世にも奇妙な漫☆画太郎 第1巻 |
タイトルにある通りこの本は異質なギャグ漫画家・漫☆画太郎の著作であり、まるで「世にも奇妙な物語」のような不可思議な短編が画太郎流の世界観で存分の描かれている怪作である。
作品としては歴史の年号を勉強中の女子高生があるきっかけから手にした携帯電話がタイムマシーンだったという「ケータイムマシーン」、自殺しようとしたいじめられっ子の少年が屋上で出会った謎の集団とその顛末を描く「希望という名のUFO」、オレオレ詐欺に騙されたバアさんの話「孫思いのおっちょこちょいババア」、探偵漫画マニアの少年が遭遇した恐るべき事件「スーパー名探偵」、バスジャック事件の意外な展開を描いた「ブスジャック」、柿の木をめぐる隣人トラブルを描く「柿の恩返し」の6編を収録している。
まず「ケータイムマシーン」は話としてわりと作りがちゃんとしている感じで場面が変わっていくごとにおかしな状況にエスカレートしていく笑いはオーソドックスだったがオチの唐突さと残虐さは画太郎ならではでイイ!
「希望という名のUFO」はUFOと自殺事件をつなげるというアイデアの奇抜さと展開のブラックさが毒々しいし、「孫思いのおっちょこちょいババア」は「まさにこれぞ画太郎!」という感じの怪作で登場して最初から「何でババアが全裸?」という意味不明さとその後も裸で外歩き回ったりする強引さ、スプラッターな展開などかなり強烈な1編だった☆
「スーパー名探偵」は「金田一少年の事件簿」や「名探偵コナン」などの探偵ブームと探偵に憧れる子供たちを皮肉りまくったような内容でこれもブラックなオチながら、ある意味少年探偵なんていう警察ナメたようなガキが実際に存在していた場合、こういう恐ろしい事態になるであろうというリアル(?)さもあったりで笑える!
社会的な部分を反映しているといえば「ブスジャック」も実際にあった少年のバスジャック事件をモデルにしたような感もあるが、内容的に全く深刻さはなく物凄くしょうもない動機と学芸会みたいな安易な展開は画太郎らしいながらその先にある狂気に満ちた衝撃的なラストこそまさに画太郎らしい衝撃ブラックギャグだった。
「柿の恩返し」も隣人トラブルという現実問題をテーマにしながら画太郎流の下品で異質な世界を見事に展開していたし、途中から迷惑な隣人オバサンが完全に一時テレビを賑わせた「騒音オバサン」そのままに描かれているのが凄い!
しかしながら壮絶な展開の後、ちょっとイイ話で終わらせていたのも意外で良かった。
それにしても巻頭と巻末に「世にも奇妙な物語」を意識したようなシーンがついているのだが、ラストの方にいたっては暴言吐きまくりな強烈さでこのノリは「地獄甲子園」なんかと全く変わってないのが嬉しいし、どうやら続刊もしているようで2巻はどんなのか?と思って調べてみたら2巻どころか7巻まで続いているというのも驚き!
この先どんな奇妙な画太郎世界が語られているのかも非常に興味深いし見つけたらまた読んでみたい。
