2009年 05月 17日
ウォーロード 男たちの誓い |
ジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武というアジアを代表する俳優を中心に清朝統治下の中国で起こった「太平天国の乱」を題材にした映画「ウォーロード 男たちの誓い」を観た。
19世紀末、阿片戦争の大敗で腐敗した清朝圧制下の中国では秘密結社「上帝会」を中心とする「太平天国」が内乱を起こし、清朝の官軍と激しい戦いを繰り広げていた・・・清の大臣はそこで身分不問で民兵を募り太平天国軍に対抗しようとしたがその民兵たちは元山賊や匪賊だったり犯罪者同然のため各地で略奪を行なったりやりたい放題、特に「魁軍」は悪名高い集団だった・・・・官軍を率いて太平天国軍と戦っていた将軍パンは後方にいた魁軍に見捨てられたため全ての兵を殺され失意の中さまよっていた所を一人の女性リィエンに救われ、一夜を共にした事で再び生きる力を得る・・・パンはその後出会った山賊であるウーヤンに気に入られ彼等のアジトへと出向くが山賊を率いるリーダーでウーヤンの兄であるアルフにも会うが実はアルフの妻は一夜を共にしたあのリィエンだった・・・・複雑な想いを抱く中でアジトを魁軍によって略奪されたアルフたちは奴等に二度と略奪されないためには官軍に入るべきだというパンのアドバイスでパン、アルフ、ウーヤンは義兄弟の誓いを交わす。
そして3人の率いる軍「山軍」は次々と太平天国軍を倒していくが自らの立場保持のために戦争を終わらせる事を望まない大臣たちは太平天国の本拠地である蘇州と南京を落とす事に反対し補給を断ったりと妨害を行なうがそれでもパンたちは戦いを終わらせるため進み続け・・・・といったストーリー。
まずは冒頭シーンからして壮絶な戦いと死体の山から始まるというのはかなり強烈だったが、全編を通してこの映画の戦闘シーンは銃器系の武器使用もあるものの、何というか主に刀や槍など刃物類を使ったいかにも殺戮といった前近代的な武器での戦い方は手足を首が飛ぶし血生臭く残虐で本当に壮絶!
それに登場人物の設定からしてもハリウッド映画の真っ直ぐないかにも英雄といった単純な感じではなく、死んだフリして何とか生き残ったという弱さや義兄弟の妻を愛してしまった不貞の関係などパンのキャラクター性は戦闘においては英雄だがどこか後ろめたさもあったり、自らも戦いで英雄になりたいと願う義と情に厚いアルフ、三人の義と理想を守ろうとするウーヤンといったキャラクター性の違いから起こる苦悩や葛藤、確執などの描写も人間ドラマとして凄くドラマティックであり背徳のラブストーリーとしての側面があったり、一見英雄といっても超人ではなく心や行動の矛盾などその内面にある人間臭さを感じるような英雄像というのはオーソドックスな英雄を考えるなら奇妙ながら中国映画ならではの面白さがあるように思える。
また戦いにおいて主人公たちの率いる軍ながら元山賊でもある「山軍」は戦闘後に略奪や強姦を行なっていたりという犯罪性も描いていたり、その点をパンが改善するために犯罪行為を行なった仲間を処刑したり、蘇州の戦いにおいての非情の決断など「理想を実現するための犠牲」を考えさせるような場面は戦いを美化せず汚い部分もちゃんと描いていたのが良かった。
この映画は実際にあった話を基にしているらしく、本当は四兄弟で両江総督にまでなったパンこと馬新胎は謎の暗殺をされているという史実としてのミステリー要素も取り入れていて独自の解釈での真相を描いていたのも面白かったし、こういう混乱の時代の出来事には謎がいっぱいありそうで興味深い。
また高い理想を脆くも崩してしまう権力側の身勝手さや、理想を実現しこれからという時に狂い始める三兄弟の運命の歯車など皮肉ともいえる展開がまさに悲劇的だったりするのも重苦しいながら深いものを感じさせたりで凄く良かったし最近観た中国映画では特に良かった1本だったと思う。
