レッドクリフ PartⅡ未来への最終決戦 |
映画「レッドクリフ」は中国の古典「三国志」の有名なエピソード「赤壁の戦い」をメインに二部作として作られ、去年11月に公開されたPartⅠは差し迫る強大な曹操軍に対して劉備、孫権軍が手を組み「赤壁の戦い」に至るまでの過程を描いて戦いはこれからという所で終わっていたが、今回はそれに続く完結編である。
赤壁での決戦を前に曹操軍では疫病が発生し、多くの兵が死んでいたが曹操はその死体を呉の国に送りつけ疫病を蔓延させるという卑劣な手段に出る・・・その事によりダメージを負った孫権、劉備軍は混乱し劉備軍は自らの民を守るため一時撤退してしまい孫権軍だけで曹操軍と戦わなければならない羽目になるが・・・・といったストーリー。
レッドクリフの見所といえば劉備軍の軍師である孔明や孫権軍の指揮官周瑜の優れた戦略が見ものであるのだが、今回の作戦としては孫権の妹である尚香が密かに曹操軍に潜入しスパイ行為をしていたり、孔明は有名な10万本の矢を得る方法、天候を読んでの大規模な火攻め、周瑜は曹操軍配下の水軍の指揮官たちをうまく消したり周瑜の妻小喬による曹操の判断撹乱作戦といったものが展開されているが正直PartⅠに比べるとイマイチ作戦として驚く奇抜さや亀の陣を描いた時のようなスペクタクル感が無く、今回のは作戦としてオーソドックス過ぎて物足りない感じ。
まあ意外といえば10万本の矢を得る作戦は確かに意外なのだがこの話は凄く有名で知ってるし、最初の尚香のスパイ行為にしたって男ばかりの軍の中にいかにも女性な尚香が混じっていて誰も気がつかないのがオカシイし尚香と仲良くなるバカ正直な曹操軍の兵も肩車した頭の上で軍陣の図面まで書かれてるのに気がつかないなんて鈍すぎる・・・・オカシイといえば疫病の発生により隔離という警戒措置をとっていた用心深いはずの曹操が何故か決戦前にその病にかかった兵たちの所にきて激励したり(感染するだろ!)、その後隔離していたはずの兵たちが他の兵たちに混ざって外に出てきて応援しだしたりこんな事では戦い以前に疫病で曹操軍全滅だろ~!って思ってしまった。
また孫権軍では決戦の前にみんなで汁団子を食べるシーンがあるが孫権や側近、兵たちから次々周瑜の椀に自らの団子を一つずつ入れていく様子が描かれるがそんなに入れたら団子山盛りになってしまうし、ノド詰まったらどうすんねん!とか観ていて別の意味でハラハラ(笑)
そしてクライマックスシーンでの火を使った大戦闘シーンはさすがに観ごたえがあるもののかなり長いので観ていてちょっと疲れてしまうくらいだったが、何というかあれだけお互いの軍に多くの犠牲も出て曹操に至っては疫病作戦とか卑劣な手も使ってるのにやっとこさ曹操を追い詰めて殺せるチャンスがあるのに「お前の負けだ。去れ!」って・・・・ここまでくるための犠牲になった人達の命は一体???逆に曹操も周瑜を殺せるチャンスがあったシーンもあるがゴチャゴチャいらん事しゃべってるうちにチャンスを逃すというバカさだし「一体コイツら何やってんねん!」というちぐはぐさは完結編というにはあまりにもショボい気がした。
とはいってもダイナミックなアクションシーンとクライマックスの大合戦シーンは凄いし人間ドラマ気にせずにアクション娯楽映画と思って観れば楽しいと思うが、先日観た「ウォーロード」が描いていた凄まじい人間ドラマに比べたら酷いスカスカさなのでシリーズの出来としては前のPartⅠの方が大分良かったと思う。
