界を描いた「うおのめ」、「天気よかった日」などどれも個性的な作品群であり、絵や世界観的にもどこか「ねじ式」の頃の「つげ義春」を連想させるような面白さがあったり意味不明でオチがないようなイメージの羅列ながら脳内に染み入ってくるようなインパクトの強さがある。
また逆柱独特のパイプが複雑に入り組んだような工場や廃墟がゴチャゴチャになった黒っぽいイメージの風景や、通常絵描きが風景を描く場合目が行ってしまう文字などは省略したりするものなのだが、この人はやたらと「文字」に固執するような看板や本棚の本の背表紙など細かい部分の描写が偏執的にさえ見える絵柄も非常に印象的で面白い。
色にしても漫画本編の白黒絵の面白さだけでなく、表紙カバーの色付きの絵もレトロな日本の広告絵を思わせるような配色とか個性的で好きな感じ。
それから4コマ漫画も一部載っていたのだが、これについてはちょっとセンス的に「和田ラヂヲ」を思わすような感じでまた他の短編とは違った面白さがあったり、「あとがき」で作者に荒れた日常を垣間見させ、そういう状況でこの妙な世界が描かれたのかと想像させるのもちょっと面白かった。
本屋であんまり著作が並んでるのは見た事がないが、結構気に入ったのでまた見つけたら読んでみたい。
「逆柱いみり」といえば、私にとっては以前読んだコンビニコミック「戦慄!!呪いの都市伝説モンスター」の中で「毒ガス怪人マッドガッサー」というエピソードを描いていて初めてその奇妙な画風や世界の描き方に興味を惹かれ、他に一体どういう作品を描いているのか気になっていた漫画家だが、1冊分まとまって読むのは今回が初めて。
内容は「ガロ」に掲載された短編作品を集めたもので何となく読み進めていって「えっ!何で?」ってシーンが突然出てきて意表をつかれた「骨」、「何でそこで終わる?」といったラストシーンの「人参」、死んだマナティを丸ごとホルマリン漬けにしにいくという変な設定の「マナティ」、ある意味サイコ話ながらビルから落ちる金魚の姿とラストシーンが重なって印象的な「金魚」、日常や昔の記憶の中のちょっとした奇妙さを表現したような「耳」、「影」、「隕石」、「鯉」、グロテスクながら発想が面白かった「動物園」、どこか奇妙な世界を詩的に見せる「象魚」、想像したら気持ち悪い世界だが絵的に逆柱らしいゴチャゴチャした面白さが一番よく出ていて、各コマに様々な虫が細密に描かれていたりするのもどこか芸術的で魅力的な「血痰処理」、短くシュールな話ながら描かれている以上の世界の広がりを想像させる「窓の外はドブ溜め」、謎の一つ目ウサギが主人公の妙な世界を描いた「うおのめ」、「天気よかった日」などどれも個性的な作品群であり、絵や世界観的にもどこか「ねじ式」の頃の「つげ義春」を連想させるような面白さがあったり意味不明でオチがないようなイメージの羅列ながら脳内に染み入ってくるようなインパクトの強さがある。
また逆柱独特のパイプが複雑に入り組んだような工場や廃墟がゴチャゴチャになった黒っぽいイメージの風景や、通常絵描きが風景を描く場合目が行ってしまう文字などは省略したりするものなのだが、この人はやたらと「文字」に固執するような看板や本棚の本の背表紙など細かい部分の描写が偏執的にさえ見える絵柄も非常に印象的で面白い。
色にしても漫画本編の白黒絵の面白さだけでなく、表紙カバーの色付きの絵もレトロな日本の広告絵を思わせるような配色とか個性的で好きな感じ。
それから4コマ漫画も一部載っていたのだが、これについてはちょっとセンス的に「和田ラヂヲ」を思わすような感じでまた他の短編とは違った面白さがあったり、「あとがき」で作者に荒れた日常を垣間見させ、そういう状況でこの妙な世界が描かれたのかと想像させるのもちょっと面白かった。
本屋であんまり著作が並んでるのは見た事がないが、結構気に入ったのでまた見つけたら読んでみたい。

by lucifuge
| 2009-03-08 21:54
| 本/漫画