2009年 12月 03日
沈まぬ太陽 |
「不毛地帯」や「華麗なる一族」で知られる作家・山崎豊子の原作を渡辺謙主演で映画化した「沈まぬ太陽」を観た。
昭和30年代の日本。巨大企業「国民航空」で労働組合の委員長を務めていた恩地元は社員の待遇改善と会社の為を思って行った強行な交渉がその当時にはうまく作用したものの、2年後になってその時の行動が裏目に出て会社側からパキスタン勤務を言い渡される・・・・一方、当時恩地とともに組合で副委員長として活動していた行天四郎は組合を裏切り、会社側について出世への野望に進んでいく・・・・自らの信念を持ってそうあっても会社に頭を下げない恩地はさらにイランやケニアなど僻地での勤務に苦労するが、やっと日本に戻ってきたと思えば会社は「ジャンボ機墜落事故」という大きな困難に直面し・・・・といったストーリー。
巨大企業というもはや「怪物」のように肥大化してしまったシステムとそこに生きる様々な人々の人間模様が熱く描かれており、3時間半弱の映画ながら飽きずに見入ってしまった。
どんな困難な状況に追い込まれようとも決して自らの信念を曲げず諦めない恩地の姿を見ていると、「努力するのは格好悪い」だの「熱くなるのはダサい」だの言っていた大学時代の同級生が物凄くつまらない存在として思い出されたし、人間の生き方って「信念」あってこそ価値があるように思える。
逆に組合を裏切り、自分の出世の為にどんな汚い事もいとわない人間になってしまった行天の姿もある意味自らの「野望」に対して一生懸命で悪事など無理してまでも前に進まないと死んでしまうような生き方も非常に熱くて、その熱意が間違った方向にいったばかりにそれなりの末路を辿るが、これも必死に生きた男のひとつの生き方としてかなり印象深かった。
それから恩地を支える家族との関係性や行天に反発しながらも愛する女性の存在、かって組合メンバーであったばかりに社内で露骨に差別を受けた人々の意地、金と権力に群がる会社側の重役とその利権に絡みつこうとする政治家、そして墜落事故で大切な人を失った遺族たちの思いなど「国民航空」という存在を中心に多くの人間のドラマが展開されていたのも見ごたえがあった。
先日観た「笑う警官」でも思ったが「組織」というものの存在はその内部においてある種一般社会とは離れた独自の規律や価値観で支配された「小さな国家」であるようにも思うし、支配者の意向に反する個人やグループがいた場合非情な手段で潰そうと画策したりと、外から見たら異常とも思える事態が起こるのが何とも怖い。
ただ、この映画のように信念を失わなければ個人でもそんな理不尽な組織とも闘い、変えていくことも可能かもしれないし、組織といっても人間一人一人が集まって出来ているものでいくら「巨大化」しても所詮は人間の作ったものなのだから、それは人間一人の力によっても変える事は不可能ではないと思う。
昭和30年代の日本。巨大企業「国民航空」で労働組合の委員長を務めていた恩地元は社員の待遇改善と会社の為を思って行った強行な交渉がその当時にはうまく作用したものの、2年後になってその時の行動が裏目に出て会社側からパキスタン勤務を言い渡される・・・・一方、当時恩地とともに組合で副委員長として活動していた行天四郎は組合を裏切り、会社側について出世への野望に進んでいく・・・・自らの信念を持ってそうあっても会社に頭を下げない恩地はさらにイランやケニアなど僻地での勤務に苦労するが、やっと日本に戻ってきたと思えば会社は「ジャンボ機墜落事故」という大きな困難に直面し・・・・といったストーリー。
巨大企業というもはや「怪物」のように肥大化してしまったシステムとそこに生きる様々な人々の人間模様が熱く描かれており、3時間半弱の映画ながら飽きずに見入ってしまった。
どんな困難な状況に追い込まれようとも決して自らの信念を曲げず諦めない恩地の姿を見ていると、「努力するのは格好悪い」だの「熱くなるのはダサい」だの言っていた大学時代の同級生が物凄くつまらない存在として思い出されたし、人間の生き方って「信念」あってこそ価値があるように思える。
逆に組合を裏切り、自分の出世の為にどんな汚い事もいとわない人間になってしまった行天の姿もある意味自らの「野望」に対して一生懸命で悪事など無理してまでも前に進まないと死んでしまうような生き方も非常に熱くて、その熱意が間違った方向にいったばかりにそれなりの末路を辿るが、これも必死に生きた男のひとつの生き方としてかなり印象深かった。
それから恩地を支える家族との関係性や行天に反発しながらも愛する女性の存在、かって組合メンバーであったばかりに社内で露骨に差別を受けた人々の意地、金と権力に群がる会社側の重役とその利権に絡みつこうとする政治家、そして墜落事故で大切な人を失った遺族たちの思いなど「国民航空」という存在を中心に多くの人間のドラマが展開されていたのも見ごたえがあった。
先日観た「笑う警官」でも思ったが「組織」というものの存在はその内部においてある種一般社会とは離れた独自の規律や価値観で支配された「小さな国家」であるようにも思うし、支配者の意向に反する個人やグループがいた場合非情な手段で潰そうと画策したりと、外から見たら異常とも思える事態が起こるのが何とも怖い。
ただ、この映画のように信念を失わなければ個人でもそんな理不尽な組織とも闘い、変えていくことも可能かもしれないし、組織といっても人間一人一人が集まって出来ているものでいくら「巨大化」しても所詮は人間の作ったものなのだから、それは人間一人の力によっても変える事は不可能ではないと思う。
by lucifuge
| 2009-12-03 21:57
| 映画/邦画