2009年 04月 22日
アコークロー 琉球恐怖奇譚 |
先日ブックオフで見つけたコンビニ漫画「アコークロー 琉球恐怖奇譚」を読んだ。
この漫画は2007年に公開された沖縄を舞台にした邦画ホラー「アコークロー」を「TVO」などで知られるホラー漫画の鬼才、御茶漬海苔が漫画化した作品。
姉の子供を世話中に事故で死なせてしまった事から傷心状態になっていた美咲は沖縄に移り住んだ恋人・浩市のもとに行き、一緒に暮らすことにする・・・・浩市の友人である仁成、秀人と秀人のおばあさんに会って歓迎会を開いてもらった際におばあから沖縄に伝わる「キジムナー」の伝説を聞いた美咲はその話に少し関心を持つ・・・やがて次男を流産した事から心が病んでしまった仁成の元妻・早苗が現われた事でトラブルが起こり、怒り狂った仁成が
追い払うも、次の日再び鎌を手にした早苗が彼等の前に現われ・・・・といったストーリー。
「アコークロー」とは沖縄の方言でいわゆる「逢魔が時」の事であり、その時間に赤い髪の小人のような妖怪「キジムナー」が現われるという伝説をベースにした話であるが、私的には「キジムナー」というと水木しげるの妖怪図鑑で子供の時に見た丸っこい毛玉のようなコミカルな表情の妖怪のイメージが強いのでこの作品のような「赤い髪」の不気味な存在というのは新鮮であり、本来はそういう言い伝えの妖怪(妖精?)というのも初めて知った。
また普段は人と仲良くして色々助けてくれたりといったプラスなイメージと魚の目玉を好むという面白い習性が、一端キジムナーを裏切ると裏切った人間の目玉をエグり、家族まで許さないという恐ろしさを持つという要素が物語内の人物関係や鍵となる「早苗」にシンクロしていくという展開も因果的怖さと不幸を背負った人間が衝撃的事件を通して自らを見つめ直していくという人間ドラマ性もあったり、これを「映画」で観た場合は結構なドラマティックさだろうな~とも感じた。
で、この漫画版はどうかといえば異常性や残虐性を淡々と描いていく御茶漬海苔ならではの個性がよく出ていて全編を通して冷たく染み入るような不気味さが漂い、その不気味さが読む側にも染み入ってくるような異様な雰囲気がある。
でもストーリー上のドラマティックさとか人間ドラマ部分は絵柄的にも描き方にしてもあんまりこの作家の持ち味に合ってないというか熱い部分は無い感じ。
これまでの御茶漬海苔作品よりかはスプラッター度や残虐度は低いが、突然これまでの日常が失われる出来事のショッキングさ、それに対する非情な対処、そしてそれにつながる怨念の具現化といった恐怖の描写もひたすら冷たく淡々とした見せ方なのはある意味リアルでゾッする感覚があるし、私は映画版は観てないのだがこの漫画で一体どういう風に映像になってるのか興味深いし機会があったら映画版もDVDで観てみたい。
この漫画は2007年に公開された沖縄を舞台にした邦画ホラー「アコークロー」を「TVO」などで知られるホラー漫画の鬼才、御茶漬海苔が漫画化した作品。
姉の子供を世話中に事故で死なせてしまった事から傷心状態になっていた美咲は沖縄に移り住んだ恋人・浩市のもとに行き、一緒に暮らすことにする・・・・浩市の友人である仁成、秀人と秀人のおばあさんに会って歓迎会を開いてもらった際におばあから沖縄に伝わる「キジムナー」の伝説を聞いた美咲はその話に少し関心を持つ・・・やがて次男を流産した事から心が病んでしまった仁成の元妻・早苗が現われた事でトラブルが起こり、怒り狂った仁成が
追い払うも、次の日再び鎌を手にした早苗が彼等の前に現われ・・・・といったストーリー。
「アコークロー」とは沖縄の方言でいわゆる「逢魔が時」の事であり、その時間に赤い髪の小人のような妖怪「キジムナー」が現われるという伝説をベースにした話であるが、私的には「キジムナー」というと水木しげるの妖怪図鑑で子供の時に見た丸っこい毛玉のようなコミカルな表情の妖怪のイメージが強いのでこの作品のような「赤い髪」の不気味な存在というのは新鮮であり、本来はそういう言い伝えの妖怪(妖精?)というのも初めて知った。
また普段は人と仲良くして色々助けてくれたりといったプラスなイメージと魚の目玉を好むという面白い習性が、一端キジムナーを裏切ると裏切った人間の目玉をエグり、家族まで許さないという恐ろしさを持つという要素が物語内の人物関係や鍵となる「早苗」にシンクロしていくという展開も因果的怖さと不幸を背負った人間が衝撃的事件を通して自らを見つめ直していくという人間ドラマ性もあったり、これを「映画」で観た場合は結構なドラマティックさだろうな~とも感じた。
で、この漫画版はどうかといえば異常性や残虐性を淡々と描いていく御茶漬海苔ならではの個性がよく出ていて全編を通して冷たく染み入るような不気味さが漂い、その不気味さが読む側にも染み入ってくるような異様な雰囲気がある。
でもストーリー上のドラマティックさとか人間ドラマ部分は絵柄的にも描き方にしてもあんまりこの作家の持ち味に合ってないというか熱い部分は無い感じ。
これまでの御茶漬海苔作品よりかはスプラッター度や残虐度は低いが、突然これまでの日常が失われる出来事のショッキングさ、それに対する非情な対処、そしてそれにつながる怨念の具現化といった恐怖の描写もひたすら冷たく淡々とした見せ方なのはある意味リアルでゾッする感覚があるし、私は映画版は観てないのだがこの漫画で一体どういう風に映像になってるのか興味深いし機会があったら映画版もDVDで観てみたい。
by lucifuge
| 2009-04-22 21:05
| 本/漫画