19世紀末、阿片戦争の大敗で腐敗した清朝圧制下の中国では秘密結社「上帝会」を中心とする「太平天国」が内乱を起こし、清朝の官軍と激しい戦いを繰り広げていた・・・清の大臣はそこで身分不問で民兵を募り太平天国軍に対抗しようとしたがその民兵たちは元山賊や匪賊だったり犯罪者同然のため各地で略奪を行なったりやりたい放題、特に「魁軍」は悪名高い集団だった・・・・官軍を率いて太平天国軍と戦っていた将軍パンは後方にいた魁軍に見捨てられたため全ての兵を殺され失意の中さまよっていた所を一人の女性リィエンに救われ、一夜を共にした事で再び生きる力を得る・・・パンはその後出会った山賊であるウーヤンに気に入られ彼等のアジトへと出向くが山賊を率いるリーダーでウーヤンの兄であるアルフにも会うが実はアルフの妻は一夜を共にしたあのリィエンだった・・・・複雑な想いを抱く中でアジトを魁軍によって略奪されたアルフたちは奴等に二度と略奪されないためには官軍に入るべきだというパンのアドバイスでパン、アルフ、ウーヤンは義兄弟の誓いを交わす。
そして3人の率いる軍「山軍」は次々と太平天国軍を倒していくが自らの立場保持のために戦争を終わらせる事を望まない大臣たちは太平天国の本拠地である蘇州と南京を落とす事に反対し補給を断ったりと妨害を行なうがそれでもパンたちは戦いを終わらせるため進み続け・・・・といったストーリー。
まずは冒頭シーンからして壮絶な戦いと死体の山から始まるというのはかなり強烈だったが、全編を通してこの映画の戦闘シーンは銃器系の武器使用もあるものの、何というか主に刀や槍など刃物類を使ったいかにも殺戮といった前近代的な武器での戦い方は手足を首が飛ぶし血生臭く残虐で本当に壮絶!
それに登場人物の設定からしてもハリウッド映画の真っ直ぐないかにも英雄といった単純な感じではなく、死んだフリして何とか生き残ったという弱さや義兄弟の妻を愛してしまった不貞の関係などパンのキャラクター性は戦闘においては英雄だがどこか後ろめたさもあったり、自らも戦いで英雄になりたいと願う義と情に厚いアルフ、三人の義と理想を守ろうとするウーヤンといったキャラクター性の違いから起こる苦悩や葛藤、確執などの描写も人間ドラマとして凄くドラマティックであり背徳のラブストーリーとしての側面があったり、一見英雄といっても超人ではなく心や行動の矛盾などその内面にある人間臭さを感じるような英雄像というのはオーソドックスな英雄を考えるなら奇妙ながら中国映画ならではの面白さがあるように思える。
また戦いにおいて主人公たちの率いる軍ながら元山賊でもある「山軍」は戦闘後に略奪や強姦を行なっていたりという犯罪性も描いていたり、その点をパンが改善するために犯罪行為を行なった仲間を処刑したり、蘇州の戦いにおいての非情の決断など「理想を実現するための犠牲」を考えさせるような場面は戦いを美化せず汚い部分もちゃんと描いていたのが良かった。
この映画は実際にあった話を基にしているらしく、本当は四兄弟で両江総督にまでなったパンこと馬新胎は謎の暗殺をされているという史実としてのミステリー要素も取り入れていて独自の解釈での真相を描いていたのも面白かったし、こういう混乱の時代の出来事には謎がいっぱいありそうで興味深い。
また高い理想を脆くも崩してしまう権力側の身勝手さや、理想を実現しこれからという時に狂い始める三兄弟の運命の歯車など皮肉ともいえる展開がまさに悲劇的だったりするのも重苦しいながら深いものを感じさせたりで凄く良かったし最近観た中国映画では特に良かった1本だったと思う。
by lucifuge
| 2009-05-17 16:18
| 映画/アジア映画