2009年 05月 14日
チェイサー |
韓国で2003年9月から2004年7月の10ヶ月間の間に21人が殺害されたという実在の連続殺人鬼ユ・ヨンチョルの事件を基にナ・ホンジン監督が作り上げたスリラー映画「チェイサー」を観た。
デリヘル嬢の元締めをしている元刑事のジュンホは最近自分の店の女性2人が相次いで失踪した事から「逃げた」ものと怒っていたが失踪した2人の最後の客の電話番号が同じだった事から「売られた」のではないかと疑いしその人物について調べ始める・・・やがてその人物から再び電話があり風邪をひいて休んでいたミジンを無理に行かせてその人物の住所を調べさせ乗り込もうと計画するが、シャワー室でジュンホに住所をメールしようとするものの携帯電話は圏外、そして家に監禁されたミジンはシャワー室で男に頭をノミで直撃される・・・一方ミジンから連絡がないジュンホは周囲を探し回るが・・・といったストーリー。
観ていて意外に早い段階で犯人であるヨンミンの正体がバレ、警察に拘束されるという展開からこの先をどうつなげていくのかと思いきや、捕まってからも供述を二転三転させて警察を翻弄し、傷を負うもまだ生きていたミジンの行方を必死に探すジュンホの執念の追跡やその過程で現われてくる殺人鬼ヨンミンの過去と異常性、ジュンホと警察との協力と確執、警察の無能さと法律の壁など様々な困難な状況がドラマとスリルを感じさせ最後まで夢中にさせる面白さだった。
しかしながら韓国のスリラー要素のある映画って「グエムル」の時も思ったが観客が望むキャラクターの運命を無情に無視したようなやりきれない展開があったり今回も本当に驚かされ感情を動かされるようなシーンがあったが、逆にハリウッド映画によくある「予定調和」的展開には無い衝撃があるしその点は心情的には消化不良を感じさせながらも現実の事件の恐ろしさや怒りがリアルに体感出来るような作りになっていたのは凄いと思う。
また実際の殺人鬼ヨンチョルとこの映画のヨンミンとは人物像として全く違うアレンジがなされており、ヨンミンの動機は最後までよくわからないまま終わってしまうが、パンフでの監督のコメントによれば「犯罪者の言うことをどれだけ信じられるだろう?」という事でいくら犯罪者に自分の言い分を語らせた所でそれが真実とは限らないし、それは以前観た「消えた天使」という性犯罪者をテーマとしたスリラー映画でも「犯罪者というのは他人を騙す為に平気で嘘をつくし信用してはいけない」とも言われていたり、他人を騙し傷つける事に何の罪の意識も持たないという存在は一般市民からすれば恐ろしいこの上ない存在である。
こういう連中というのはもはや我々と同じ人間の姿はしているが中身は全く別の怪物としか言い様がない存在だしそういう人間が普通に暮らしているふりしてどこかに潜んでいると考えたらかなり怖い。
まあ現実問題平山夢明の「東京伝説」なんかで語られるような実際にあった異常な人物による事件というのは報道されてないだけで山ほどあるというのが今の世の中だし、こういうヨンミンのような人間は逆に珍しくなくなっているとなればとんでもない事だが・・・・。
韓国映画は去年「D-WARS」以来観たのが久しぶりだったが、「D-WARS」みたいにいかにも娯楽な怪獣映画とは全く印象が違う、人間の狂気や執念などを熱く描いたかなり強烈で感情を揺さぶられるような1本だった。
デリヘル嬢の元締めをしている元刑事のジュンホは最近自分の店の女性2人が相次いで失踪した事から「逃げた」ものと怒っていたが失踪した2人の最後の客の電話番号が同じだった事から「売られた」のではないかと疑いしその人物について調べ始める・・・やがてその人物から再び電話があり風邪をひいて休んでいたミジンを無理に行かせてその人物の住所を調べさせ乗り込もうと計画するが、シャワー室でジュンホに住所をメールしようとするものの携帯電話は圏外、そして家に監禁されたミジンはシャワー室で男に頭をノミで直撃される・・・一方ミジンから連絡がないジュンホは周囲を探し回るが・・・といったストーリー。
観ていて意外に早い段階で犯人であるヨンミンの正体がバレ、警察に拘束されるという展開からこの先をどうつなげていくのかと思いきや、捕まってからも供述を二転三転させて警察を翻弄し、傷を負うもまだ生きていたミジンの行方を必死に探すジュンホの執念の追跡やその過程で現われてくる殺人鬼ヨンミンの過去と異常性、ジュンホと警察との協力と確執、警察の無能さと法律の壁など様々な困難な状況がドラマとスリルを感じさせ最後まで夢中にさせる面白さだった。
しかしながら韓国のスリラー要素のある映画って「グエムル」の時も思ったが観客が望むキャラクターの運命を無情に無視したようなやりきれない展開があったり今回も本当に驚かされ感情を動かされるようなシーンがあったが、逆にハリウッド映画によくある「予定調和」的展開には無い衝撃があるしその点は心情的には消化不良を感じさせながらも現実の事件の恐ろしさや怒りがリアルに体感出来るような作りになっていたのは凄いと思う。
また実際の殺人鬼ヨンチョルとこの映画のヨンミンとは人物像として全く違うアレンジがなされており、ヨンミンの動機は最後までよくわからないまま終わってしまうが、パンフでの監督のコメントによれば「犯罪者の言うことをどれだけ信じられるだろう?」という事でいくら犯罪者に自分の言い分を語らせた所でそれが真実とは限らないし、それは以前観た「消えた天使」という性犯罪者をテーマとしたスリラー映画でも「犯罪者というのは他人を騙す為に平気で嘘をつくし信用してはいけない」とも言われていたり、他人を騙し傷つける事に何の罪の意識も持たないという存在は一般市民からすれば恐ろしいこの上ない存在である。
こういう連中というのはもはや我々と同じ人間の姿はしているが中身は全く別の怪物としか言い様がない存在だしそういう人間が普通に暮らしているふりしてどこかに潜んでいると考えたらかなり怖い。
まあ現実問題平山夢明の「東京伝説」なんかで語られるような実際にあった異常な人物による事件というのは報道されてないだけで山ほどあるというのが今の世の中だし、こういうヨンミンのような人間は逆に珍しくなくなっているとなればとんでもない事だが・・・・。
韓国映画は去年「D-WARS」以来観たのが久しぶりだったが、「D-WARS」みたいにいかにも娯楽な怪獣映画とは全く印象が違う、人間の狂気や執念などを熱く描いたかなり強烈で感情を揺さぶられるような1本だった。

by lucifuge
| 2009-05-14 22:39
| 映画/アジア映画