2009年 05月 21日
花輪和一初期作品集 |
青林工藝舎発行の漫画「花輪和一初期短編集」を読んだ。
この本は70年代から80年代にいたる花輪作品を収録したものだが、内容としては1人の女と2人の男のエロティックで血みどろな話「肉屋敷」をはじめ、ある引きこもった女子高生と虐待される異様な人形の物語「怨乳」、ちょっと話的に日野日出志の「博士の地下室」を思い出すようなマッドサイエンティストと使用人の女性の物語「怨獣」、辻斬りを行なう男の悲劇を描いた「赤ヒ夜」、人間狩りネタ「猟人」、虐げられた女の壮絶な復讐譚「復讐とかげ女」、都市伝説的な「醜悪ゴキブリ男」、意外に駄洒落だけだったネタ「かいだん猫」、楳図かずおの「おろち」の「姉妹」エピソードを連想させるもさらに醜悪な展開をする「捨て子」、その「捨て子」よりもっと悪趣味で悲惨な「豚女」と「戦ふ女」、そしてこのシリーズでは最もおぞましい話だった「塗り込め蔵」といったアングラなSM的世界観での作品の他、花輪的解釈で描かれた異色の妖怪漫画「日本妖怪おどろ草子」のシリーズの6編「一つ目」、「どろたぼう」、「長壁姫」、「産女」、「土蜘蛛」、「二口女」と「妖怪夜話 垢嘗」、平安時代を舞台にした怪奇SFストーリー「六富道」といった感じでエロティックで残酷な話や怪奇話、妖怪話など色んな花輪世界が楽しめる。
花輪和一というと私にとっては映画化もされた漫画「刑務所の中」とか「呪いの都市伝説モンスター」などコンビニで売ってるような怪奇アンソロジー本のエピソードの1編を読んだりとアングラ&怪奇イメージの作品を描く人という印象を持っていたが、この初期短編集を読んでみてそういうのとは違う花輪和一本来の作品世界の魅力を知ったし、ドロドロした毒の味を感じさせるような不条理で残酷なストーリー展開や世界観は丸尾末広の漫画とかアングラ系演劇に共通している感じもしてかなり強烈だった。
それから何より細かいペンタッチと様式的に見せる画面構成などの絵柄が気に入ったし、こういう絵のイメージは私が好きな「伊藤彦造」の絵のイメージに通ずるものも感じたりで絵を見るだけでもかなり楽しい。
エピソード的には「肉屋敷」や「塗り込め蔵」など現代劇も結構なインパクトだったし、妖怪のシリーズも水木しげるの漫画とはまた違う面白さがあったが、好みで言えば「六富道」や「赤ヒ夜」などの時代モノの方が私好みな世界でこういう感じのものが他にあるならもっと読んでみたい。
久々に濃い世界観のカルトな漫画を読んだ感じだがこういう世界を覗くのは楽しい☆
この本は70年代から80年代にいたる花輪作品を収録したものだが、内容としては1人の女と2人の男のエロティックで血みどろな話「肉屋敷」をはじめ、ある引きこもった女子高生と虐待される異様な人形の物語「怨乳」、ちょっと話的に日野日出志の「博士の地下室」を思い出すようなマッドサイエンティストと使用人の女性の物語「怨獣」、辻斬りを行なう男の悲劇を描いた「赤ヒ夜」、人間狩りネタ「猟人」、虐げられた女の壮絶な復讐譚「復讐とかげ女」、都市伝説的な「醜悪ゴキブリ男」、意外に駄洒落だけだったネタ「かいだん猫」、楳図かずおの「おろち」の「姉妹」エピソードを連想させるもさらに醜悪な展開をする「捨て子」、その「捨て子」よりもっと悪趣味で悲惨な「豚女」と「戦ふ女」、そしてこのシリーズでは最もおぞましい話だった「塗り込め蔵」といったアングラなSM的世界観での作品の他、花輪的解釈で描かれた異色の妖怪漫画「日本妖怪おどろ草子」のシリーズの6編「一つ目」、「どろたぼう」、「長壁姫」、「産女」、「土蜘蛛」、「二口女」と「妖怪夜話 垢嘗」、平安時代を舞台にした怪奇SFストーリー「六富道」といった感じでエロティックで残酷な話や怪奇話、妖怪話など色んな花輪世界が楽しめる。
花輪和一というと私にとっては映画化もされた漫画「刑務所の中」とか「呪いの都市伝説モンスター」などコンビニで売ってるような怪奇アンソロジー本のエピソードの1編を読んだりとアングラ&怪奇イメージの作品を描く人という印象を持っていたが、この初期短編集を読んでみてそういうのとは違う花輪和一本来の作品世界の魅力を知ったし、ドロドロした毒の味を感じさせるような不条理で残酷なストーリー展開や世界観は丸尾末広の漫画とかアングラ系演劇に共通している感じもしてかなり強烈だった。
それから何より細かいペンタッチと様式的に見せる画面構成などの絵柄が気に入ったし、こういう絵のイメージは私が好きな「伊藤彦造」の絵のイメージに通ずるものも感じたりで絵を見るだけでもかなり楽しい。
エピソード的には「肉屋敷」や「塗り込め蔵」など現代劇も結構なインパクトだったし、妖怪のシリーズも水木しげるの漫画とはまた違う面白さがあったが、好みで言えば「六富道」や「赤ヒ夜」などの時代モノの方が私好みな世界でこういう感じのものが他にあるならもっと読んでみたい。
久々に濃い世界観のカルトな漫画を読んだ感じだがこういう世界を覗くのは楽しい☆

by lucifuge
| 2009-05-21 20:22
| 本/漫画