呪怨 白い老女/黒い少女 |
「呪怨 白い老女」~ある家で起こった一家5人惨殺事件・・・犯人は司法試験に落ちた息子で自らも首吊り自殺、その自殺の状況はカセットテープに録音されていた・・・一方たまたま犯人の男を乗せてしまったタクシー運転手も行方不明になり・・・・行方不明になったタクシー運転手の娘あかねは現在高校生になっていたがコックリさんをした事から小学生時代の親友だった少女の姿を見かけるようになるが、実はその少女は例の一家5人惨殺事件で殺された少女で・・・・といったストーリー。
ビデオ版や劇場版と同じく今回も映画の構成として登場人物それぞれを中心としたショートエピソードを交錯させる作りとなっており、話の中心には例の忌まわしき「あの家」と「一家5人惨殺事件」が置かれているが、要素として「自殺実況テープ」や「痴呆問題」や「児童虐待」を含む「歪んだ家族関係」といった狂気的要素がこのおぞましい「呪怨」の世界観を一層盛り上げているし、同じフレーズを延々繰り返す幽霊描写のシチュエーションの不気味さやベタでコケおどし的ではあるが一番効果的ともいえる「お化け屋敷」のような恐怖シーンの見せ方はなかなか観ていて「ギョッ」とさせるし、実際映画館内でも恐怖シーンごとにざわついたり「心臓に悪いわ~!」とか聞こえてきたりで、最近のホラー映画でこういう反応が起こるというのはあまり遭遇した事がないし、こういう騒げるホラーというのは基本ながらホラー本来の楽しみが実感出来る作品。
ストーリー的には劇場版の2のラストで人間界に転生してしまった怨霊「伽耶子」がその後どうなったのかというのが気になっていたのでどう登場するのかと思っていたが、この「白い老女」は全くその事には触れない全く新しい新たな「呪い」を展開していてそれはそれで結構設定としても面白かったと思うし、以前の作品との関連でいうなら伽耶子の息子の「俊雄」がちゃっかり部分部分登場していたり、このシリーズを象徴するようなノドが「カラカラカラ」と鳴るような不気味な音もちゃんと使われていたのが嬉しい感じ♪
まあ今回の作品は本来の監督である清水崇がプロデュースにまわってるので伽耶子のその後は清水監督が自らまた撮るつもりなのかもしれないが・・・。
「呪怨 黒い少女」~例の「あの家」で起こった一家3人惨殺事件・・・・芙季絵という少女を担当してから怪奇現象に悩まされる看護師の裕子、裕子に想いを寄せる隣に住む少年が聞く不審な音、そして芙季絵の体内に隠されたある「謎」と怪奇現象との関連性、それに巻き込まれていく芙季絵の母と現象を抑えようと動く霊能力のある妹・・・などの人物や要素が交錯するストーリー。
こちらもそれなりに怖い作りであるが恐怖シーンの見せ方としては「白い老女」の方が怖かったし、どちらかというとどの要素とどの要素がつながってこうなったのかという謎を追っていくようなミステリー的な楽しみ方が出来る作品だったように思える。
またブラックジャックのエピソードを思い出すような芙季絵に隠された謎と一家惨殺事件の犯人の関連性や正体不明の黒い肌をした少女の存在など要素的にもなかなかセレクトが面白いが、キャラクターとしてこの「黒い少女」は「白い子供」こと俊雄みたいにヴィジュアル的に強烈な印象だし(勿論こちらの作品にも俊雄は登場している)、伽耶子に変わるキャラクターとしても良い感じの出来。
この作品も以前の伽耶子の話との関連性は家と俊雄以外無いが「白い老女」とはあかねの父であるタクシー運転手が少し登場しているという共通点があるし、あかねの父が生きているという事は時間軸的には「黒い少女」の方が「白い老女」より過去という事になって今後さらに続編があるとすればそれぞれの時間や人物関係でどんな風に呪いが増殖されていくのか興味深い。
