チョコレート・ファイター |
十数年前のタイ~進出してきた日本のヤクザと現地のマフィアが対立し抗争する中、ヤクザであるマサシとタイ・マフィア側のジンはお互い惹かれあってしまい、密かに交際していたがタイ・マフィアのボスであるナンバー8にその事がバレて激怒、マサシの身を案じたジンは彼に帰国を願う・・・・マサシの帰国後ジンは闇家業からも遠ざかって彼の娘を産むがその子はハンディキャップを抱えていた・・・ゼンと名付けられた娘は元気に育っていき、他の子供とは違う超人的な身体能力も開花させていく・・・しかし母ジンが白血病になってしまった事から多額の金が必要になり、家の中で幼馴染のムンが偶然ジンが昔金を貸した相手のリストを見つけた事からゼンはムンと共にお金を回収して母の医療費を得ようとするも借金相手たちは素直に返金するわけもなく逆に手荒く追い返そうと攻撃してくるが、ゼンの天才的武術能力によって成敗されていく・・・・やがて彼等が次々借金を回収していく様子にかっての母と因縁深いナンバー8が目をつけ・・・・といったストーリー。
とりあえず観終わったすぐの感想はとにかく「面白い!!!」
ストーリーのベースとしては大してヒネリもない昔ながらのアクション映画の王道をいく感じだが、ハンディキャップがありながらも超人的能力を持つ少女という主人公像に父と母と暗黒街の因縁、難病になってしまう母などのベタながらストーリーを盛り上げる要素が観ていてワクワクしたり感動を呼んだり、何というか映画本来の面白さを根っこから感じさせるようなエネルギーがあった作品だったと思う。
それから何といってもこの映画の見所はアクションシーン!
CG無しの体当たりなシーンの連続は衝撃的だし、そこにはやはり生身ならではの真に迫った迫力というかインパクトがある。
そしてアクションシーンひとつひとつの作りも製氷工場、倉庫、食肉工場、日本料理店など舞台設定によって様々な戦いがよく考えられ実に工夫が凝らされた感じで楽しめるし、ハリウッドみたいな大金かけて派手にドンパチというのは無いが逆にああいう派手なだけのアクションは今やありきたりで逆に嘘臭く感じる。
なのでこの作品は本当にアクションが好きで面白いもの作ろうとする人たちが作った手作り感と愛情溢れる映画というのが伝わってくるし、ラストクレジットでのNG集などリアルに怪我や流血があって生々しいがそれだけ熱い人たちが作った映画はまぎれもない「本物」だと思う。
キャスティング的にはゼン役で主演したジージャーことヤーニン・ウィサミタナンはパッと見の素朴な印象からは予想出来ない驚異のアクションを見せるのが凄かったし、マサシ役に日本人俳優の阿部寛が出ていたり、悪役ながら何か三流音楽プロデューサーみたいな風貌だったナンバー8役のポンパット・ワチラバンジョンなど個性的な面々に加え、ナンバー8の配下にオカマが多かったりするのはタイならではだし、刺客役で武術の達人ながら動きが怪しすぎる少年トーマスはかなり強烈なキャラだったがジャージに坊主、眼鏡という風貌から一瞬知り合いのライターのギンティ小林さんを思い出したり・・・で、後でこの映画のパンフレットを読んでたらいくつかコーナーの解説を書いてるのがギンティさんだった(笑)
と、色々楽しめる映画だったし、アクション映画としては今の所今年観た中で一番面白かったと思う。