夢幻紳士 幻想編 |
「夢幻紳士」といえば夢幻魔実也というキャラクターを主人公とした高橋葉介のライフワークともいえるシリーズで「冒険編」や「怪奇編」「外伝」などがあり、私も以前オカルト系のストーリーである「怪奇編」と「外伝」を読んで一気にこの世界観が気に入り、絵柄としてもかわいさとグロテスクさが共存するような不思議な作風は好きな感じで「高橋葉介」という漫画家の作品をもっと読んでみたいと思うきっかけにもなった作品である。
この「幻想編」は2004年から「ミステリマガジン」に連載されていたらしい新シリーズで収録エピソードとしては頭の中に受信機が埋められているという人物をめぐる話「電波塔」、逃げ出した人喰い虎の話「女か虎か」、森の中の即身仏が呼ぶという「木乃伊の恋」、ある殺人をめぐる真相「瞬きよりも速く」、夢と精神世界の話「Shall We Dance?」、盲目の暗殺者との遭遇を描く「暗くなるまで待って」、海辺で出会った幽霊話「渚にて」、殺人者との危険な遭遇を描く「眠れる森の美女」、船乗りの父親をめぐる幻想譚「父、帰る」、想像上の存在だった魔実也が現実化する「影が行く」、全編を通しての真相が語られる「長いお別れ」、その後を描いた「君の名は」の12編。
一応どの話も読み切りとして成立する作りであるが全編を通してキャラクターがつながっており、特に最初のエピソードに登場する受信機を埋め込まれたという人物を核に夢幻魔実也が関わって謎を解き明かしていくという展開で各話のショートショート的な展開の早さとシャレたオチの面白さに加えて実は1冊の長編としても楽しめるという構成は1冊で2度得した気分♪
またいつの時代かわからないような不可思議な世界観と独特なファッションデザイン、奇怪なモンスターのヴィジュアルや意外にグロいスプラッター表現なども様々な奇妙なが入り乱れるまさに「幻想編」でそういう世界が大好きな私にとっては凄く楽しめる作品だったと思う。