ヒルズ・ラン・レッド 殺人の記録 |
かって80年代に伝説的ホラー映画監督コンキャノンによって作られたが、あまりの過激さの為上映中止になり、その後出演者もスタッフも行方不明、予告編だけが残されているといういわくつきの映画「ヒルズ・ラン・レッド」・・・・この映画に興味を持った映画学校の学生テイラーはそのフィルムを見つけようと手掛かりを探し、コンキャノンの娘アレクサとコンタクトを取る事に成功する・・・そしてテイラーはこのフィルム捜索を映像記録として撮影しながら自らの恋人と友人を伴い、アレクサの案内で映画のロケ地へ赴くが、そこには恐ろしい事態が待ち受けていた・・・・といったストーリー。
この映画のことを初めて知ったのは、去年観てかなり面白かったスリラー映画「エスター」のパンフレットに同じダークキャッスル社制作のお薦めホラーとして紹介されており気になっていた。
映画の中の映画という二重設定に加え、ホラーの名作「悪魔のいけにえ」や「13日の金曜日」を髣髴とさせる殺人鬼の見せ方はそういった名作へのリスペクトも感じられるし、かといってそのままの恐怖表現ではなく、この映画で描かれる狂気の形が無秩序で理解不能な狂気を描くような前述の作品とは違い、一見無秩序なようで実は執念的ともいえる秩序ある狂気の形が意外な恐ろしさでそれを象徴するある人物の一言だけの台詞にはハッとさせられた。
勿論殺人鬼が暴れ回る映画だけあってスプラッターシーンも人体が上下真っ二つに切断されて血みどろになったり、肉をえぐり出す鋼鉄コルセットなど「ソウ」を思わせるサディスティックな残虐装置とかかなり過激に見せてくれて楽しめる♪
それに映画作りと狂気を題材にしているという部分では「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」や「スナッフ」も連想させたりホラー映画好きにはシーン的にも設定的にも嬉しい作りとなっている。
また主人公の周囲の人物関係も友人と恋人が浮気していたり、アレクサに惹かれるテイラーの描写など微妙にねじれていたり、物語が展開していくに従ってガラリと印象が変わってしまうある登場人物、そして何よりこの映画では印象深い殺人鬼ベビーフェイスの自らの顔の皮を剥ぎ人形の顔を縫いつけた異様な風貌の強烈さなどとても良く、今後新たな殺人鬼ヒーローとしてジェイソンやフレディに肩を並べるかも?
ラストにしてもなかなか悪趣味で面白かったし、「この映画が何で劇場未公開?配給会社の目は節穴か!」と思わせるくらいホラーとしてかなりな秀作だったと思う。
