2009年 03月 21日
妖女伝説(JUMP SUPER ACE版) 第2巻 |
星野之宣の漫画「妖女伝説(JUMP SUPER ACE版)」の第2巻を読んだ。
私は通常シリーズモノの漫画は1巻からでないと読まないのだが、同じ星野作品である「ヤマタイカ」みたいに各巻つながった長編作品ではなく、この「妖女伝説」は伝説や昔話、歴史上のミステリアスな女性などをテーマとした様々な読み切り短編が載っている構成なので店で2巻しかなかったものの読んで見ることにした。
収録作品は20世紀初頭のオーストリアを舞台にした「ローレライの歌」、吸血鬼をめぐる事件を描く「カーミラの永い眠り」、八百比丘尼をめぐるミステリー譚「月夢」、エーゲ海を舞台にした女の美と憎悪を描く「メドゥサの首」、雪の地に現われた謎の女性をめぐる幻想話「挽歌」、文楽の演目「清姫」演じる事になった男にまつわる怪奇話「日高川」、ある豪華客船で展開される陰謀と歴史的大事件を描いた「歴史は夜作られる」、中世イタリアを舞台にしたダークな人間ドラマ「ボルじア家の毒薬」の8編。
「ローレライの歌」は舞台や時代設定、主人公の少年の父の名がアロイスという事から最初は伏せられている少年の正体があの人物という事はすぐ気付いたが、彼が後に恐ろしい存在になった要因のひとつをオリジナルエピソードで描くというのは永井豪の「新デビルマン」でもあったり、その強烈で謎だらけな人生は創作者の興味をそそる題材なのだと思う。
「カーミラの永い眠り」はちょっと昔の海外怪奇ドラマを観ているようなサスペンスな展開とオチは面白かったし、「月夢」は八百比丘尼という不死の存在と月面着陸、月をめぐるある昔話など要素の合わせ方が面白い。
「メドゥサの首」はギリシャ神話をモチーフにしながら女神アテナと魔女メドゥサの話を登場人物にシンクロさせ、美に執着する女性の情念の恐ろしさを見事に描いていたし、「挽歌」は舞台設定から「雪女」的なものをすぐ連想させながらどこか「遊星からの物体X」みたいなSFチックな雰囲気と幻想的イメージが交錯する不思議な作品。
「日高川」は基本的には「清姫」の話をモデルにしながら、読んでいてふと稲川淳二の最恐怪談といわれる「生き人形」を連想したり、強い情念と人形をめぐる星野流怪談というべき作品に仕上がっていた。
「歴史は夜作られる」はすぐにこの豪華客船が何だというのはわかったし、謎の踊り子の存在も何者かというのは予想がついたが、まさかラスプーチンが出てきたりエドワードと呼ばれる主人公があの人物だったとは思わず、歴史的事件や人物をうまく組み込んだ活劇的ミステリーとして結構楽しめた☆
ラストの「ボルジア家の毒薬」は中世イタリアで権勢を誇ったボルジア家のチェーザレとその妹ルクレツィア、ボルジア家に雇われた天才画家ダ・ヴィンチなどの登場人物の織り成す人間ドラマ、チェーザレが行なおうとしていたイタリア統一の顛末、ボルジア家に伝わるという謎の毒薬「カンタレッラ」の謎など他の作品とはちょっと違うスケール感と聖女が妖女に変貌してしまった悲劇といったかなり読みごたえのある作品だった。
このシリーズはどれだけ出ているのか知らないがかなり面白かったのでまた見つけたら読んでみたい♪
私は通常シリーズモノの漫画は1巻からでないと読まないのだが、同じ星野作品である「ヤマタイカ」みたいに各巻つながった長編作品ではなく、この「妖女伝説」は伝説や昔話、歴史上のミステリアスな女性などをテーマとした様々な読み切り短編が載っている構成なので店で2巻しかなかったものの読んで見ることにした。
収録作品は20世紀初頭のオーストリアを舞台にした「ローレライの歌」、吸血鬼をめぐる事件を描く「カーミラの永い眠り」、八百比丘尼をめぐるミステリー譚「月夢」、エーゲ海を舞台にした女の美と憎悪を描く「メドゥサの首」、雪の地に現われた謎の女性をめぐる幻想話「挽歌」、文楽の演目「清姫」演じる事になった男にまつわる怪奇話「日高川」、ある豪華客船で展開される陰謀と歴史的大事件を描いた「歴史は夜作られる」、中世イタリアを舞台にしたダークな人間ドラマ「ボルじア家の毒薬」の8編。
「ローレライの歌」は舞台や時代設定、主人公の少年の父の名がアロイスという事から最初は伏せられている少年の正体があの人物という事はすぐ気付いたが、彼が後に恐ろしい存在になった要因のひとつをオリジナルエピソードで描くというのは永井豪の「新デビルマン」でもあったり、その強烈で謎だらけな人生は創作者の興味をそそる題材なのだと思う。
「カーミラの永い眠り」はちょっと昔の海外怪奇ドラマを観ているようなサスペンスな展開とオチは面白かったし、「月夢」は八百比丘尼という不死の存在と月面着陸、月をめぐるある昔話など要素の合わせ方が面白い。
「メドゥサの首」はギリシャ神話をモチーフにしながら女神アテナと魔女メドゥサの話を登場人物にシンクロさせ、美に執着する女性の情念の恐ろしさを見事に描いていたし、「挽歌」は舞台設定から「雪女」的なものをすぐ連想させながらどこか「遊星からの物体X」みたいなSFチックな雰囲気と幻想的イメージが交錯する不思議な作品。
「日高川」は基本的には「清姫」の話をモデルにしながら、読んでいてふと稲川淳二の最恐怪談といわれる「生き人形」を連想したり、強い情念と人形をめぐる星野流怪談というべき作品に仕上がっていた。
「歴史は夜作られる」はすぐにこの豪華客船が何だというのはわかったし、謎の踊り子の存在も何者かというのは予想がついたが、まさかラスプーチンが出てきたりエドワードと呼ばれる主人公があの人物だったとは思わず、歴史的事件や人物をうまく組み込んだ活劇的ミステリーとして結構楽しめた☆
ラストの「ボルジア家の毒薬」は中世イタリアで権勢を誇ったボルジア家のチェーザレとその妹ルクレツィア、ボルジア家に雇われた天才画家ダ・ヴィンチなどの登場人物の織り成す人間ドラマ、チェーザレが行なおうとしていたイタリア統一の顛末、ボルジア家に伝わるという謎の毒薬「カンタレッラ」の謎など他の作品とはちょっと違うスケール感と聖女が妖女に変貌してしまった悲劇といったかなり読みごたえのある作品だった。
このシリーズはどれだけ出ているのか知らないがかなり面白かったのでまた見つけたら読んでみたい♪

by lucifuge
| 2009-03-21 21:34
| 本/漫画